2019年09月09日

その“あたりまえ”、いまどき必要ですか。沢渡あまね

仕事ごっこ その“あたりまえ”、いまどき必要ですか。 沢渡あまね 技術評論社

 新聞広告で興味をもち、取り寄せて読み始めました。
 タイトルを読んで、「仕事のための仕事」という言葉を思い出します。仕事をするために仕事をつり出す非効率な状態をさします。それがいやだと思ったこともありますし、それが、やむを得ないことだと思ったこともあります。本にはどんなことが書いてあるのだろう。できることはやったほうがいいし、できないこともあるような気がします。

(つづく)

 勘違いしていました。著者は男性でした。女性だと思って読んでいました。
 半分ぐらい読みましたが、なにか、叱られているようで、主張の強い文脈です。怒りや腹立ちの気持ちがこもりすぎているような。箇条書き程度のシンプルなものでよかったような。
 古いやり方を否定して新しい考え方で取り組む手法を提言されています。長年の歳月をかけてできあがってきたものを「変える」のには膨大なエネルギーが必要です。本書でそのやり方を否定されたとしてもそれでもかまわないという人も大勢います。どうするかは、読んだ人の判断です。
 便利になれば、人減らしが行われてきたのがこれまでの現実です。つまり、人間が雇用される場が減りました。電算化と人員削減はセットでした。その結果、働きたくても働けない人が出てきました。収入がなければ暮らしていけません。むずかしいバランスの調整があります。
 仕事をしているふりをする人は多いし、それでもいいと思うときもあります。
 第2話の「わがままなお殿さま」は、ありがちな話だと思いながら読みました。お殿さまも自分がしていることに不安なのでしょう。変な上司の部下になると部下はつらい。想定問答集の作成はきりがなくムダなことだと共感します。仕事のために仕事をつくる仕事です。
 内容は、業種によって、できる、できないに分かれるでしょう。組織で動く仕事で活用できます。なるべく人間関係のしがらみが薄いものに向いています。
 最初に創作民話、次に具体的な説明という手法です。民話・童話部分は意図的に「ひらがな」にしてあるのですが、読みにくいです。漢字のままでよかった。

(つづく)

 書いてあることで、そういうことってあるなとか、そう変えるといいなとか、うなずくことがいくつもあります。ただ、できるかというと、むずかしい。
 この本の読者層はどのあたりを狙っているのだろうか。経営者なのか、組織をコントロールする部署なのか、はたまた、労働組合なのか。一般平社員が読んでもなかなか実行までには移せません。幹部社員が読んでうなずいても実行まではむずかしい。これまでどおりにやっておけば、事故があったときに言いわけができるという安心感にひたりたい傾向がだれしもあります。
 ダイバーシティごっこの部分は共感しました。異なる組織の代表者のおおぜいが集まってもしかたがないのです。集まってひとつの固まりをつくればいいというものではありません。

 読みながら、仕事ってなんなのだろうと考えました。

 調べた言葉として、「フリーランス:個人事業主、特定の法人、組織に専従していない」、「リモート:端末機での遠隔操作」  

Posted by 熊太郎 at 06:17Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2019年09月08日

麻雀放浪記2020 邦画DVD

麻雀放浪記2020 邦画DVD 2019年公開

 いい人がたくさん出ているのに効果のほうは出ていません。とくにベッキーさんは、アンドロイド役のためか、声がロボットで、彼女のいい持ち味を消してしまっています。全体的にがっかりする映画にできあがっています。
 最初のうちは、なんだか、おもしろポルノ映画みたいで、下ネタ、下品な映像が繰り返し流れます。終わってみれば、コメディ・SF・ラブストーリー映画でした。
 冒頭付近の「(ぴんずはいの5)うーぴん」と「シマウマ」は伏線になっていくのだろうとピンときました。そのとおりになりました。
 タイムスリップ映画で、過去から未来に来ているのに、風景は、過去の香港や北京のスラム街のようで違和感たっぷりでした。
 マージャンのほうは、最高得点をゲットできる役満の連発で、もう、マージャンではありません。電気仕掛けに三人打ちの連発です。麻雀の形態をとる別のゲームになっています。麻雀はおりるべきときにおりないと振り込むゲームです。  

