2023年09月21日

にゃんこ大戦争で学ぶ英語の本お金の本難しい言葉の本

にゃんこ大戦争で学ぶ 「英語の本」「お金の本」「難しい言葉の本」

 親族の小学校低学年男児に、マンガ『にゃんこ大戦争』の大ファンがいます。
 4コママンガです。わたしが、読んでもなんにも笑えないのですが、本人はケラケラ・ケタケタと大きな含み笑いをしながら熱心にコミックマンガ本のページをめくっています。(世代で笑いのツボが違うのでしょう)
 誕生日のプレゼントということで、にゃんこ大戦争が素材で勉強がらみの本を三冊用意しました。本人に渡す前に、わたしが全ページをめくってコメントを残してみます。

『英語で! にゃんこ大戦争 気がついたら英語がペラペラになった 小学館』
 この本はちょっと、小学校低学年のこどもさんには向きません。
 どうしたのだろう。おとなが読んでもむずかしい。
 英語の文章にカタカナがふってあります。アルファベットの文字を見る前にカタカナ表記に目がいくので英語の学習になりません。
 文章もなにかヘンなものがあります。「お母さん、きび団子(だんご)つくってくれる?」「遊園地か高級料亭に連れて行って」「お父さんが迷子になりました」「蕎麦屋(そばや)でハンバーグは注文できません」「流れ星も隕石も(いんせきも)きれいだね」「先生、あなたはだれですか?」など。

 文法の説明がどこにもありません。

 つくりは派手な本です。簡単に英語が身につくような宣伝文句です。この本ではそれは無理です。わたしはもうずいぶん昔の資格取得ですが、英検は2級です。
 ちょっとこれはという気分になりました。
 うーむ…… ほめるならば、(奇妙ではありますが、にゃんこの)マンガの絵を楽しむ本です。



『にゃんこ大戦争で学ぶ! お金のヒミツ KADOKAWA』
 こちらはかなりいい本です。
 思うに学校で国語・算数・理科・社会を学ぶように、お金のことを学んだほうがいい。
 お金の管理ができなくて破綻(はたん)する人がいます。働いて稼いで貯めるとか、ローンを組んで車や家を買うとか、教育資金とか、少しはずれて、貸した金は返ってこないとか、保証人になったら全財産を失うこともあるとか、そういう現実的な学びが必要です。
 (現金を見たら自分のポケットに入れたがる人もいます。だめです。他人の金です。会社や組織などのお金です。捕まったあと、弁償して、刑に処せられるのです。お金で人生を棒に振ります。(棒に振る:それまでの努力や苦労を無にしてしまう))

 ぺらぺらとこの本のページをめくると、そういった類似のことが書いてありそうです。
 この本の読み始めに昔読んだ『金持ち父さん貧乏父さん ロバート・キヨサキ 筑摩書房』を思い出しました。
 金持ち父さんとは、著者の友人の父さんです。実業家です。貧乏父さんとは著者の実父です。教員です。
 著者は友人の父さんをほめます。友人の父は不動産投資と株を軸にして、お金儲けをする人です。
 著者は、教員で、コツコツまじめに長年働く実父を否定します。人生における時間と労力がむだだと断定します。
 その本を読んだときには、違和感をもちました。著者にとっては、(お金のことに関しては)友人の父が理想で、実父はだめな人という評価だったからです。

 わたしは、仕事は、給料が安くても辞めてはいけない。仕事があるだけありがたいと思いなさいと教育されてがまんして働き続けました。その本の著者から見れば、否定されるほうの働き方です。
 わたしは、3年ぐらい前から、株式投資を始めてその違和感が消えました。お金でお金を増やすことを知ったからです。株式投資をやっているとわかるのですが、なにかのきっかけで複数の株の株価が急上昇して、1か月半ぐらいで、パートの主婦の年収分ぐらいの利益が生まれることがあります。パートの主婦が知ったらショックを受けると思います。いっぽう、なにかのきっかけで、複数の株の株価が急落して、半日程度のことで、パートの主婦の1か月分の収入が溶けるように消えていくこともあります。ハイリスク・ハイリターンです。されど、じょうずに運用すればお金が増えていきます。『業績がいい』『信用できる』会社を選べば、株価の上下動の幅は小さくても確実な配当金が得られます。

 本の目次にある言葉がいい! 『社会を生き抜くために必要なお金のヒミツをにゃんこたちといっしょに学べる本にゃ!』そうです。人はお金を稼いで、社会を生き抜かねばならないのです。

 電子マネーの時代になって、こどもたちは、現金を目にすることが少なくなりました。
 硬貨や紙幣はていねいに扱う。けして、ほうり投げてはいけないと教わりました。そういったことを教える人も減ってきました。
 この本では、現金のことが、詳しくていねいに書いてあります。

 『サラリーマン』の『サラリー』は、ラテン語で『塩』のことだそうです。知りませんでした。塩は人間の体を維持していくための必要な成分です。体液に含まれている成分だと読んだことがあります。
 
 物々交換を思い出しました。
 わたしがこどものころは、いなかの農家では物々交換の習慣がありました。
 近所の家に、ニワトリの卵を持って行き、冷蔵庫の氷をもらっていたことがあります。

 『信用』が大事(だいじ)。
 紙幣も金券も信用があるから流通できます。
 ちょっと別の意味ですが、大手中古車販売会社で不祥事があったのですが、保険会社もからんでいて、わたしは保険会社の株をもっていたのでとてもがっかりして手離しました。保険金詐欺をやるような会社は株式市場から退場してほしい。

 偽札づくりは重い罪です。
 1961年(昭和36年)にニセモノの1000円札が343枚使われて、犯人が捕まらず、1963年に新札が発行されたということは初めて知りました。

 本の内容は、見やすくてわかりやすい。
 こどもさんが読んだり見たりしてもだいじょうぶでしょう。
 すんなり理屈がわかるとは思えませんが、理解するためには実技が必要です。こども自身に買い物をさせるのがいい。

 お金を借りることについての説明もあります。借りたら返す。奨学金のことも書いてあります。
 わたしも奨学金を借りました。結婚した時に繰り上げ返済で全額を返済しました。
 最近は、奨学金を返さなくてもいいというような風潮が見られて驚きます。わたしは、人からお金を借りたらお礼(おれい)に利子(りし)をつけて返すものだと上の世代から教わりました。
 
 この本は良書です。今年読んで良かった一冊に入れておきます。

 カードについて書いてあります。
 1 前払いのカード
   ①図書カードほか ②交通系ICカード
 2 即時払いのカード
   デビッドカード
 3 あと払いのカード
   クレジットカード

 電子マネーについて書いてあります。
 データでお金のやりとりをする。
 不正に使われることがあるので注意する。
 パスワードは教えない。
 カードを紛失したらすぐ停止する。
 リボ払いはできるだけやめる。(毎月分割返済は、借りた元金がなかなか減らない)

