2019年03月24日

黒い雨 井伏鱒二

黒い雨 井伏鱒二(いぶせ・ますじ) 新潮文庫

 野崎歓(のざき・かん)という方の「水の匂いがするようだ」という本を読んでこの本に来ました。このあと、同じく井伏鱒二著「さざなみ軍記・ジョン万次郎漂流記」へ行く予定です。

 三人家族です。閑間重松・シゲ子夫婦(しずま・しげまつ)とその姪の高丸安須子(やすこ)です。広島原爆の被爆者のお話です。黒い雨は放射能を含んだ夕立です。40ページまで読んだところで、最後の解説を読みました。庶民の生活を淡々と描く名作とあります。「悲しい親しさ」と表現されています。

 調べた単語などとして、「徴用逃れ:国家が国民に強要する労働から逃れる」、「キグチコヘイ:木口小平。日清戦争で戦死した兵士。ラッパ手として、死んでもラッパをくちから離さない。英雄」、「含嗽:うがい」、「アカザ:雑草。おひたしにする」、「曲学阿世:きょくがくあせい。真理を曲げて権力者の意に沿うこと」、「糧秣:りょうまつ。兵員用の食糧」、「回向:えこう。成仏を願って供養すること」
 
 放射能・放射線に被ばくすると人の体はこうなるということが書いてあります。体がだるくなって、頭に小さなぶつぶつができる。髪の毛が抜ける。歯も抜ける。ぐったりして死んでしまう。
 昭和20年8月5日以降の日記があります。歴史書を読むようです。善良な人たちです。8月6日午前8時過ぎ爆弾が落ちた。家族は広島市内からな遠く離れた小畠村(こばたけむら)に住んでいた。原爆投下当日、重松は、広島市内横川駅にいた。原爆症を発症する。姪の安須子は重松を探しに行って、放射性物質を帯びた夕立を浴びて被ばくする。
 42ページあたりの記述はリアルです。すごみがあります。以前長崎に行ったときに投下された原爆の実物大模型を見ました。こんな小さなもので何万人もの人たちが死んでしまうなんて怖いと思いました。(これまでに広島約40万人長崎20万人)

 胸を打つ記述として、「混雑した電車の中で荷物を担いでいるご婦人に、それはお子さんかと声をかけたら、死んでいますとの返事あり」、「戦争はいやだ。正義の戦争よりも不正義の平和のほうがいい」

 被ばく日記形式の反戦小説です。ひどい被害を受けていますが、相手国の国民も多数の犠牲者が出ています。戦争そのものを否定しなければなりません。
 読みながらいろいろ考えます。人間ってなんだろう。これだけアメリカ合衆国にひどいことをされたのに、今はアメリカ合衆国と仲良しになっている。

 生々しい惨状が続きます。人間は忘れるから過ちを繰り返すので、再発しないように教育が必要だと痛感します。たたみかけてくる勢いがあります。  

Posted by 熊太郎 at 06:47Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2019年03月19日

東野・岡村の旅猿 西伊豆・ツーリングの旅 DVD

東野・岡村の旅猿 西伊豆・ツーリングの旅 DVD 2016年 平成28年10月


 シーズン10の始まりですが、昼間の放送から深夜に戻ったそうです。最近安定した旅が続いて旅猿らしい、はちゃめちゃさがなくなっていたので、真夜中の放送に戻した方がいいと思います。
 スクーターみたいなバイクで出川さんも含めて三人で移動するのですが、前半は雨天で、旅猿は北海道も沖縄もいつも雨天で、歯を食いしばって、雨降る中をバイクで峠道を走るおじさん三人、まっ白な霧の中で、晴天なら美しい景色も見えない。
 途中、雨に濡れながらの休憩には大笑いしました。カッパを着て走る姿も悲しい。びしょ濡れです。インドのバスや寝台車旅行よりもつらそう。
 後半は、天気が良くなってきて良かった。景色もいい。やはり、旅する日は、晴れていてほしい。  

2019年03月18日

パンのずかん 大森裕子

パンのずかん 大森裕子 白泉社

 子どもさん向けの絵本です。
 以前、書店で見て、これいいなと思いつつ、今度買おうと。
 次にその書店に行ったらすでに売り切れていました。
 それから、数か月がたち、別の書店に行ったら、絵本関係のコンテストで7位になったとして置いてあったので、さっさと手にして買いました。
 パンが好きな親とか子どもさんにはとてもいいと思うのです。
 リアルな絵で、おいしそう。
 くまさんが案内してくれます。
 形から入ります。まずは、丸いパンから。あんぱんからスタートです。
 しかくい食パンです。これもまたおいしそう。
 次はねじのような、巻き巻きパンです。
 サクサクパン。クロワッサンは「みかづき」の意味とあります。知らなかった。
 揚げパン、蒸しパン。あんまん、にくまん、カレーパン、みんなが好きなパンです。
 ピザやナンもおいしい。コロッケパンにサンドイッチ、調理パンと呼ばれています。
 菓子パン。パンダやチンパンジーの形をしたパン。
 最後はパンのつくりかた。どうぶつたちみんなでつくります。
 ああ、おなかいっぱい。  

