2022年03月16日

ゴムあたまポンたろう 長新太(ちょう・しんた)

ゴムあたまポンたろう 長新太(ちょう・しんた) 童心社

(1回目の本読み)
 タイトルがおもしろい。
 楽しいお話が始まりそうな予感がただよいます。
 絵は、ステキというほどの絵でもない。
 ちびっこが、ぼくにも、あたしにも、描けそう(かけそう)と言いそうです。
 ポンたろうは、無表情です。ちょっと怖い(こわい)。不気味なところもあります。シュール(超現実主義(現実離れしている))と表現できそうな絵です。
 空中に男女のカップルが浮いているシャガールの絵にも似ています。
 
 頭に黄色いバットのような角(つの)が生えたおっさんが出てきました。全身がピンク色です。なんじゃこりゃです。角(つの)があるからといって、鬼には見えません。
 絵の色合いがすごい。ピンクにイエローです。
 さっきのおっさんは、野球でもするようなようすです。
 
 ポンたろうは、バットで打たれたわけではありませんが、どこいくのー
 どこか遠くへと飛んでいきます。
 タイムトラベル(過去への時間移動旅行)みたいです。
 絵からさっすると、日本の戦国時代へ飛んでいったみたいです。西暦1500年代です。
 
 あれまー
 バラの花園へつっこみます。ゴムあたまポンたろうは、バラの花びらに当たってもはねかえることができないでしょう。
 はなびらじゃなくて、バラのトゲが待っています。
 ゴムあたまポンたろうは、バラのトゲがささっても、ふうせんみたいに、パンと割れるわけではありません。
 (このページの話はうやむやになってしまいました。ページをめくると突然シーンは変わり、夜の街で、幽霊のお父さんと、お母さんと、ぼくちゃんと、いもうとが、うらめしやーと両手をたらしています)
 メガネをかけているお父さんおばけだから、怖くありません。
 ポン太郎を見たおばけたちのほうが、ポン太郎をこわがっています。

 ページをめくるたびに思うのは、なんだか変な絵だなあ。
 なかなかない発想です。
 『ぶっとばしました』の言葉が乱暴ですが、ちびっこには受け入れられそうです。

 今度は、アフリカの大平原です。
 キリン、ゾウ、シマウマ、たぶんカバ、たぶん水牛、ゴリラ、ワニ、シカみたいなの、タヌキみたいなの、ネコみたいなの(申し訳ないけれど、絵がへたで、なんの動物なのかわかりかねます)

 ポン太郎は、ハリネズミたちの群れに突っ込みそうです。
 ハリが当たったら、イテーよー
 でも、ハリネズミたちは、やさしかった。笑いました。

 ゴムの木かー このあとどうなるのだろう。ポン太郎は、自分をつくっている原料になるゴムの木まで、たどりつきました。
 ポン太郎は、ゴムの木の上で眠ってしまいました。おやすみなさいゴムあたまポンたろうさん。

 1998年初版 2016年27刷の絵本でした。

(2回目の本読み)
 文章を見なくても、絵をながめつつ、ページをめくりながら、読み手と聞き手で話し合って、独自のお話をつくれそうです。
 リラックスできる気楽な絵です。

 びよーん。ゴムあたまポンたろうっていうけど、別のお名前を付けちゃおうかな。
 『とんぽりぴんぴんやろう』にしよーっと。意味はないけど、見た目がそんな感じだからね。
 『ぼくは、とんぽりぴんぴんやろーだよん』
 ぴょん ぴょん ぴょーん
 
 自分が、小学生のころに住んでいた山奥を思い出す絵です。
 大きな山に沈む夕陽がきれいなところでした。

 ぴょーん ぴょーんと飛んでいたら、雲の上まで抜けてきて、ここは、天国だよーん
 あらー バットの神さまが、雲の上で寝ころんでいます。
 こんにちはー バットの神さまー
 でも、ぼくはいそいでいるから、もういくねー バットの神さま さようならー
 ぴょーん ぴょーん
 次はどこにいこうかなー ぴょーん ぴょーん
 お花畑につっこむぞい。
 ゲゲゲゲゲー お花についているトゲトゲに、こっちに来るな! って言われちゃった。
 しかたがない。さよならー

 あれー こんどは、夜の世界に来ちゃったぞい。
 びよん びよん
 おばけのみなさん お元気ですか?
 ぼくのなまえは、とんぽりぴんぴんやろうです。こんばんわー
 今夜は、暗くていいお天気ですねー みなさんのまわりには、人魂(ひとだま。火の玉)が力いっぱい燃えていて、きれいですよー あたりを照らしてくださって、ありがとー
 