 インターネットの買い物は安全とは限らない。

 買い物は、安ければいいというものではない。

 税金について詳しく書いてあります。親切な記述です。
 国税、地方税。払わないとどうなるか。給料や預金や土地や家などを差し押さえられる。(信用を失います)
 消費税の説明あり。住民税、自動車税、所得税、酒税、入湯税(にゅうとうぜい。温泉入浴がらみの税)
 保険料の説明あり。国民健康保険料、国民年金保険料、介護保険料。自分は受診、利用しないから払わないと言う人は、いざというときに泣くことになります。病気や介護が必要になったときに親族やまわりの人たちに迷惑をかけてひとりぼっちになります。

 100円の価値について考える。10年後も100円で、その物を買えるかどうかはわからない。
 ランドセルの値段、バナナの値段が参考です。

 物価が下がればいいというものではない。
 モノの値段が下がると、「デフレ(物価が下がり続ける)」になって不景気になる。給料は上がらない。お金が世の中を回らなくなる。お金が回らないと経済状況は悪くなる。
 節約だけでは、豊かにはなれない。
 
 外国のお金について説明があります。ドル、ユーロ、元(中国)、ドン(ベトナム)など。
 
 日本銀行の建物は、日本の通貨である『円(えん)』の形をしている。

 宝くじのことが書いてあります。
 若いころ、友だちと組んで、1年間毎週宝くじを買い続けたことがあります。当たりませんでした。頭にきて、大量の宝くじのハズレ券を床にぶちまけて、バカヤローと友だちとふたりで踏んづけました。
 宝くじは当たりません。買わないほうがいい。その分、貯金しておけば良かった……

 無職である期間をできるだけ短くすることで貧困から遠ざかることができます。働けばお金は入ってきます。『お金のため』と割り切れれば、嫌な仕事に耐えられるということはあります。もらったお金でストレス解消をします。
 ニコチン(たばこ)は、お金がムダになります。体を壊して働けなくなったりもします。まわりにいる人にも迷惑をかけます。たいてい働く場所には喫煙場所がありませんから、喫煙者は採用時に雇用主から嫌がられます。
 自家用車の保有はお金がかかります。年間、こどもひとり分の養育費ぐらいかかります。
 ギャンブルも損します。たまにもうかりますが、トータル(合計)で損します。
 
 給料をもらうサラリーマン(雇われ人)では、金持ちにはなれないと教えられたことがあります。お金が欲しかったら自営業です。人を雇う側の立場の人間になります。
 お笑い芸人さんが、1か月15万円の給料では、ばからしくてやっていられないと発言した記事を読んだことがあります。たしかに、彼の年収は5000万円ぐらいでした。

 銀行の利子(りし)のことが書いてあります。最近は微々たる利子しかつきません。なん円とか、何十円とか、何百円とか、そういう小さい世界です。
 銀行がつぶれたときの保険が書いてあります。1000万円までです。
 
 株式投資のことが書いてあります。けっこう詳しく書いてあります。株主優待のことも書いてあります。テレビ番組『月曜から夜更かし』の桐谷さんを思い出します。

 お金を自分に投資する。自分の能力向上のためにお金を使います。自分が財産です。

 なんというか、衣食住の基本的な社会生活が営めるようになるという下地(したじ)をつくってから、いろいろなことにチャレンジしたほうがいい。最近のちびっこはユーチューバーになりたいとか言いますが、いきなり、その道の有名人になっても世間や社会のことを知らなければそのうちつぶれてしまいます。破綻します。(はたん:やっていけなくなる)世の中の人は善人ばかりではありません。お金があるところにはへんな人間も集まってきます。



『にゃんこ大戦争で学ぶ! 難しい言葉1000 KADOKAWA』
 大きくてぶあつい本です。国語の辞書みたいです。
 最初は、小学校低学年にはむずかしいと思いましたが、読んでいるうちに、あんがいいけるんじゃないかと思いなおしました。
 日本語の研究・紹介書です。テレビのクイズ番組の問題に出てきそうな言葉の意味紹介がたくさんあります。
 読み込んで覚えれば、語彙(ごい。言語使用の幅、範囲)が広がります。
 いい本です。

 Lesson001から始まって、Lesson153まであります。6択(ろくたく。6個の答え候補から選ぶ)問題があって、次に6個の問題があります。問題がいっぱいです。

 文章づくりの参考になります。
 大量ですので、少しずつ楽しみながら前進するようにページをめくるやりかたがよろしいかと思います。

 小学生にはむずかしそうですが、やってみないとわかりません。
 ツボにはまれば、おもしろいと思います。
 最初はむずかしくてもだんだん慣れてきます。
 正解すると嬉しいし楽しい。
 日本語研究の本です。
 プレゼントにはいい本です。
 『四字熟語』があります。
 
 なんというか、不思議な絵を楽しむ本です。
 ネコの顔の下にどういうわけか、足が付いています。
 不気味でさえあります。
 (昔、オカザえもんという愛知県岡崎市の非公認キャラクター人形を買ってきて玄関に飾っていたら『あんな気持ち悪いものがどうして好きなのか』と言われてしょんぼりしたことがあります。奈良の『せんとくん』も気持ち悪いそうです。人によって好みは異なる(ことなる)ものだなあと考えましたが、そう言われるとそうだなと思い飾るのをやめました。ドラえもんからネーミングしてあるのかと今ふと気づきました(オカザえもん))

 『故事成語(こじせいご)』も出てきました。『矛盾(むじゅん)』とか『背水の陣(はいすいのじん)』『蛍雪の功(けいせつのこう)』などです。

 なかなかいい本でした。

(2024年12月4日水曜日追記)
 先日用事があって千葉駅へ行ったときに、駅のそばにあったパチンコ店の玄関前に、『にゃんこ大戦争』の看板があって、なんだか気分が盛り上がりました。こども向けのマンガですが、パチンコ台のキャラクターにもなるのですな。
 以前うちの小学校低学年の男の孫が、パチンコに連れて行ってくれというので、ゲームセンターだろうと思っていたら、本当のパチンコ屋だと言うのでびっくりしました。18歳未満はだめだ。ギャンブルなんだと教えてやりました。


  

Posted by 熊太郎 at 06:39Comments(0)TrackBack(0)千葉県

2023年09月20日

東野・岡村の旅猿23 童心に帰って夏を満喫しようの旅

東野・岡村の旅猿23 プライベートでごめんなさい 「童心に帰って夏を満喫しようの旅」 hulu(フールー)とTVer(ティーバー)

 吉本興業東京本部からスタートです。
 むかし、アナウンサーの川田裕美さん(かわたひろみさん)と岡村隆史さんをくっつけようとした話から始まりました。ふたりは一度も会うことはなく、川田さんは結婚されたという話が出ていました。お子さんもおふたりおられます。
 番組『アメトーク』の運動できない人という特集で川田アナウンサーを見たことがあります。スキップができない人でした。
 都内での日帰り旅で楽しむらしい。あとから常連ゲストの持田香織さんも加わるそうです。放送は2回あります。

