2020年02月11日

M-1ぐらんぷり2018 DVD

M-1ぐらんぷり2018 DVD

 優勝は、「霜降り明星」でした。自分はテレビ番組にうといので、「粗品」さんが、人間の名前とは思いもよりませんでした。

「見取り図」 リリー34才 盛山晋太郎32才 606点
 結婚前提の彼女がほしいから始まって、そらなら女性を紹介しようという話に発展します。
 話し上手です。聞いていて気持ちがいい。実在しない人を出して、あとで、「あれ、だれ?」というパターンで笑わせてくれます。例として、「マルコ牧師」。聞いていて、ああ、新しい発想だという驚きがありました。おもしろかった言葉として、「アタオカ=頭がおかしい」

「スーパーマラドーナ」 田中一彦41才 武智40才 617点
 出だしがおもしろかった。(小中学校で教師が)「おい、みんな好きな者同士でグループをつくれ」それが、トラウマになっているという自己紹介でした。
 「いい人のふりして、メチャメチャヤバイ奴(やつ)」です。おもしろい。「逆転」の立場です。
 噛み合わない会話が愉快。サイコ的(精神病質。反社会的人格障害)というそうです。こちらも新しい発想の漫才です。

「かまいたち」 山内健司37才 濱家隆一35才 636点
 タイムマシンで過去に戻ってやりなおしたいことがひとつだけかなうというお話です。
 過去に戻って、「ポイントカード」をつくりたいで、最後まで通します。たいしたものです。最後までそれだけでよく引っ張りました。一見くだらないと思えるポイントがどうしてもほしいと主張するのです。おもしろい。「三角の十字架」というところがおもしろかった。これも新しい発想です。

「ジャルジャル」 福徳秀介35才 後藤淳平34才 648点
 小学生の「国名わけっこ(くにめいわけっこ)ゲーム」です。かけあいで、「アメーリカ」、「中ー国」という調子で、言葉を発して、どんどん発展させていきます。「イン・インードネシア・ドネシア」、「アルゼン・アルゼンーチン・チン」というように。リズム芸になっていきます。
 審査員のひとりが言っていましたが、昔のコント55号のようだった。わけがわからないがおもしろかった。評価を聞いていて、審査員も演者もみんな優しいと感じました。難点としては、マシーン(機械)のようだった。人間力が表に出るともっといい。

「ギャロップ」 毛利大亮36才 林健40才 614点
 安定感がありました。しゃべくり漫才です。おもしろかったと思いますが、審査員評はよくありませんでした。4分間のM1ネタではなく15分間のステージネタだそうです。
 4対4のコンパで、参加者の相方が、都合が悪くなったので、はげていて40歳の相方に代役を頼むのですが、参加者は男女とも20代のモデルさんという設定です。相方の見た目がよくないので、ババ抜きで、空気がとまるということで、相方が、代役を断り続ける自虐ネタです。これまでに登場してきたコンビが新しい発想の漫才をやったなかで、ギャロップのこれは、従来からのスタイルで古さを感じました。

「ゆにばーす」 川瀬名人34才 はら29才 594点
 冒頭、川瀬名人が、「(自分は)実は爆弾をつくる人間で、(はらさんが)実行犯です」というところがそれらしく笑いました。
 4分間のなかにネタがふたつあったようで、インパクト(衝撃)に欠けました。
 遊園地ロケで、ジェットコースタの上下を漫才の人気の上下にたとえてありました。

「ミキ」 昴成(兄) 亜成(弟) 兄弟漫才 638点
 無断で、ジャニーズ事務所に兄の履歴書を送ったということに対して反発するネタです。
 怒り芸です。激しい。やかましくもある。

「トム・ブラウン」 みちお33才 布川34才 633点
 落選してしまいましたが、もし勝ち抜いたら次は、「土の中から加藤一二三さんが出てくるネタ」だったそうで、観て観たかった。
 サザエさんの中島君が5人いたらという設定で、5人の中島さんが合体してロボットになるネタです。中島みゆきさんが出てきます。ナカジマックス、最強ロボットというPRセリフです。物まね番組をみているようでおもしろかった。
 観終わって、にぎやかで疲れたという実感がありました。

「霜降り明星」 せいや26才 粗品25才 662点
 後半に向かって盛り上がっていきます。お金持ちになったら豪華客船で旅をしたい。(新型コロナウィルスによる肺炎が世界的に流行している今の状況を考えると不思議な気持ちになります)
 「結婚して49日の記念に参加しました」、「リアス式海岸にそって運行します」、「オーロラを見たい」、「日付変更線をまたいで行ったり来たり」、「倍返しの半沢直樹」、新しい勢いです。おそろいの黄色いネクタイも似合ってさわやかでした。せいやさんは、体がよく動きます。若さでしょう。

「和牛」 水田信二38才 川西健四郎34才 656点
 もしゾンビに噛まれて感染したらオレを殺してくれる? から始まります。「ゾンビ」とか「殺す」とかぞっとする言葉で漫才ができるのかと不安になりますが、笑わせてくれます。
 完全にゾンビになる前に殺してほしい。人間の部分が残っているときはまだ殺さないでほしい。
 色が変わったら(ネズミ色になったら)殺す。生死が、まだまだー、そこそこ。ロープでお互いの体をつなぐ。自分は、ゾンビに関心がないので笑えませんでしたが、老練で安定している漫才の技術はあると感じることはできました。

〇決勝
「ジャルジャル」
 登場して、最初の決めポーズの話です。おもしろい。シンプルな素材で最後まで通すところに好感をもちました。ガソリンスタンドの店員を演じる。新しい漫才です。おもしろい。

「和牛」
 親がオレオレ詐欺にひっかかったらいけないので、息子本人が練習で親に電話をかけるという設定です。川西健四郎さんの動きがおもしろい。
 交通事故にあったので、200万円をもってきてほしい。川西さんがお母さん役です。
 うまいなぁ。良質な推理小説か、ショート・ショートを読んでいるみたいでした。

「霜降り明星」
 ちっちゃい頃がなつかしい。せいやさんは、腹話術の人形みたいです。「バスロマン」を連呼します。あかちゃんの「バーブ―」のつもりです。学校の給食の手洗い、プリンセス転校生のイリュージョン、クリオネのまね、次々と動きを連発していきます。新鮮で勢いのある笑いでした。

*優勝が決まったときの霜降り明星せいやさんは、すごい喜びようでした。本人は賞金を奨学金の返済に当てると言い、粗品さんのほうは、両親に感謝の言葉を述べておられました。家族をふくんでのご苦労が伝わってきました。
 M1というのは、「新しい発想の漫才」を求めているということがよくわかる内容でした。なにをしているのかわからないけれど、笑えるという、そういう漫才が多かった。