 おばけの世界を抜けたら、葉っぱの世界が見えてきました。
 はっぱっぱー はっぱっぱー はっぱきざくら はっぱっぱー むかしそんな、お酒のコマーシャルがあったような気がします。(調べたら、はっぱではなくて、カッパでした)
 まっ いいか。はっぱっぱー はっぱっぱー はっぱ はっぱ びょーんびよーん

 はっぱの向こうは、ジャングルだーー
 みんな 逃げろーー
 火山が爆発するぞーー

 びよーん びよーん
 ハリネズミみたいな形をしたカメさんがいっぱいいる世界じゃーー
 背中にトゲトゲがあるカメなので、さわるとチクチクいたそうだぞい。
 なんじゃら なんじゃら なんじゃらほい
 カメがお馬さんになってしまったぞい。

 びよーん
 また空の上を行く、とんぽりぴんぴんやろうです。
 びょーん びよーん
 青空を真横に飛んでいると、気持ちがいいぞい。
 だけど、ひとりだから、孤独だなあ。
 
 ちょっと ひと休み
 働き続けるのは心身によくありませぬ。
 お金もうけもほどほどにしましょう。
 うーっ とんぽりぴんぴんやろうは、疲れてしまって、目がさめないくらいに眠ってしまいました。
 グー グー グー  

Posted by 熊太郎 at 07:01Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2022年03月14日

ダークナイト 米英合作映画 2008年

ダークナイト 米英合作映画 2008年(平成20年) 2時間32分 動画配信サービス

 評価は高い映画だそうですが、自分には合わない映画でした。
 ストーリーは理屈っぽく、演者の言葉数も多すぎでした。
 ストーリーよりも、スピーディな動きの映像を楽しむ映画だと判断しました。
 劇画、マンガ、アニメの実写版だと感じました。
 あんなにドンパチやったら、ふつう、人間の体はもちません。
 ストーリーの構成と流れには終わりがありません。どこまでも話を続けることができてしまいます。

 スリルを生む要因として、目もくらむような高さ+アクション+残虐性+光の点滅と影の存在+豪快な動き+爆破シーンの赤系統の色合い、オレンジ色の閃光(せんこう。瞬間的な強い光)などがありました。

 御託が多いのです。(ごたく:くどくどとした理由ほかの前置き説明)
 やるときは、黙って、静かに、だれにも気づかれないように、ひっそりと瞬間的にやるのが、犯行実行のプロです。

 銀行強盗なのですが、札束の山積みシーンは、電子マネーの世の中になった今観ると、さすがに古くさくなりました。

 コインを投げて、裏表で、物事を決めるシーンが、物事決定の手段となって、延々と続きます。
 恥ずかしい話ですが、自分は、コインのどちら側が表なのか裏なのかがわかりません。たとえば、10円玉は、10円なのだから、10と書いてあるほうが表だとずっと思っていました。調べたら、10と書いてあるほうが裏でした。図柄が表で、数字が裏だそうです。でも、法律で決まっているわけではないそうです。
 アメリカのコインもそうなのだろうか。調べたら、人物の顔があるほうが表だそうです。

 「ジョーカー」というのが悪党で、別の映画2019年公開の「ジョーカー」と重なりました。

 演劇として観ていました。俳優さんの演技のしかたとか。
 冷めた気持ちとして、自分としては、バットマンのマスクの下の顔が見えようが見えまいが何も変わらないと思ったのです。顔を隠すこともありません。

 どうやって撮影したのだろうか。爆破シーンには、お金がたくさんかかっています。
 
 自分の記憶では、自分が8歳ぐらいのころ、とある駅のごみ箱にあったマンガ雑誌をごみ箱から取り出して、親に連れられた転職・転校に伴う移動で乗った夜行列車の中で読んだその雑誌の中にバットマンのマンガがありました。まだ、文字をしっかり読めなかったので、何度もページをめくりながら絵ばかりをながめていました。なつかしい。

 なんだか、戦禍(せんか。戦争による廃墟)、戦災の被災地ウクライナという都市のような、破壊攻撃された土地のようになってしまった映像の中です。なんということだ。
 殺したり、殺されたり、今の戦乱の時期にみる映画ではありませんでした。

 港湾地域の夜景がとてもきれいでした。
 昔見た、オーストラリアにあるシドニー湾の夜景に似ていました。(調べたらシカゴでした。ミシガン湖です)

 後半部で、二匹の獰猛な(どうもうな)犬がバットマンを襲います。
 高層ビルのフロアーで、どうして、こんなところに犬がいるのだろうかと思いました。
 犬は人間の友だちです。凶器ではありません。