2019年09月07日

北の国から‘84夏 DVD

北の国から‘84夏 DVD

 全体的に暗い内容の仕上がりですが感動します。
 ラスト付近に家族三人が食堂でラーメンを食べるシーンがあります。いままで嘘をついていた純の告白と謝罪のシーンです。田中邦衛さんが閉店だからと、退出をせかす店員の女性を激しく𠮟りつける名シーンです。「子どもがまだ食ってる途中でしょうが!!」という名セリフが出ます。自分がまだ子どもだった頃にどんぶりものを出す食堂で、家族そろって夜に食べた同じような体験があります。食べ残しを新聞紙に包んでもらって持ち帰りました。ドラマのように、家族間でいさかいがあったわけではありませんが、似たような共通体験があるかないかで、ドラマを見ながらの感動も濃淡があるのでしょう。
 男と女のくっつく、別れるの複雑なからみあいの話と、嘘つき(どうしても自分の身を守るために正直になれない)、だます、だまされるの話が今回のドラマにおける2本の柱です。
 みんなが暮らす丸太小屋の火災原因は純にありますが、あいかわらず純は、ずるい人間の設定です。正吉が純をかばって自分が犯人になります。そして、いろいろあって、正吉は富良野から排除されます。
 パソコンの話が出ます。東京の生意気な子どもが、未来は、あらゆることがパソコンでできる時代になると言います。パソコンでかぼちゃをつくってみろ!と反発する富良野のこどもたちです。パソコン以前に、家には電気がきていないんだ!には笑いました。
 竹下景子さんも岩城滉一さんも若い。
 正吉と純のかけあいは、洋画「スタンドバイミー」を観るようです。
 蛍ちゃん、大きくなりました。蛍ちゃんはいつも川岸で電車に乗っている親しい人を見送る役です。病気で亡くなったお母さんを見送りました。今回は、離婚した不倫相手と結婚する叔母さんを見送りました。旅立つ人よりも見送る人のほうが悲しみが深いと思います。
 竹下景子さんを失った岩城滉一さんのセリフがよかった。趣旨として、「おらの完敗だ。しつこく長くひとりの人間を好きでいつづけるのが、本当の恋だ」
 最後近く、けんかをして、互いに口をきかなくなった正吉と純です。しゃべれるうちにしゃべっておく。後悔しないようにしゃべっておく。聞いてくれていなくてもしゃべっておく。勝手にぶつぶつひとりごとのようにしゃべっておく。相手の耳にはきっと届いている。  

2019年09月06日

むらさきのスカートの女 今村夏子

むらさきのスカートの女 今村夏子 朝日新聞出版

 近所にむらさきのスカートをいつもはいている女性がいる。まだ、10ページまでしか読んでいませんが、その女性を50代後半と思いながら読んでいます。そのことをひとり語りしている女性が主人公なのですが、ご自分でご自分のことを「黄色いカーディガンの女」とよんでおられます。
 むらさきスカートの女は、20年前に両親が離婚して生き別れになった姉に雰囲気が似ている。食べ物への執着心が強い人だった。
 黄色いカーディガンの「わたし」は、むらさきスカートの女のストーカーのようです。
 
 カバーの絵が不可解です。白地に黒丸の水玉布(おそらくむらさき色のスカートのつもり)のなかに足が4本あります。2本でないとおかしい。なにか意味がありますが、わかりません。

 たった数ページ読んだだけなのに、読みながら、たくさんのことが頭に浮かびました。読み手に空想や記憶回復、想像をかきたてる文脈です。
 むらさきおんなが食べるパンは何パンか。アーモンドの飾りがついたクリームパンでした。

 「アラカシ:どんぐりの木」

 読みながら、80歳を超えた世代の若い頃の記憶が蘇りました。あの頃若かった人たちの大半はもう亡くなっていると思います。なぜかそういうことを考えてしまう文脈です。
 「黄色いカーディガンの女」は、うまい書き方です。対比があります。

 人々は、むらさきスカート女に対して、①知らんふり②道を空ける③ガッツポーズする④嘆き悲しむという部分もおもしろい。
 むらさきのスカート女はマイペースをくずさない。彼女のすばやい動きは、妖怪かスーパーマンです。記述内容は、元フィギャ―スケーター村上佳菜子さんのイメージです。

(つづく)

 むらさきのスカート女が、自分が過去に会ったことがあるだれそれに似ているパターンが続きます。①両親離婚によって生き別れになった姉②小学生のときの友だち中国人女性③中学校の同級生ヤンキー女④前に住んでいたところのスーパーのレジ打ち女性。
 主人公である「わたし」の頭の中の世界を「むらさき女」ひとりにしぼって、あらゆる方向から視点を当てながら考察していく小説だろうか。
 「わたし」は、「むらさき女」と友達になりたい。季節は11月。
 「タカオニ:おにごっこ。高いところにいればつかまらない」
 「わたし」は、むらさき女を誘導して、彼女をわたしが働いているコンビニに就職させました。