 ゲストの佐藤栞里さんは感じがいい人です。
 だれにでも好感をもたれるタイプだと思います。

 みんなで、こどものように夏休みを楽しむそうです。
 3人でスイカ割りが始まりました。
 楽しそうです。このあとのまち中華での食事も含めて、仕事とは思えない雰囲気です。タイトルどおり「プライベートでごめんなさい」です。
 冷やし中華おいしそうでした。東野さんが珍しく完食されました。
 そのあとのトランポリンも楽しそう。これは、いい仕事です。
 なにかハプニングでもあるのでしょうか。次回が楽しみです。

(つづく)

 2回目の放送は、TVerで観てみました。期間限定です。いまさらですが、TVerで見ることができることを知りませんでした。いろいろチャレンジの日々が続きます。新しいやり方をぎこちなくも身に着ける日々が続いています。先日はミュージカルのチケットを電子チケットでスマホの中で手に入れました。アプリを入れたりして四苦八苦しながらやりました。

 こちらの番組ゲストの持田香織さんは、さっぱりしたお姿のお母さんになられました。
 
 シークエンスはやともさんという方の占いシーンがありました。(シークエンス:連続、順序、脚本のシーンなど)。霊が見えるらしい。

東野幸治さん:とりついている霊は、全員が男性ファン。400人ぐらいいる。女性ファンはいない。

佐藤栞さん:生霊(いきりょう)がたくさんついて守ってくれている。250人ぐらいが応援してくれている。男性との縁は見られないというような占いのニュアンス(感触)でした。
 
岡村隆史さん:ふたりの女性の霊がとりついている。ひとりは奥さん。もうひとりは、けっこう怒っている。岡村さんの左耳をちぎろうとしている。意味深ですが、そのうち離れていくだろうというような占い師さんの予想でした。(意味深(いみしん):なにやら深い意味がありそう)
 まあ、迷信です。根拠がない。信じなくていい。
 娯楽です。

 東野幸治さんの希望で、ジャズのレコードをダイナミックオーディオスピーカーで聴く企画がありました。
 前回の旅猿は広島県訪問で、ジャズのレコードや雑誌を販売しているいい感じのお店を訪問しました。(本業はお米屋さん)そのときから、ジャズのレコードを聴くことが楽しみになったそうです。

 最後は、すきやきの夕食に持田香織さんも参加して、東野幸治さんの誕生日祝いをしました。56歳だそうです。ずいぶん若々しい56歳です。気持ちはいつも18歳の少年です。
 持田香織さんが、きょうは、幼いこどもさんと離れて、ゆっくりごはんが食べられるとお話されていました。実感がこもっています。子育てはまわりにいる人みんなで分担しましょう。母親ひとりに負担が集中しないようにする心配りはだいじです。

 誕生日祝いのケーキの絵がかっこよくて良かった。東野幸治さんの似顔絵でした。
 持田さんの大声でのゲラゲラ笑いを久しぶりに聞けて良かった。
 2020年10月の放送で、持田さんが、山の岩場で、渓流すべりをされたシーンを思い出しました。ずいぶん危険なことにチャレンジするものだと驚かされました。2022年にお子さんを出産されています。  

2023年09月19日

おばけのてんぷら せなけいこ

おばけのてんぷら せなけいこ作・絵 ポプラ社

 うさぎがめがねをかけていいます。
 めがね姿がかわいい。
 こどもさんに読み聞かせるための絵本です。

 1976年(昭和51年)の絵本なので、ことばづかいが古いのですが、なつかしい。
 うさぎのお名前は『うさこ』です。
 おみそ汁は『おみおつけ』です。

 にんげんのちびっこは『食べること』が大好きです。うさこも食べることが好きです。
 おや、ねこが出てきました。
 ねこのお名前は『こねこくん』です。

 はり絵のような紙面です。でこぼこした感じがあります。ぬくもりがあります。

 こねこくんのおべんとうです。
 おかずはてんぷらですが、日の丸弁当みたいに見えます。(白米(はくまい)ごはんのまんなかに赤い梅ぼしが1個置いてあります)

 『かあさんねこ』いまどきは、耳にしない言葉です。
 昔の人は、日本語を大切にしていました。

 てんぷらの材料として:にんじん、おいも、さやえんどう、かぼちゃ、たまねぎ、こむぎこ、あぶら、たまご……

 たまご屋、やお屋、かんぶつ屋、昔は個別のお店でした。何の店? と聞かれそうです。今は、スーパーマーケット形式が多くなりました。

 絵で、てんぷらのつくりかたが順番に描いてあります。
 わたしが中学一年生の時に、母方祖母がわたしに、トンカツのつくりかたを手取り足取り教えてくれました。
 祖母にはいろいろと、とても世話になりました。
 もうずいぶん前に亡くなりましたが今でも感謝しています。
 
 うさこは、てんぷらづくりのさいちゅうに、めがねをこむぎこの中に落としてしまいました。気づいていないみたいです。(うさこは、めがねがなくても、目は見えるみたいです)

 ほーー そうくるか。奇想天外です。(きそうてんがい:まったくおもいもよらない展開)
 夕方、おやまのてっぺんにおばけの登場です。
 たのしい発想の展開があります。おばけもてんぷらを食べたいのです。
 うさこは、めがねをはずしていたから、やっぱり見えないのか。うさこはおばけの姿が見えなくて、おばけをてんぷらにしてしまいそうになります。

 そうか。いろいろ考えてある物語のつくりです。
 ちびっこにとって、ハラハラドキドキシーンがあります。
 
 短いお話ですが、なかなかたくさんの情報がこめられています。
 お話はひねってあります。(ひねる:工夫(くふう)する。どんでんがえしとかがある)  

Posted by 熊太郎 at 06:47Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2023年09月15日

さよならのあとで 夏葉社

さよならのあとで 詩・ヘンリー・スコット・ホランド 絵・高橋和枝 夏葉社(なつばしゃ)

 『あしたから出版社 島田潤一郎(しまだ・じゅんいちろう) ちくま文庫』を読んで、島田さんがひとりで経営している出版社「夏葉社」の本を何冊か取り寄せました。
 まず驚いたのが、どの本も装丁(そうてい:本のつくり)が、ていねいにつくられていたことです。大量販売の本ではありません。大量販売の本は効率優先でつくられています。できるだけ製作経費を安くして、世の中に大量に流通するように、購買者に目立つようにという派手なつくりです。
 夏葉舎の本はそうではありません。まるっきり正反対のつくりです。驚きました。末永く持ち続ける本です。何度でも再読するのです。

 この本は、一片の詩を一冊の本にしてあります。
 珍しい。
 詩集はなんどか読んだことがありますが、このようなつくりの詩集は初めて見ました。
 1ページに、文章が、一行(いちぎょう)か二行(にぎょう)しか書いてありません。