 スターウォーズのシーンと重なるシーンもありました。

 バットマンというのは、こういうものだということがわかりました。  

2022年03月12日

太川&えびす路線バス旅 山口県錦帯橋から京都府天橋立 再放送

太川陽介&えびすよしかずのローカル路線バス乗り継ぎ人情旅 第24弾 山口県錦帯橋から京都府天橋立(あまのはしだて) 2016年(平成28年)9月放送分の再放送 BSテレ東

 映像に出てくるところで、自分が行ったことがある場所です。錦帯橋、竹原、尾道、鳥取駅。錦帯橋は旅番組に良く登場します。先日動画配信サービスで『相席食堂』を見た時には、(自分のことを)男なんとかです。というギャングみたいなことを放つ(はなつ)人がゲストで出ていました。ボクシングの不正判定で不祥事があった方です。また、錦帯橋では、出川哲朗の充電バイクの旅でもロケがあった番組を観たことがあります。
 『相席食堂』というのは、お料理番組だと思っていました。旅番組でした。今年になってから誤解していたことに気づきました。番組内容は、なかなか楽しいです。

 今回のバス番組で、自分が行ったことがないのが、天橋立(あまのはしだて)です。うちの奥さんは天橋立には行ったことがあるけれど、かがんで、おまたの間からうしろをのぞいた記憶はあるけれど、そのほかのことは、なにも覚えていないそうです。我が家の『コロナがおさまったら旅に行くのだリスト』に天橋立(あまのはしだて)も入れることにしました。

 番組ゲストの熊切あさ美さんは、このロケの頃、男女がらみの三角関係でごたごたがあったようです。
 映像の中では、熊切あさ美さんは、えびすさんにかなりいじられていました。また、行く先々の町中(まちなか)で、地元の、とくに女性の方々から励まされていました。みなさん、心根(こころね)が優しい。
 えびすさんの暴言として、「(熊切あさ美さんは)男で悩んでいる」「全部負けてるでしょ(相手の男を全部ほかの女に盗られているでしょという意味)」
 熊切あさ美さんは、けなげです。(一生懸命やっているけれど、むくわれない)
 一生懸命がんばって、うまくいったり、うまくいかなかったりは「運」です。
 熊切あさ美さんをとりまく励ましの人たちのようすを見ていて悟ったことです。とりあえず、自分と関わりになった人とは、良くも悪くも仲良くやっていくのが、世間を渡っていくコツ(秘訣ひけつ)であろう。けして相手を責めてはいけない。

 えびすよしかずさんは、冒頭で太川陽介さんに、誕生日と年齢をたずねられましたが、しっかり返答することができません。もう、この頃から、認知症のきざしがあったのでしょう。
 バス旅の途中なのに、福山城の展望スペースで、「おれたち、新幹線で行くんだ」という真顔(まがお)での発言があります。
 いまちょうどえびすよしかずさんの本を読んでいます。2019年発行『死にたくない 一億総終活時代の人生観』本が出た当時はまだ本人の認知症のことが表には出ていませんでした。翌年オープンになっています。

 バスのちょっとした時間での乗り遅れが続きます。
 乗り遅れると、次のバスまでの待ち時間がとても長い。
 たいへんです。

 三人が見晴らしのいい絶景を見ながら歩いている姿を映像で見ていると、自分もいっしょに歩いているような気分になれます。
 スタッフのご苦労がありがたい。スタッフの努力が、心に伝わってきます。
 
 バスの車内にいる三人はとても疲れています。
 夏の暑い日のロケです。長時間の徒歩は過酷です。
 途中で、バスの行き先表示板が壊れてしまうトラブルで、バスがしばらく止まってしまいました。旅に予定外のトラブルはつきものです。

 鳥取砂丘です。
 別の砂丘に行ったことがありますが、砂丘とか、お城とか、万里の長城とか、富士山もそうですが、自分は、遠景で美しいものは、遠くからながめるだけでいいです。近くまで行くと体がたいへんです。

 日本には、温泉がいっぱいあることが再確認できました。


(2019年10月のときの感想メモ)
太川陽介&蛭子能収ローカル路線バスの旅 山口県錦帯橋~京都府天橋立 再放送
 予定されていた箱根編が台風19号の被災に配慮して、この再放送に差し替えられたのですが、自分にとっては見たことがないので新作です。
 冒頭、ふたりが立っている錦帯橋のそばに自分も立ったことがあるので身近に感じました。次に移動した竹原市もそのときに車で行ったので覚えています。
 路線バスの旅は最終的にゴールしたので良かった。
 蛭子能収さんのあいかわらずの言葉として、「山がはびこっている(中国山地)」、「(えびすさんは2日前のことも覚えていない)自分は、今、この1秒を生きている」、「(運転手に)バスで連れて行ってください(もう歩きたくない)」運転手が、「ここで終点です」
 県境を越える歩きがつらそうでした。熊切あさ美さんは、あんな細い足でよく歩けるものだと感心しました。  