(つづく)

 不思議な感覚があります。
 過去の自分を記憶でみているのだろうか。本人でないとわからないようなことをむらさきスカートの女に重ねてあります。
 むらさきスカートの女は、ホテルの清掃の仕事を始めます。ホテル直轄ではなく、ホテルから委託された業者でしょう。本人の名前や素性、運動能力の良さなどが少し明らかになります。
 「ストレスが原因で体が大きくなっていく」の部分は?(クエスチョン 疑問をもちましたがわからずじまい) ストレス解消のための暴飲暴食で太っているようには見えません。
 ホテル清掃業の裏話があります。不安です。書いていいのだろうか。
 
 わかりやすい文章で、「空間」を表現してあります。

 黄色いカーディガンの「わたし」は幽霊だろうか。

 興味をもった文節の要旨として、「新人は、最初の公休日から職場に出て来なくなる」とか「スカート女の鼻をつまんでしまった」、「商店街と公園しか行くところがない」、「各自の時給の高低でもめる」、「女職場ではだれかの噂話ばかり」、「本人の知らないところでさらに多くの敵ができる」、「むらさきおんなには相談相手がいない。まだ、友だちがいない」とか。

 生きる希望を与えてくれる小説かもしれない。むらさき女と子どもたちの交流から働く喜びが伝わってきます。

 「フレッシュフローラルの香り:新鮮なジャスミン、バラ」

 「スピード」と「ダーティハリー」、ずいぶん昔の映画です。
 コンビニ前の公衆電話も最近は見かけなくなりました。使う人が減ったので撤去されたのでしょう

 匂いとか香りにこだわる部分があります。

 成長物語のように、むらさきスカート女も彼女の周囲にいた子どもたちも変化していきます。

 ホテルの消耗品を盗んで、バザーに出しているのは、むらさき女か。黄色女か。どっちだろう。

(つづく)

 いつの時代の話なのだろう。読んでいると、今から20年から25年ぐらい前、ウィンドウズ95が出た頃のような雰囲気です。PHS、つくば科学万博の500円記念硬貨(85年開催)、公衆電話と電話台の棚にタウンページ。

 人間のもつ「悪」とか、「恥部」をさらけだしていきます。みんなで利益を分配する。砂糖の山に群がる蟻です。「悪」を隠すために「悪」をかぶせる。犠牲者もまた加害者には違いない。
 自分の黒い部分を他人の黒い部分で上塗りして自分の黒い部分を隠して生き残る。
 ブラックジョークの面もあります。タブーに対する遠回しな分析と批判と評価があります。
 黄色いカーディガンの女は、一連の経過のコーディネーター(企画・立案、実行、調整役)でした。推理小説の面もありました。
 
 結末は読み手に考えさせる内容で終わっています。「悪意」を描いた作品だろうと思った次第です。
 
(読後)
 まちを歩いていて、むらさきのスカートの女性を見かけると、この作品を思い浮かべるようになりました。  

Posted by 熊太郎 at 07:50Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2019年09月05日

ローカル鉄道寄り道旅 太川&蛭子が浜名湖へ テレビ番組

ローカル鉄道寄り道旅 太川&蛭子が浜名湖へ 涼やか!真夏の天竜川 テレビ番組

 太川陽介さん、蛭子能収(えびす・よしかず)さん、マドンナがすみれさんです。
 天竜浜名湖鉄道駅を巡る旅で、観光地らしからぬところで名所、名物を見つけて、時間をかけて映像を流してもらえるので、旅気分を味わえます。優しい地元の人たちの親切も見ていてありがたい。
 蛭子さんは相変わらずときどき相手に失礼な言動がありますが、悪気があるわけではなく、正直な気持ちから出るものなので、それはそれで気に入っています。72才、体力に不安ありなので、あまり無理はさせないでほしい。
 映画タイタニックのシーンを真似した断崖絶壁、シルクロード・ミュージアム、安くておいしい恵ロール(めぐみろーる)、大学生徒の出会いと大学バス、鍾乳洞、お寺さん、すっぽん料理、ゆったりした気分になれました。