 全体を読み終えて、目を閉じて思ったのは、類似の詩(あるいは歌)として『千の風になって 秋川雅史さん歌唱』があるということです。亡くなった方が、生存している人に贈るメッセージです。
 こちらの本にある詩は、イギリスの詩人がつくったものです。
 ヘンリー・スコット・ホランド:1847年(日本では江戸時代末期。明治維新が1868年)-1918年71歳没
 絵を描かれた方は『盆まねき 富安陽子・作 高橋和枝・絵 偕成社』で見たことがあります。児童文学です。
 こちらの本の挿絵(さしえ:文章に関係がある絵)には味わいがあります。
 
 自分の勝手な解釈を入れながら、もう一度、1ページずつめくって読みながら考えてみます。
 『となりの部屋にそっと移っただけ。』(亡くなった方が、隣の部屋に移動したのです。この文章がこの詩のキモ(最重要点)です)

 人の死というものは、亡くなった方とすごく身近な関係にあった人を除いて、たいていは、お葬式が終わって一週間もたつと忘れ去られてしまう出来事です。
 生きている人たちは、日々の生活に追われて時間が過ぎていきます。

 一年に数回しか、あるいは、数年に数回しか会わない人は、その人が亡くなったあとも、まだ生きているかのような気がしたりもします。(ゆえにわたしの母方祖父母は、わたしのなかではまだ生きています。ただ、本当に生きていたら、とうに100歳を超えています。自分のイメージ(想像、空想)では、歳をとらずに生きています)

 この本は、魂とか心がこもった本です。

 先日親族の三回忌を営みました。
 また、近々お寺さんにお参りにも行きます。
 ヒガンバナが咲く9月になりました。
 おととしの9月にひとり、続けて10月にもうひとり、高齢の親族を見送りました。
 時がたつのは早いものです。
 そのぶん、孫たちが成長しました。幼稚園生だった子どもたちが、いまは小学生です。
 
 生きているうちに、お互いによく会話をして、意志疎通をはかっておこう。
 けっこう、誤解があったりもします。
 みためではなかみはわかりません。

 亡くなった人との思い出を秘めながら(ひめながら:表面には出さないけれど。)これからの日々を過ごしていく。自分なりに、いつもせいいっぱいやってきた。よかったことも、そうでなかったことも、いろいろあったけれど、あれはあれで良かったと自分を納得させています。過ぎた過去を変えることはできません。

 詩の一文(いちぶん)として『人生を楽しんで』(この言葉に尽きます)

 死んだ人からのメッセージです。『ほほえみを忘れないで。』(「ありがとう」という言葉を言えない人は、幸せになれないと思います)

 白黒の絵が秀逸です。(しゅういつ。ぬきんでて、すぐれている)。カラーじゃなく、白黒で良かった。

 深い悲しみがあって、強い克服があった。

 自然でいてくださいというメッセージが続きます。
 平常心の維持がだいじです。

 絵本のようでもあります。
 
 歳をとって思うことです。これまでにたくさんの人の死を見送ってきました。
 自分が迷惑をかけた相手もいますし、逆に迷惑をかけられた相手もいます。
 もう終わったんだなあと思うのです。
 相手はもうこの世にいません。
 そんなことを考えながら、自分もあの世へ行く順番待ちをしているという実感はあります。

 さて、この本の趣旨に戻って考えてみます。
 繊細な心をもつ人にあてた死者からのメッセージです。
 愛する人を失って(男女とか年齢に関係なく)、その人のことを忘れることができないのです。
 亡くなってしまったのはしょうがない。気持ちを切り替えて、ガンガンやっていこう! とは思えないのです。
 愛する人を失って、沈んだ気持ちでいる人が読む本です。(失意とか落胆とか)
 忘れられないのなら、忘れなくていいのです。
 詩に一文(いちぶん)があります。『となりの部屋にそっと移っただけ』

 カノン:クラッシク曲の美しい曲(パッフェルベルの「カノン」)ですが、こちらでは、この詩をつくった人が所属するキリスト教会(セント・ポール大聖堂)での役職が「カノン」として書いてあります。カノンは、司祭(しさい:儀式担当の職員)

 グリーフケア:死別の悲しみをかかえる遺族をサポートする。  

Posted by 熊太郎 at 08:28Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2023年09月14日

琥珀の夏(こはくのなつ) 辻村深月(つじむらみづき)

琥珀の夏(こはくのなつ) 辻村深月(つじむらみづき) 文藝春秋

 4か月ぐらい前に手に入れた本です。
 これから読む本のダンボール箱に保管してありました。
 夏も終わりに近づいているので、タイトルの夏にちなんだ読書をせねばと、ちょっとあせりぎみで本を手にしました。
 
 読み始めて、迫力のある出だしです。
 幼児の白骨死体が発見されたようです。
 事件モノ、児童福祉施設でのこどもの死を扱ってあるようです。
 いつものように読みながら感想メモを書き足していきます。

 静岡県にあった『ミライの学校』の跡地で女児の白骨死体が発見された。
 死体は自分の孫ではないかという人が現れた。
 弁護士女性が動き出したのですが、どうも彼女がなにかを知っているようです。彼女も同じ施設にいたというような設定に思わせる話の運びです。

 美夏(みか):死体の主ではないか。

 近藤法子(こんどうのりこ):弁護士

 田中:施設の関係者女性。やせている。化粧っけなし。白髪あり。見た目が、近藤法子よりずいぶん年上に見える。

 青年:施設の事務職らしき人。眼鏡をかけて、小鹿のような顔をしている。(施設で育ったこどもではないか)

 プロローグとエピローグがあって、第一章から第八章、そして、最終章があります。

 ミライの学校:雑草の生い茂った「広場」があった。広場の隅に、トタン屋根の物置小屋があった。雑草の生えた広場に何年も乗っていないような自転車が1台横倒しになって放置されていた。
 鳥、蝶、トンボ、お風呂、食堂、木造校舎、工場、先生との問答、泉、女児の白骨死体は、広場に埋められていた。(宗教関係の児童施設だろうか)

(つづく)

 40ページまで読みました。人の名前がたくさん出てきます。
 施設という設定から以前観た邦画を思い出しました。『約束のネバーランド 邦画』化け物に食べられるためにこどもたちが養われていたのです。おぞましい話です。(恐怖、嫌悪、いやな思い)