2022年03月11日

アルマゲドン アメリカ映画

アルマゲドン アメリカ映画 1998年 2時間30分 動画配信サービス

 昔の映画ですが、初めて観ました。
 核戦争の映画かと思って観始めましたが、そうではありませんでした。
 小惑星が地球に衝突して地球が滅亡の危機に陥ります。(おちいります)
 鉱山技師たちが、宇宙船に乗って、小惑星にたどり着き、小惑星に240mの穴を開けて、核爆弾を埋め込み、小惑星をこっぱみじんに爆発させるのです。奇想天外です。ありえません。

 古い映像なので、映像にアナログ感(てづくり感)があります。
 冒頭付近で、「電話帳を取って来い!(NASA ナサ アメリカ航空宇宙局の電話番号を調べるため)」いまどき、電話帳を見る人はいなくなりました。

 映画の特徴です。
 一方的に見ている者に圧力が押し寄せてくる。(押し付けてくるともいえる)
 爆発の連続です。
 言葉数が多い映画です。
 スタジオジブリのアニメ映画のようでもある。
 あわただしい映画です。
 こどもさん向けの戦隊もののようでもあります。
 結婚、男女の愛をからませる。家族愛をからませる。(手法は今思うと、古い)
 緊張シーン多し(パニック。混乱)
 アメリカ合衆国の自信満々の映画です。自画自賛。(されど、いまは、いろいろと衰退化してしまいました)
 いろいろとあわただしい。
 小惑星と闘うというよりも、人間同士の戦いです。
 ゲームみたい。次から次へとピンチが襲ってきます。ありえない。
 にぎやかです。
 「掘ったぞぉー どんなもんだー」
 「がんばれー」
 「あぶなーい」
 「うわーー」
 クライマックスです。
 花嫁の父親が、義理の息子に「娘を頼む」

 ふと思いました。
 1990年代までは、人情の時代だった。
 世の中は変わった。
 人の善意を悪用するやからたちが出てきて、世の中は変わってしまいました。
 劇中に登場する花嫁のおやじさんのこと(命)は、なんとかならないかという気持ちになりました。
 任務遂行までの残り時間が少なくなってきたときに、冬季オリンピックのカーリングの試合を思い出しました。試合時間でのチームの持ち時間が、残り時間10秒になったときに、どこからか『まだ10秒もあります』という声が聞こえてきました。その瞬間後、劇的な逆転が起こりました。日本チームが起こした奇跡でした。

 心に響いたセリフなどです。
 「(言い訳として)一時的な精神錯乱です」現在のロシア大統領のことだろうかと気を回して考えました。
 「みんな、税金を払いたくないそうだ。一生」
 「少なくとも、元気はある」
 よかったシーンとして、
 「あいつらは、助けに来てくれないんだぞ」
 「自分たちでやるしかないんだ」
 「240m掘ってみせる。神に誓って(やっぱり人間に神さまの存在は必要です)」
 かなり感動します。
 「ものごとを悲観的に考えるのは嫌いだ」
 「核兵器ハンターイ!(反対) 核兵器ハンターイ!!」
 「サンキュー サンキュー サンキュー 神さま!」

 映画の話の中では、特別な訓練をしないと、人間は宇宙へ行けないと定義してありますが、現実には、そうでもないような気がします。
 宇宙飛行をした日本人実業家のことが思い出されました。

 映画の中では、ロシアと米国の宇宙活動での協力関係があります。
 ウクライナでもめている今ですが、今後はどうなるのだろう。
 政治とほかのものは区別することが原則ですが、それができないのが人間のありようです。本人たちは望んでいないのに、例外の事例が発生してしまいます。

 宇宙からの帰還ですが、宇宙飛行後の登場人物たちが、着陸後に、地面を元気よく歩きます。
 以前、宇宙飛行士だった方が書いた本を読んだことあります。地球に着いたときは、宇宙と地球の重力の違いで、着陸時に、自力では、地球上の地面の上に立つことができないそうです。
 まあ、映画ですから、映画として観ます。  

2022年03月10日

なんらかの事情 岸本佐知子

なんらかの事情 岸本佐知子 ちくま文庫

 著者が翻訳した「十二月の十日(じゅうにがつのとおか)」という本を読んだことが縁で、このエッセイ集を読むことにしました。書評の評判がいいです。もう一冊のエッセイ集が「ねにもつタイプ」だそうです。

 10年前の本です。(2012年単行本)
 自分は、運が悪い人というような書きだしです。
 レジの列について書いてありますが、今どきは、セルフレジで、電子マネーによる支払いが増えました。社会のありようが変わってしまいました。