(追記 2019年10月23日放送)
 別のテレビ局で同じ内容で放送があったのでまた見ました。忘れてしまっていたこともあり、また、楽しめました。  

2019年09月04日

怪盗クイーン ブラッククイーンは微笑まない はやみねかおる

怪盗クイーン ブラッククイーンは微笑まない はやみねかおる 講談社青い鳥文庫

 作者は女性だと思っていたら男性だったのでびっくりしました。
 話のほうはちょっと複雑です。偽物が本物をのっとる。クイーンがいて、偽物のブラック・クイーンがいます。なんとかエッグを盗むことが目的です。100ページあたりまで読みました。

 話を進めてくれるのは、15才で大卒の優秀な頭脳をもつパイカルくんです。国際刑事警察機構の探偵卿(たんていきょう。卿は称号、官職)になることを目指しています。現在は探偵卿の助手をしている。

 移動手段として、超弩級巨大飛行船トルバドゥール(超弩級:ちょうどきゅう。はるかに強大で優れている)

 読んでいると、いろいろよみがえります。大阪万博の頃のテレビ番組万国びっくりショー、アニメサイボーグ007、邦画七人の侍、つづけて読んでいるとおもしろい。テレビ番組徹子の部屋、ルパン三世、高級品の泥棒映画、なんだったっけでオードリーヘップバーン、ミッションインポッシブル、スパイ大作戦、007、戦国時代にあった秀吉の一夜城など。

 パイカルの師匠、探偵卿のウァドエバーが宣言します。「3か月以内に怪盗クイーンに手錠をかける」、怪盗=手口が鮮やかな技術をもつ優れた盗人(ぬすっと)

 空想と想像の世界が繰り広げられますが、クイーンのだらしない生活は作者の実生活ではないだろうか。それともまるっきり正反対なのだろうか。
 人工知能RDのセリフはゴシック体で書いてあります。最初はわからなかったのですが、わかってからは読みやすくなりました。

 名言の趣旨として、「夜の闇に赤い夢をみるこどもがいるかぎり怪盗が死ぬことはない」

 「半天蓋ベッド:はんてんがい。屋根付き寝台」、「朧:ミラージュ。おぼろ。ぼんやりとかすんでいる。ミラージュは蜃気楼」、「ホープ・エッグ:起爆剤」

 考古学者・トレジャー・ハンター(遺跡荒し)のパシフィスト・ドゥ・ルーベ(女性)、クイーンの大学院同級生。

 「フィニス・パクトゥン:500年前の世界の9か所で起きた奇跡。10番目が問題。ホープ・エッグは10番目のフィニス・パクトゥンを起こした」

 13人の探偵卿のなかで最も優秀なのはスペインのラロ、それとは別に、新人冥美(めいび)

(つづく)

 午前12時に博物館に展示してあるホープ・エッグ(鶏の卵ぐらい)をブラック・クィーンが盗む。ICPOのメンバーが警備に着く。そういう流れです。

 「バイオハザード:生物兵器が漏れた」、「コンビニでいうところのブルーシート:レジャーシートのこと?」、「アダムスキー型円盤:1964年74才没ドイツ人。作家。円形の円盤」、「中2病:思春期の背伸びしがちな言動」

 にせ物ばかり。だれがだれなのかがわからなくなる。読み手は不安です。

 思いつくがままに筆を走らせているのだろうか。コンビニ店員が怪盗たちです。身近なミステリーです。
 
 好きなキャラクターとして、楊さん(やんさん)、58歳、早朝ウォーキングに励んで、健康に気をつけて、130歳まで生きることが目標。

(つづく)

 読み終わりましたが内容はよくわかりませんでした。回転寿司を食べながら言い合いをするシーンの内容がわかりませんでした。
 カタカナ造語ではなく、名前や事柄を日本語で書いていただけると助かります。
 
 「C調:軽薄で調子がいい」、「舌切りすずめ:すずめに親切なおじいさん、いじわるなおばあさん。おばあさんは、のりのお米を食べたすずめに罰としてすずめの舌を切りました。すずめは、おじいさんにはおれいのごほうびを、おばあさんには魑魅魍魎(ちみもうりょう。ばけもの)が入ったつづらをあげました」

 気に入った表現として、「日本人はいつまでも幼い」、「暇を持て余した主婦や定年退職をしたお父さんは、ワインを飲み散らかし、ラジオの人生相談に電話し、新聞に生活作文を投稿し、掲載記念品を飾る。これのどこが、怪盗なの?」

 作者の身辺に起きた私生活部分を脚色(事実をおもしろく粉飾する)して作品化してあるような気がしました。  

Posted by 熊太郎 at 06:21Comments(0)TrackBack(0)読書感想文