以下、昔のこととして、

 美夏(ミカ。再掲):白骨死体の主と思われる。今は、幼児。幼稚園年長6歳ぐらいか。幼等部。ミカは、6年生のシゲルが好きらしい。

 近藤法子(ノリコ):今は弁護士。ミカと同い年。幼等部

 ヨシエ:小等部4年生
 ミチエ:4年生
 シゲル:6年生。無口。背が高い。坊主頭。女子にもてる。
 ヨウイチ:3年生
 チトセ:この子がキーポイントのようなポジションに見えます。背中のまんなかまでのびる長い髪。気取っている。ここで(施設で)生まれたこどもではない。幼等部。ミカ、ノリコと同い年。幼稚園年長、6歳ぐらい。(いじめにあうのだろうか)
 ナナ:2年生
 ナルミ:中等部3年生
 シンスケ:高等部
 エリカ:小等部5年生。森の泉にリボンを流してなにかお願いをしたらしい。シゲルと両思いになれますようにかも。
 ユッコ:中等部
 ヒサノ:幼等部。年長6歳ぐらい。
 ユタカ:小等部
 ヤス(ヤスアキ):幼等部
 タカシ:幼等部
 
 くみこ先生
 水野先生:幼等部の校長。白い髪と白いヒゲ。おじいちゃん。絵の先生。ミカにとって、水野先生は好きな先生
 ひとみ先生

 施設の名称は『学び舎(まなびや)』です。
 『ミライはここにしかない』
 ミカの施設入所です。いままでつないでいたはずの手がいつのまにかなくなっているとあります。悲しい話です。(施設入所で、つないでいた親の手が離れた)

 『森の泉』『朝いちばんの泉の水に、大事なものを流してお願いすると、どんな願いでもかなう……』(泉から川のようなものが流れて出ているのだろうか)
 水を泉までくみにいって、生活用水として使用しているようです。
 小学校は麓(ふもと)にある。
 
 工場:泉の水を汲んで詰める工場

 美夏は泉に行って自分の宝物(お父さんとお母さんからもらった絵の具)を泉の水に流すのですが、それは寝ていたときの『夢』ではなかろうか。実際には夜中に泉には行っていないのではないか。美夏は両親に会いたい。(両親はともに事故死したのかと思っていたら生きているようです。年末年始に会えるそうです。わたしの勝手な意見ですが、こどもを捨てるような両親は捨てればいい。追いかける必要はありません)

(つづく)

 80ページまで、第一章「ミカ」の部分を読み終えました。
 前記した出来事は『夢』ではありませんでした。
 なにかしら現実味がないお話が続きます。就学前の女児たちの話は、人間の話ではなくて『妖精(ようせい)』たちの話のようでもあります。
 死んで白骨死体で埋められていたであろう就学前6歳ぐらいの女児「ミカ」が生きていたときのようすが書いてあります。不気味です。

 親が孤児院らしき施設『(ミライのための)学び舎(まなびや)』』に来て、就学前の女の子チトセが引き取られていったようです。やせた髪の短い、唇が赤い女の人が迎えに来ました。男の人が車の運転をしていました。
 『帰るの?』
 そのあと
 『どこに』
 『ナガサキ』(旅行で行ったことがある長崎県内のあちこちの風景が目に浮かびました。チトセの親は冷たそうな人間に見えます)

 会(かい):話し合いの場のことのようです。学び舎(まなびや)の建物と事務所の間にある大きな建物の中で「会」が開催されるそうです。会を開いて「問答(もんどう)」をするそうです。(この施設ではなにを学ぶのだろう?)「ゆるす」という言葉が出てきました。
 
 泉に流したのが、油絵具だったらだめで、水彩絵の具だったらいいという理屈は変です。

 年長らしき幼児たちは、小学校に入学するそうです。ランドセルは新品もあるし、おさがりもあります。

 80ページの位置にいて、作者は、この本で、どんなメッセージを読者に伝えたいのだろうかと思う。

(つづく)

 100ページまで読みました。
 孤児院の話ではありません。
 これは、昔問題になったこどもを農業集団の中で育てる組織のことだろうか。
 親がいるのに親から離れて集団生活をするこどもたちです。へんな親です。親の役割を放棄しています。こどもからみれば、ひどい親です。児童虐待みたいなものです。親にこどもを育てる能力がありません。
 自然の中で農作業や畜産、遊ぶ体験をさせる集団です。
 この本の中では『ミライの学校』です。
 洗脳が恐ろしい。(組織の都合のいいように意識や心理をコントロールされてしまう)
 先日読んだ作品『光のとこにいてね 一穂ミチ(いちほ・みち) 文藝春秋』を思い出しました。自然派食品しかこどもに食べさせない毒親がいました。

 81ページから始まる『第二章 ノリコ』は、成長して弁護士になった近藤法子のことでしょう。いまはまだ小学4年生です。夏休み体験のような企画で、短期間、ミライの学校にいたようです。『夏の(学び舎(や))留学編』です。

 ユイ(小坂井由衣):ノリコの友だち。かわいい。バレエとピアノと英語と習字と新体操をしている。むらさき班。母親が、ちはる先生(きみどり班)
 ケイコ、マリ:ノリコやユイと同年齢
 アミ(アサミ):小学4年生。ユイの仲良し。きいろ班
 コウスケ:アミと関連があるようです。
 メグミとタクマ:こどもクラブというところに属している。ノリコと保育園が一緒だった。
 ノリコの母親:看護師をしている。
 ノリコの父親
 シンタ:ノリコのクラスメート
 エリ、ハルミ、ミエ:ユイの仲良し。エリの言葉『―― ノリコちゃんさ、一緒に(ミライの学校へ)行ってあげることなんてないって。』

 なにかしら、ノリコに対する「いじめ」の雰囲気があります。えこひいきです。ノリコが責められるような言葉の流れが同級生女子にあります。ダサいノリコだそうです。
 
 人の名前がどんどん出てきて把握がたいへんです。
 
 時田:女の人。はきはきしてきれいな人。細くて、優しそう。話もじょうずそう。あかちゃんをだっこしている。アミの母親。英語の先生。アメリカ暮らしの体験あり。黄色班

 こどもの集団は、色分け名称の班に分けられる。

 ノリコ(ノンコ):みどり班
 初日はユイと寝たが、翌日の夜は寝なかった。

 じゅんぺい先生

 しんたろう先生(校長):白髪少々の黒髪、眼鏡

 まみ先生(時田):だいだい班。アミの母親。

 ちはる先生:きみどり班。ユイの母親

 この集団は、どうも『苗字(みょうじ)』を使わないようです。
 おとなもこどもも、下の名前で呼び合います。この集団の独特な慣例なのでしょう。

 以下、学園入所中のこどもたち
 アリサ:ツヨシ:ミチエ:ヨシエ:ショウタ:ヒサノ:ミカ
 シゲル:眼鏡、クール、頭が良さそう。かっこいい。
 サヤ:みどり班。4年生。カワサキから来た。食べることができないものとして、牛乳、卵、肉。食べることができるものとして、野菜

 さちこ先生:みどり班担当

 ミワ:仙台から来た。ユイと仲良し。むらさき班

 (なんというか、うわべだけの仲良し関係の集まりで、なにかしら不気味です)