 自分はリタイアして、価値観が変化しました。
 「速いこと、早いこと(はやいこと)」はいいことなのか。
 年寄りにとっては、はやいことはいいことではありません。
 遅くても安全なほうがいい。
 安心してゆっくりやれたほうがいい。

 3ページほどの短いエッセイが続きます。
 怒られるかもしれませんが、さし絵はなくてもいいような気がします。
 読んでいる途中で絵が出てくると、読みの連続性が絶たれます。
 ページ数をかせぐために必要だったとしか思えない、さし絵の存在です。

 女性向けのエッセイです。(心のままに書いた短い文章。随筆)

 自分が読んで良かったエッセイを記録しておきます。
 『物いう物』トイレの便器がしゃべります。各種機器の自動音声のことです。記述内容がいろいろとおもしろい。
 『(場所)海ほたる』自分が好きなところです。東京湾に浮かぶパーキングエリアです。コロナ禍になってから、もうずーっと行けていません。
 エッセイでは、友人が車を運転しながら、カーナビに指示されても指示通りにしないとあります。そういうことって自分にもあります。そして、迷子になります。エッセイのほうは、おもしろい。いいなあという気分の読後感でした。

 視点がいい。
 娘のために女装して大学受験を受けた父親の話が出ます。もちろん替え玉受験の不正行為です。(お父さんのほうが、娘よりも勉強ができたのだろうか。すごい)

 カルミック:トイレに設置されてある器具らしいのですが、自分にはどんなものなのかわかりません。
 うりずん、デラシネ、ヘルダーリン:文章に書いてある単語なのですが、自分には、なんのことかわかりませんでした。
 エリツィン、プーチン:ロシアがウクライナに侵攻している今、この本の中の文章で、この名前に出会うとは思っていませんでした。
 この本を読んでいる今、自分が思うのは、ロシアという国は、これから悪い方向へと引っ張られていって、ロシア国民も大統領がしでかしたことの、被害者となるであろうということです。
 ウクライナの人たちは、これから先、世代が入れ替わる100年間ぐらいは、ロシア人を強く、かつ深く憎しみ続けることでしょう。
 ロシアは、ウクライナを元の姿に戻すための賠償を、これからさき、100年間ぐらいかけて、支払い続けなければならなくなるでしょう。

 ベルガモット:香水。柑橘系。

 著者は、細かいことをさらに細かく考える人です。
 
 73ページにこの本のタイトルになっているエッセイがありますが、どういうわけか『何らかの事情』と漢字になっています。(本のタイトルは『なんらかの事情』)

(つづく)

 読み終えました。

 エッセイ『不必要書類』で、「役に立たないものが好き」とあります。うーむ。なかなかない発想です。それとも案外、表に出ないだけで、役に立たないものを大事にする人は多いのだろうか。買い物をしたあとにレジでもらったレシートを捨てられないそうです。自分は、家計簿に金額等を搭載したのちに、レシートは処分しています。
 
 マドロス:水夫。船乗り。著者は、波止場にある鉤型(かぎがた)の丸い物体をマドロスだとずっと思っていたそうです。違います。船員さんのことです。

 東京オリンピックの競技場で、マラソンのアベベ選手のゴールを見たことがあるそうです。
 オリンピックは嫌いだそうです。(これまた変わっているような)
 
 中学、高校と、つながった女子高だったそうです。
 文章を読んでいて、女子高=(イコール)楽園でも花園でもないことがわかりました。
 「顎の筋肉が攣って死にそうになった(あごのきんにくがつってしにそうになった。つっての感じを読めませんでした。」
 
 怪獣ブースカ:なつかしい。偶然ですが、我が家のテレビ台の中にブースカの人形があります。もう三十代になったこどもたちが小さい頃に買ったものです。
 ブースカ、ブースカブー、なんとかかんとかというような歌がありました。

 モンティ・パイソン:イギリスのコメディグループ
 
 現在の話から、やがて、思い出話へと内容が変化していきます。
 エッセイのネタが苦しかったのかも。
 過去に体験したことのある小学生時代のお話は、ちびまるこちゃんのお話とも似ている。
 
 カバディ:インドの国技。スポーツ。

 本の記述は、2012年の文章ですが、コロナ禍を予想したような文章に当たりました。『人類は大急ぎでワクチンを作ったが、もう間に合わなんだ。何しろ種類が多すぎたし、すさまじく感染力が強くてな。』
 そういえば、2009年ごろに新型インフルエンザウィルスの流行があったような。そこからきているのかもしれません。  

Posted by 熊太郎 at 06:42Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2022年03月09日

十二月の十日 ジョージ・ソーンダーズ

十二月の十日(じゅうにがつのとおか) ジョージ・ソーンダーズ(米国作家。男性) 岸本佐知子=訳 河出書房新社(かわでしょぼうしんしゃ)

 本の帯に『全米ベストセラー第1位!!!』とあります。知りませんでした。
 長編小説かと思ったら短編集でした。
 日本で言うところの、星新一さんのショートショートのようです。全部で10編あります。
 購買を誘ううたい文句として、①親しみやすい ②共感を呼ぶ ③笑わせてくれる ④ダメ人間の優しさ、尊厳、奇想 ⑤独創的な文体 とあります。
 2019年初版の単行本です。
(その後の追記として)
 非常にわかりにくい文章でした。
 わかりやすくするために短編の最後に、著者のあとがきの一部分を残しておきます。
 あとでわかったのですが、SFでした。サイエンスフィクション。

「ビクトリー・ラン」
 タイトルは、勝利の走りという意味だろうか。26ページぐらいの文章量です。
 (つづく)
 読み終えましたが、何が書いてあるのか理解できません。
 独特な文体です。人間の話ではなく、人形の話を読んでいるような印象があります。(でも人間の話です)
 もうすぐ15歳になるアリソン・ポープという女子の頭の中で繰り広げられる出来事の数々が羅列(られつ)されているようにみえます。
 散文、詩、幻想、純文学(あらすじ、時の経過がない。心象風景を表現する)みたいです。
 エロはあります。頭がおかしい人が書いたような文章です。(外国ではこれをユーモアというのかもしれません)
 自分にはついていけない世界です。(本を買ったのは失敗だったのか)
 何が書いてあるのかさっぱりわかりません。
 911:ナイン・ワン・ワン。アメリカ合衆国の緊急通報用電話番号。日本の110番、119番に相当する。

<訳者のあとがきから>
 少年は、両親の声を聞いて、自分の両親に従うことを決心した。(わたしは、この部分を読むまで、主人公は、少女だと思っていました)

「棒きれ」
 わずか2ページの作品です。
 2ページですが、文字がびっしり書いてあります。
 そして、おもしろい。
 タイトルの棒きれというのは、父親が庭に植えた十字架のような鉄パイプを指します。
 こどものころの思い出話です。
 ケチで倹約家のおれたちの親父の話です。
 十字架には、サンタクロースの服がかぶせられます。アメリカンフットボールのジャージとヘルメットをかぶせることもあります。軍服、お化けの衣装、いろいろなものが棒きれにかぶせられます。
 文章に、胸にしみじみとくる味わいがあります。
 事実なのか、虚構なのかわかりませんが、たぶん事実なのでしょう。
 なかなかいい。
 変な話ですが、自分が書く文章に似ています。

「子犬」
 わかりにくい作品です。
 わかるのは、児童虐待を強く憎む精神がメッセージになっていることです。
 こどもの名前なのか、子犬の名前なのかはっきりせず、名前がたくさん出てきます。
 擬人法で、子犬がこどもを表しているのかという感覚があるのですが、こどもはこども、犬は犬と分離してあるようにも読めます。
 家族がいて、母親が児童虐待をしていて、母親は子犬を販売していて、犬を買いたくてたずねてきた女性が、庭で首輪と鎖を付けられた人間のこどもを目にして、というような流れです。
 表記のしかたとして、カッコの多用があります。「 」とか< >の中に文字が書き入れてあります。
 だれの視点で文章が書かれているのかが、判然としない部分もあります。
 ママは、怖い。幻視、幻覚がありそう。
 救われる言葉があります。『あんた正気か? 子どもだぞ、自分の子どもなんだぞ?』
 児童虐待をする人間への憎しみがにじみ出ています。
 『児童福祉課への通報だ』あそこの職員はおそろしく仕事が早いという文脈があります。
 
 恐ろしい。どこまでが本当で、どこからがウソなのか、まるでわからない作品でした。

「スパイダーヘッドからの逃走」
 書いてあることは、もう、自分にはわからない世界です。
 自分にとっては、意味をとれないので、読んでいても、つまらない文章です。
 実態としての中身がありません。
 この作品がいいというのは、なにか、勘違いがあるのではなかろうか。
 
 村上春樹作品のような雰囲気もあります。
 
 エロな世界の描写です。

 三人の男性と、二人の女性に、複数の薬物を投与して、男女関係の効果を測定します。
 刑務所内で服役囚を使って人体実験をしています。薬物投与の人体実験です。最近の出来事として、オリンピックスケート競技を思い出します。ドーピングです。(薬物摂取で運動能力を高めて勝利を獲得する)
 アメリカ人が、こういう小説が好きだとは思えないのですが、事実としては、売れている作品なのでしょう。
 