 ノリコは配膳係です。

 第二章の終わりに、白骨死体でみつかったという『ミカ』が出てきました。

 第三章『法子(のりこ)』を読み始めます。

 近藤法子は成人して結婚してこどもがいます。彼女の職業は弁護士です。夫も弁護士です。
 
 藍子(あいこ):近藤法子夫婦の娘。もうすぐ3歳

 近藤瑛士(こんどうえいじ):近藤法子の夫

 山上法律事務所:近藤法子の所属事務所。近藤法子は15年間所属している。

 山上:山上法律事務所の所長。65歳男性

 新谷(あらや):山上法律事務所の顧客。東京小岩にある工務店の社長。新谷の妻の母親が死去した時に相続手続きで近藤法子が手続きをした。絶縁状態の妻の弟がいた。弟は、新興宗教に入信して出家して親戚づきあいがなくなった。団体名が『道輪の会(みちわのかい)』弟は50代で丸坊主、ガラスのような目をしていた。相続放棄の手続きをした。

 吉住夫妻(よしずみふさい):新谷の知人で老夫婦
 吉住孝信:夫。87歳。元商社マン
 吉住清子:妻。85歳
 長女 保美(やすみ)
 吉住夫婦には、娘がいるが、音信不通になっている。娘である保美(やすみ)がこども(おそらくミカ)を連れて、宗教のような団体で集団生活を始めた。ふたりにとっての孫は、当時2歳だった。以後交流がない。
 こどもの白骨死体のニュースを聞いた。そのこどもは自分たちの孫のミカではないかと思っているとのこと。死亡時の年齢は9歳から12歳、小学3年生から小学6年生。弁護士の近藤法子は、自分が小学生のときに夏休みのときだけ参加していたサマースクール『ミライの学校(静岡県内にあった。2002年に閉鎖(平成14年)2001年団体が売っていた水に不純物が見つかった)』で出会った少女ミカではないかと考え始めた。4年生と5年生のときに会った。6年生のときにはいなかった。

 カルト的:何者かを崇拝する集団。熱烈な信者

 吉住夫婦の娘の経歴です。
 名門私立中高一貫校を卒業して国立大学卒業後就職。同僚の男性と結婚後娘をもうけて離婚。ミライの学校で生活開始。孫娘は二歳だった。両親が孫娘は置いて行けと言ったけれど娘は孫を団体施設へ連れて行った。(組織では親子を離して生活させた。子は団体組織の活動のために利用する人材だったのでしょう)
 
 弁護士近藤法子の思い出ふりかえり部分を読んでいると、ミライの学校という組織は、うわべだけがよく見える組織運営をしていたということがわかります。

 白骨死体が、吉住夫婦の孫娘のミカかどうかを確認する。
 孫娘はもし今生きていたら四十歳になる。
 (こどものまま死んでいったことに深い悲しみがあふれています)

 学力優秀な親が、こどもにとっていい親とは限らないことがわかります。

『第四章<ミカ>の思い出』
 さちこ先生(山下さちこ):なにかわけありの人
 けん先生:さちこより年下。この人も変(へん)
 ノブ:小学4年生男児。学習障害でもあるのか。言動が変(へん)
 水野先生:麓(ふもと)の小学校の校長先生みたいな男性。白髪頭のおじいさん。
 サヤ:光本沙也。川崎支部所属。メガネをかけている。偏食者(へんしょくしゃ)。きれい好き。
 シゲル:沖村滋

 ミカの語りが少しあって、そのあと、ノリコの語りが長時間続きます。
 未来の学校における夏合宿の様子です。六日間です。

 さちこ先生とけん先生の対立があります。小学4年生ノブへの対応の仕方が対立の原因。『一人も、誰のことも、置いて行かない。』
 『泉』がこの集団のシンボルです。天然水を工場でボトルに入れて販売しています。
 RPG:ロールプレイングゲーム。役割分担実行ゲーム
 
 毎夜『会』と『問答』がある。

 ノリコ(みどり班)、アミ(アサミ。きいろ班)、サヤ(みどり班)の三人で寝る。
 
 小学四年生ノブに関してです。なんというか、やろうとか、やらせようとか思っても、できないこどもさんもいます。以前読んだことがある本の読書メモの一部です。『ケーキの切れない非行少年たち 宮口幸治(みやぐち・こうじ) 新潮新書』『どうしても頑張れない人たち ケーキの切れない非行少年たち2 宮口幸治 新潮新書』「認知機能:記憶、思考、理解、計算、学習、言語、判断」に問題があるそうです。病院では、根本的には治せない。
 ふまじめとかやる気がないとかの性格・資質ではなく、もともと能力がない。非行行為をした理由を説明する力が本人にない。深刻な雰囲気です。外見ではわからない。むしろ弱々しくて、線が細い。ふだんは、おとなしく、無口。人なつこい面あり。あいさつはできる。九九ができない。日本地図が理解できない。日本国首相の名前が言えない。日本国首相の名前が、「オバマ」という返答にはあぜんとしました。学校では、いない者として扱われていたのではないかと読みながら思ってしまいます。不登校、暴力、万引きが始まります。

 「平和」と「戦争」について問答をする。「ケンカ」と「戦争」について考える。
 (なんというか、答えのない問題を解こうとしています。人間は欲をもつ生き物です。欲にかられると善悪はなくなり、武力行使で勝った者が正義になります)

 この集団のおとなたちは、しなくてもいいことをして苦しんでいるようにみえます。

 合宿中、小学4年生のノリコに初めての生理が訪れました。そのあと、いろいろあります。

 自習室:反省部屋。ひとりでゆっくり考える。生きることは反省の繰り返しだそうです。自習室は、はたから見れば『罰(ばつ)』です。自分の意思では、外に出られない。

 カマドウマ:わたしは、「ウマオイ」と呼んでいます。虫です。

 いとことは、こどものときはよくいっしょに遊びますが、おとなになると、たいていは、他人のようなものになります。

 『ほんとうは、お母さんといっしょに暮らしたい』

 (ミカが白骨死体になっていたとして、シゲルは今、どこで生きているのか? どこにいるのか? 「シゲルとミカは両思い」シゲルはミカより6歳ぐらい年上)

 世界と未来を考える。

 ヒサノ:小学4年生

(つづく)

 タイトルに『琥珀(こはく)』とあります。
 琥珀:天然樹脂の化石、宝石。石の中に太古の化石があることがある(虫とか)。飴色、黄金色。宝飾品。NHKBSで再放送されているじぇじぇじぇの『あまちゃん』では、登場人物の勉さん(べんさん)がいつも飲食店のカウンターに座って琥珀を磨いています。

 今は、第七章『破片の行方』を読んでいます。第五章『夏の呼び声』第六章『砕ける琥珀』を経ました。(へました)
 登場人物たちの素性がだんだん明らかになっていきます。ここに書くことはやめておきます。

 ノリコが宗教ではないけれど宗教のような集団の夏期合宿に三年間連続で参加してから三十年ぐらいが経過しています。ノリコは40歳の弁護士、夫と保育園の2歳児クラスに預ける娘がいます。

 なんというか、人間の『偽善(ぎぜん。表裏(おもてうら)。うわべだけの良いこと。本心は正反対』を問う作品です。正義の立場で相手を責める人がいます。実は、善良な心をもっていない人です。作品では、自分は「いい人」相手は「悪い人」と決めつけた言動をする人を糾弾します。(きゅうだん:真実を暴き出し(あばきだし)非難する)
 その状況から(たぶんこれからの展開として)『愛情』を見つけ出していくのです。

 カンピロバクター:水の中にあるバクテリア。そういえば、先日、観光地で流しソーメンの食中毒がありました。こちらの本では、集団がつくる泉の水のペットボトルにカンピロバクターが入っていました。

 セリフの書き方として、「 」と表記するときと『 』と交互に表記することで、だれが発言したかわかるようになっています。わたしが初めて見た手法です。

 八街市(やちまたし):千葉県内のことがときどき出てきます。わたしも縁あってときおり千葉県を訪れるので読んでいて、身近に感じることができます。楽しみにしているテレビ番組のバス旅のコースでもよく千葉県内が出てきます。

 299ページ、映画を観ているようなシーンです。
 何十年ぶりかの再会があります。

 <ミライの学校>学校として認定されていない組織で、こどもはミライの学校という宿泊共同施設から、地元の小中学校に通う。ミライの学校の高等部を卒業しても高卒にはならない。学歴は中卒のままとなる。

 宗教ではないけれど、宗教のような団体に加入してくる人のタイプが書いてあります。けっこうきついものがあります。
・裕福な家の専業主婦
・高学歴でも専業主婦でいる女性
・お金がある。
・暇がある。
・熱意がある。
・夫は仕事が忙しい。夫は家庭のことにかまわない。夫は、妻が家庭を守る立場にいると思っている。
・妻は思想にかぶれる。(戦争や平和について語り合うけれど、どこまで真剣なのか怪しいとあります)
・妻はまじめな性格である。
 
 登場人物たちは、正直者ではありません。ウソをついているのではないかと考えながらの読書です。推理小説の要素があります。
 
 <ミライの学校>:絶対的な秩序がない。きまりごとはたくさんあるけれど、何のための組織なのかという『目的』がない。
 
 『子どもたち――特に小さな子には、絶対に家庭が必要です……』(同時期に読んでいた別の本が『児童養護施設という私のおうち 田中れいか 旬報社』でした。7歳から18歳まで児童養護施設に入所体験をされています)
 
 『あそこが一番大事にするのは、自分たちの生活を守ることです……』(組織人というのは、組織と自分たちを守ることを最優先に考えます)

 どこまでが真実で、どこからがウソなのか。ことがらを信じられなくなります。暗い闇が広がっています。

 うわべだけのきれいに見える外見(そとみ)と内面にある毒々しいほどの現実の対比です。

 近藤法子の3歳になる娘が保育園に入れないという悩みが書いてあります。2歳児までしか預かってくれない保育園があります。その次を探さなければなりません。保育園待機児童の話です。
 都会は競争社会です。ひとつのポスト(地位。席(せき))に人が群がります。
 
 369ページ『仕事をやめ、育児のために時間をささげるのはどうして女の方だと決まっているのか……』
 以前読んだ本『彼女の家計簿 原田ひ香 光文社』を読んだ時にショックを受けた記述があります。それまでは、女性における会社の幹部ポストというのは、結婚・出産・育児をしないで、仕事一筋にやってきた女性がなってあたりまえと思っていました。違うのです。
 家庭・家族をもちながら働く女性の、家庭・家族をもたない仕事人間女性に対する攻撃的な意思表示がありました。
 『積極的に家庭をもたなかったあなたには、仕事しかすることがなかった。あなたから仕事をとれば、あなたには何もない。家族がいない。
 わたしだって一生懸命働いた。仕事をしたかったけれど、(育児支援の制度を利用して)結婚・出産・育児をしなければならなかった。子育てをしながら懸命に働いたのに、幹部役職のポストには就けなかった。(家庭も家族ももたなかった)あなたばかりが職場で出世した』家庭・家族をもった勤労女性にとって職場での待遇が不公平であることに強い不満をもち抗議する姿がありました。

 異母きょうだい、愛人の子、本妻の子、継父、継母、実母再婚後の異父きょうだい、家族の枠からはみ出された子、不倫の清算、いろいろあります。施設に入る前に、宗教みたいな集団に入る。血縁関係があっても、親子の縁を切りたい人たち。複雑です。

 『――ずっと放っておいたくせに。(ほうっておいたくせに)』

(つづく)

 殺人なのか、事故なのか、病死なのかはわかりませんが、動機として、複数の女子によるひとりの男子の取り合いという発想が生まれました。

 実の親とこどもがいっしょに暮さない集団です。
 この集団の維持目的である『理由』と『理屈』がわかりません。
 おとなは、自分のこどもではないこどもの集団の世話をします。他人のこどもです。

 まだ読み終えていない自分の想像です。事件の真相として、おとながこどもを殺して、ほかのこどもが、殺したおとなをかばって、自分がそのこどもを殺したとウソをついているのではないか。
 殺人の身代わりを申し出たこどもは『あきらめた』のです。人間不信になったのです。(読み終えて:状況は違っていました)
 
 世の中のありようとは異なる思想として『真実を知りたい』(世の中は、真実よりも形を整えることに専念します)
 高い理想をもった団体に属していたこどもたちの意思として『真実を知りたい』

 416ページから『第八章 ミライを生きる子どもたち』です。
 宗教二世の話みたいです。
 
 女性だから、家事ができるわけではありません。家計簿をつけることができない人もいます。整理整頓の片付けがにがてな人もいます。同じくスタイルが良くて見た目がきれいだからといって、きちんと生活できるわけでもありません。自分を飾ることが得意な人です。この世は、誤解と錯覚で成り立っています。

 子育てができないから保育園に頼る。子育てができないからこどもを集団に預ける。

 近藤法子弁護士にも幼いこどもさんがいます。(二歳女児)
 うまく子育てができているようには見えません。
 仕事との両立です。仕事のほうが優先です。
 なぜ、保育園が必要なのか。
 
 446ページまできました。読みごたえがあります。

(つづく)

 読み終えました。
 くりかえしになりますが、読みごたえ(よみごたえ:充実感、価値がある、長いということも含めて)のある物語でした。

 職業とか仕事について書いてあります:自分が思っていることと正反対のことをしなければならないことがあるのが『仕事』です。(そういうことはしょっちゅうあります。立場で発言をする。それができない人はまだこどもです)
 