 快楽のあとのむなしさがあります。
 薬でつくられた本物じゃない「愛」です。

 タイトルのスパイダーヘッド:管制室のこと。クモの頭に似ている。足が、ワークルームで、そこで人体実験が行われている。

 治験ちけん:医薬品の試験

 最後に、母親の姿が出てきます。

 なにがいいたいのか。わかりませぬ。
<訳者あとがきから>
 服役している若者は、人間モルモットとして、さまざまな薬を投与されている。

「訓告」
 タイトルの訓告(くんこく)は、仕事上やってはいけないことをやったり、やるべきことをやらなかったりしたときの注意だと思うのですが、わずか6ページしかないこの作品を読み終えてみると、処分というよりも仕事のやり方を示したものだと受け取りました。
 古代の奴隷の話を思い出しました。支配層は、奴隷が嫌がることは奴隷にはさせなかったということです。いやいややらせると、効率が悪いということが理由でした。
 この作品では、『効率』の話が出てきます。目標を達成するための効率です。
 お金のために働く。
 職場での棚の掃除とか整理整とんが例として出されています。
 
 チャント:みんなで輪になって、声をかけあう。スポーツ競技の前の『力を合わせてがんばろー』みたいなこと。

 アンディという男性が、10月に仕事で驚異的な成績をあげたそうです。

 仕事をするときは、気持ちを前向きにもつということが書いてあると思うのですが、いっぽう、やる気のない人は、間引きされるといような意味の言葉もあります。『(あなたの)代わりはほかにもいる』ということです。

 数字を上げろ。数字を下げるな、の世界です。

 実績をあげられない人は、退職勧奨の部屋へ送られるようです。(仕事がない。電話も書類もない。なにもすることがなく一日を過ごす)
 自分が棚になってはいけないというような表現がありますが、うーむ。よくわかりません。
 
<訳者のあとがきから>
 上司が部下たちに送った一斉メールによる通達文です。
 仕事の内容が示されていないことが不気味です。

「アル・ルーステン」
 タイトルのアル・ルーステンは、中年男性の氏名です。
 本人が、「おれ」という言葉で語ります。
 また、よくわからない話でした。
 ドラッグ(薬物)反対のメッセージがあるようです。『笑いで子供をドラッグから守れ』
 アル・ルーステンと友人のラリー・ドンフリーが、チャリティーに出ます。
 男同士の同性愛の話、離婚話とか、おいっこ(甥おい)たちの話が出ます。
 優しい母親の話も出ます。
 うーむ。何が書いてあるのかわからない。

<訳者のあとがきから>
 古道具屋を営む中年男は、地元のチャリティーショーに出演したが、すべってしまい(観衆にうけなかった)、頭がおかしくなっている。

「センプリカ・ガール」
 40歳になる家族持ち男性の日記です。
 センプリカ・ガールというのが、なんなのか。
 貧困層の奴隷女子のようでもあり、電算システムでコントロールされた人形のようでもあり判然としません。
 善意でとらえれば、貧困地帯から都市部への出稼ぎ女子ととらえることもできますが、文脈では、まるで、富裕層のこどもたちのペットのような扱いです。
 タミ(出身地はラオス。売春宿で働くふたりの妹を救うためにこの職を申し込んだ)
 グウェン(モルドバ出身(ウクライナの南にある国)クェートで性奴隷にされたいとこを救うためにこの職を申し込んだ)
 リーサ(ソマリア出身(アフリカ東部にある国)父と妹がエイズで死んだ)
 ベティ(フィリピン出身。家族が地震で被災した)
 4人の女子が、庭で、1mほどの高さで、空中につるされているのです。
 観賞用なのか。わかりません。

 お金の話が出ます。日記を書いている男性は、こどもの頃に父を心臓発作で亡くして、貧困な育ちですが、妻の実家は裕福です。されど、義父は、娘婿(むすめむこ)を嫌っています。
 
 『比較』の話が出ます。センプリカ・ガールである4人の女子たちと主人公家族(こども3人)の暮らしの比較です。
 主人公男性の実家も家庭が壊れていてけっこう苦労されています。
 男性の言葉として『あのころはつらかった』『今でも思い出すとつらい』
 
 マイクロライン:4人の女子をつないで拘束していた線。

 沈んだ内容ですが、最後付近には『光(ひかり)』があります。
 主人公は、未来の人間に向けて、日記を書いています。

<訳者のあとがきから>
 中年サラリーマンとその家族がいる。貧乏だったけれど、宝くじが当たって、SG飾りを庭に設置する。センプリカ・ガールというのが、社会的ステータスの証(あかし)となっている社会だそうです。社会において、上位にある地位を示す証拠だそうです。ちんぷんかんぷんです。

 『ウクライナ教会』という文字も出てきます。現在のウクライナ国は、人口4370万人ぐらい。ウクライナ人が80%ぐらい。ロシア人が20%ぐらい。(人口が4000万人を超える国を、軍事侵攻したロシアの軍隊15万人から20万人ぐらいで統制できるとは思えません)
 この部分を読んでいた時に、ロシアがウクライナに軍事侵攻しました。ロシアの大統領は気が狂っています。人を殺してでも自分の希望をかなえたい人間です。自分の思いどおりにならないと、机を叩いたり、椅子を蹴ったりする人間と同じです。脳みそが洗脳(悪魔に脳内をコントロールされいる)されて、暗示にかかっています。彼を止めることができるのは、ロシア国民です。組織は外部の力によって壊れるのではなく、組織は内部の力によって崩壊します。(短期的なことはわかりませんが、長期的に見ると、ロシアという国の体制が崩壊するような気がします)

「ホーム」
 戦争に行って帰ってきた戦争帰還兵男性の不幸話です。
 タイトルのホームは、母親がいる実家ですが、母親は、家賃滞納で追い出されます。母親は癌でもあるらしい。
 『ピーッたれ』という単語が何度も出てきます。『くそったれ』という意味のときもあるし、意味不明のときもあります。日本語の『あれ』に似ています。あれがこうして、あれだから……
 『ロシア人』という言葉が出てきます。また、あんたは正気か! と言ってやりたいロシア大統領の顔が頭に浮かびました。(しょうき:正常な心)

 登場人物はたくさんです。
 家族関係、人間関係がわかりにくい。
 
 いい言葉だと思ったのは『答えは「イエスでもありノーでもある」、ですかね』

 反戦の作品なのだろうか。

<訳者のあとがきから>
 中東から数年ぶりにふるさとに帰ってきた戦争帰還兵は狂っている。

「わが騎士道、轟沈せり」(わがきしどう、ごうちんせり)ごうちん:攻撃された艦船が短時間で海に沈没する。
 テッドという男性がいます。独身です。父親は脊髄損傷です。母親も病気です。同居する妹は病的に神経質です。
 テッドの職場のボスであるドン・マレーと洗い場で働く女性マーサーは、ダブル不倫をしています。(ふたりとも既婚者)
 おもに、ダブル不倫の話です。合意のうえだから、いいのだとボスは言います。
 ダブル不倫を知るテッドへの口止め料が、「昇進」です。
 
 コールスロー:生キャベツのサラダ

 この本の作品群では、薬物の記事が多い。

 自分に合わない作品群なのか、なにが書いてあるのかわからず、文章を追っていると、演劇を見ているような雰囲気になります。現実味がないのです。
 読解力不足なのでしょう。
 ちんぷんかんぷんで、何が書いてあるのか皆目(かいもく。まるっきり)わかりません。
 
 作品はあと1本。本のタイトルにある『十二月の十日』だけになったところで、役者のあとがきを先に読んでみました。
 短編ごとに簡単な説明があります。
 その部分を読んで多少わかったような気分になれました。
 短編ごとに、主人公の絶望的な不幸が書いてあって、それでも、最後は、希望の光がさした終わり方になっているそうです。

<訳者あとがきから>
 テーマパークで働く若者が、薬で、中世の騎士になるが、破滅していく。(本短編、騎士道に関して)

「十二月の十日(じゅうにがつのとおか)」
 おかっぱ頭の色白少年ロビンが出てきます。
 空気銃を持って、湖へビーバーのダムを見に行くのです。
 少年には、地底王国の住人(地底人)という敵がいます。
 ガリバー旅行記を読んでいるような雰囲気があります。小人(こびと)の国への旅行です。
 スーザン・ブレッドソー:カナダモントリオールからの転入生女子
 ニッサンという日本の自動車メーカーが出てきます。どんどん奇想天外になっていきます。(風変わりで奇抜)
 スーザンが、地底人に誘拐された。
 ロビンはスーザンに対して恋心をもっています。
 
 ロビンの親父:ペテン師
 キップ・フレミッシュ:同じくペテン師

 このあと、また、読んでいても、意味がわからない状態になりました。

 子どものロビンが水の事故にあったように思える文章なのですが、よくわかりません。

 うーむ。やっぱりわからない。

<訳者のあとがきから>
 孤独ないじめられっ子の少年とあります。
 少年と自殺願望のある男性が出会うそうな。

(その後)
 書評を読んでいると、訳者の岸本佐知子さんの評判がいいので、エッセイ集『なんらかの事情』ちくま文庫を読み始めました。  

Posted by 熊太郎 at 06:54Comments(0)TrackBack(0)読書感想文