 東京地方裁判所:東京駅の近く、日比谷公園のそばにある。

 自分しか知らないと思っていたことが、おとなになってみると、みんなが知っていたということはあります。言いたくても言えない『秘密のようなこと』をそれぞれが、頭の中にしまってあります。

 隠蔽(いんぺい):なにかしら最近報道で話題になっている事務所のことと共通するような雰囲気がある物語の内容です。物語では、人命のことよりも組織の存命を優先したおとなたちがいます。
 
 タイトルにある『琥珀(こはく)』の意味がわかります。閉じ込めたのです。まず人を閉じ込めた。次に真実を閉じ込めた。

 記憶から出来事を消し去ることが、明るいミライにつながるという誤った判断があります。

 『泉』がからんできます。
 最初に戻る手法です。
 
 作者の作品でもう一冊、これから読む本が入れてあるダンボール箱に入っているものがあります。作品名は『傲慢と偽善(ごうまんとぎぜん)』です。テーマはこちらの『琥珀の夏』と同じかもしれません。文庫本である『傲慢と偽善』を読むのはまだだいぶ先の予定です。

 詭弁(きべん):理屈に合わないごまかしの発言

 自分のこどもを育てずに、他人のこどもの教育をしながら、自分は理想を追いかけていると思いこんでいるおとなたちがいます。

 本音と建て前(たてまえ)のぶつかりあいがあります。『キレイゴトばっか……』

 隠すからへんなふうになってしまう。
 こどもたちは、事実をなにも教えてもらえない。

 そうか……

 形式的な父と母はいたが、本来あるべき姿の父と母の存在がなかった。

 人間には二面性があって、そのことを隠すのか、オープンにするのかで、人の生き方がずいぶん異なってきます。オープンにする「お笑いの世界」なら救われるということはあると思いました。

 今度東京に行ったときは、物語にちらりと出てくる東京駅近くにある日比谷公園あたりを散策してみるつもりです。  

Posted by 熊太郎 at 06:52Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2023年09月13日

出川哲朗の充電バイクの旅 北海道 新冠町から登別温泉

出川哲朗の充電させてもらえませんか? 北海道 新冠町から登別温泉 テレビ愛知
 北海道“新冠町(にいかっぷちょう)”から苫小牧(とまこまい)を通ってサラブレッド街道147キロ!ゴールは名湯(めいとう)“登別温泉(のぼりべつおんせん)”なんですがついに田中圭がキター!超ノリノリでグルメに温泉ヤバいよヤバいよSP


 土曜日のお昼に前半(ゲスト:おかずクラブのオカリナさん)夜に後半(ゲスト:田中圭さん)というへんな放送のしかたでした。

 番組で少し紹介があった単語で「優駿」があります。
 小説・邦画『優駿(ゆうしゅん)』はいい作品でした。
 一頭のサラブレッドに、さまざまな人たちの夢と希望が重なるパターンでした。
 (優駿上・下(ゆうしゅん、優秀な競馬の競走馬のこと) 宮本輝 新潮文庫)
 
 前回TVer(ティーバー)で観た充電バイクの旅「北海道」は、ニセコから地球岬で、ゲストは、さまぁ~ず大竹さんとロンブー淳(あつし)さんでした。続きでロケをしたのだろうか。

 北海道です。
 道がまっすぐです。
 ぽつんと一軒家みたいな家が続きます。
 競走馬育成用の牧場があります。
 これから活躍しそうな子馬が出てきました。北島三郎さんの馬と関係があるようです。「キタサンブラック」という馬の名前が出ていました。
 牧場には、インド人の従業員さんたちもいます。インドの人たちはいい人たちでした。人情に厚い(あつい)。「イス(椅子)」を「イツ」と発音されていました。インドの人が、「日本は、安全で、働きやすく、住みやすい」とほめておられました。ありがとう。
 さだまさしさんの『北の国から』がバックで流れて雰囲気は盛り上がります。
 ドローンからの空撮映像風景がとてもきれいでした。

 おそばは、北海道らしい太麺で力強い。

 スナックのママがいい人でした。

 規模が大きく雄大で、風景の雰囲気が、本州とはだいぶ違います。

(つづく)

 田中圭さんが出た邦画『おっさんずラブ』は何年か前、映画館で、夫婦で観ました。前知識があまりなく、男同士のラブだということは知っていて見ました。なんだか、不思議な感じがしたことを覚えています。以下はそのときの感想メモの一部です。
 『平日の昼間とはいえ、観客のほとんどが女性でびっくりしました。20代から70代ぐらいまで、おばあちゃんたちは連れだって見に来ていて、観客席に横並びで並んで座っておられました。入場口前のスペースには、夏休み中なので、こども向けの映画を観に来ているこどもたちもいっぱいで、これからの映画界を支えていくのは、女性とこどもたちの層だろうと予想した次第です。お話のほうは、ドラマは見ていないので、前知識なく映画を観ました。へんな映画でしたが、男性同士の恋の嫉妬が面白くて笑えました。あと、観終えてみると、筋書がよくわからない部分もありました。』

 充電をお願いした先の地元の年配の男性方は、田中圭さんのことをご存じないようで、名刺をくださいと田中圭さんに声をかけていました。田中さんは、名刺はありません。顔が名刺ですと答えていました。納得です。俳優さんですから。

 おおぜいのこどもさんたちが出てきてにぎやかで良かった。
 スタッフさんたちはたいへんだったと思いますが、楽しかったと思います。
 バドミントンの試合をしたあと、別の体育館でこんどはバスケットボールの試合をして、テレビロケスタッフの方だと思いますが、おとなチームにいた女性の方が、すばらしいロングシュートを決めてお見事でした。
 こどもたちのチームが14人対おとな5人だったように見えましたが、ルールはその場でつくればいいので楽しければかまわないと思います。以前、少年野球のときも守備がたくさんの数いて、それはそれでおもしろかった。そんなふうでも、ヒットが生まれていました。
 今回は番組スタッフ対こどもたちでしたが、番組でないときは、親対こどもでやっても楽しいと思います。

 映像でちびっこったちとのバスケットの試合ぶりを観ていて、そういえば、テレビのワールドカップバスケットの試合中継で、田中圭さんが解説席にいたと思い出しました。

 白老町(しらおいちょう)で焼き肉です。焼き肉を食べたいなーという気分になりました。

 そのあと水族館訪問です。登別なので、クマ牧場訪問を予想していたので意外でした。水族館があるのですねぇ。
 建物の外観が西洋のお城タイプでした。昔北海道の池田町にあるワイン城に行ったことがあるのですが、見た目がワイン城に似ているなあという感想をもちました。立派なお城型の水族館です。

 最後は温泉につかって、熊谷ディレクターの扱いがちょっとかわいそうに見えました。(ふたり用なので、三人は入れない。熊谷さんは浴槽の外で、はだかのまま立って待っておられました)

 やっぱり北海道はいいなあ。
 外国人観光客に人気があるわけだ。納得です。