Posted by 熊太郎 at 06:20Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2019年03月16日

ジャパン・ディグニティ 髙森美由紀

ジャパン・ディグニティ 髙森美由紀 産業編集センター

 タイトルの意味は、「漆・威厳」ととるようです。本の最初に「津軽漆」製品の写真があります。漆塗りのかんざしや下駄などがきれいです。
 60ページぐらいまで読んだところで感想を書き始めます。
主人公女性ミヤコ22歳がいて、スーパーのレジ打ちをしていましたが、不正をする客たちとのトラブルが多いようで、退職してしまいました。
 彼女には両親もいますが、お金のことでけんかして、母親は家を出て行ってしまいました。ただ、母親は、近所にはいるようです。離婚届の用紙は話のなかでみかけましたが、出したかどうかは今はわかりません。(あとで出したことがわかりました)
 主人公の妹は、戸籍上は男で、男だけど女として生き始めた高卒後、今は20歳です。名前は、ユウです。
 この家族はこれからどうやって、食べていくのだろう。
 父親は漆職人(津軽塗職人。塗師ぬし)ですが、それだけでは、食べていけません。なのに、お酒飲みです。

(つづく)

 津軽弁はところどころ意味をとれません。

 心に響いた部分として、「わたしはがんばることから降りた」、「承諾を得るのではなく報告」

 家族関係の設定は奇異ですが、内容はまじめです。粘り強く淡々と地味に生きる。
 書中にありますが、「機械で大量生産する均一で使いやすい商品が流通する」。本物を求める人の数は減ったのか。伝統を守る。継続する。そういうメッセージが強く伝わってくる作品です。
 文字数が少ないので、情景がくっきり浮かんでこない難点があります。
 漆塗り作品・製品の製作期間が3か月~半年を要するのは、小説の創作期間にも似ている。
 途中読んでいるとなんだかさびしくなってきました。家族がバラバラです。後半に向かうのに従って家族関係の修復が試みられますが、完全に元には戻れません。お父さんのせいなのか。

 調べた単語などととして、「初っ端:しょぱな」、「くろめ作業:漆に熱を加えて水分をとばす」、「一斗樽:18.039リットル」、「Netherlands:オランダ王国」、「Secretariat:事務局」  

Posted by 熊太郎 at 08:56Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2019年03月15日

ヨーロッパ文化と日本文化 ルイス・フロイス

ヨーロッパ文化と日本文化 ルイス・フロイス 岩波文庫

 ポルトガル人宣教師ルイス・フロイス(1532年-1597年。35年間日本で暮らして65歳で長崎にて没)は、織田信長(1582年47歳没。フロイスとは、1569年、1581年に面会)や豊臣秀吉(1598年61歳没。フロイスとは1586年に面会)と会ったことがある人で、そのときのことを記録して残した人です。
 この本の内容は、所属するキリスト教会あてに1585年6月14日に今の長崎県においてまとめられたものであり、ヨーロッパ人と日本人の暮らしぶりを比較してあります。そして、それは、外国と日本のありようは正反対であるというような記述になっています。自分は、たとえ正反対であったとしても人間は生きていける。人間の生き方はいかようにでもなると受けとります。
 児童虐待の部分に興味が湧いて読みました。事柄は単純な箇条書きにしてあります。当時の日本人はこどもに暴力をふるうことはなかったと書いてあります。むしろ、大切に育てた。言うことをきかないときは、言い聞かせた。めったに手は出さなかったとあります。幼な子が短命であったこの時代ではこどもは貴重で大事な存在だったこともあるのでしょう。しつけと称して徹底的に弱い立場のこどもにしつこく暴力を振るったり育児放棄をしたりするニュースを見る昨今が嘆かわしい。
 
 驚かされることばかりです。現在の日本人のありようは、明治以降に、西洋化された気配があります。気に留めた記事の趣旨として、「ヨーロッパ人は瞳が大きい人を好む。日本人は細い目を美しいとする」、「ヨーロッパ人は、散歩を好む。日本人は全然散歩をしない。散歩をする外国人を不思議がる」、「ヨーロッパ人は家で入浴する。日本人は公衆浴場で入浴する」、「ヨーロッパでは女性の貞操が尊ばれる。(キリスト教の影響)日本人女性は純潔を重んじない。重んじなくても名誉は失わないし結婚もできる」、「ヨーロッパでは夫が前、妻が後ろを歩く。日本はその逆」、「日本の娘たちは両親にことわりもしないで一日でも幾日でもひとりで好きなところへ出かける」、「ヨーロッパでは女性が食事をつくる。日本では男性がつくる」、「ヨーロッパでは男性が裁縫をする。日本では女性がする」、「日本では女性が酒を飲み祭りの時には酔っぱらうまで飲む」、「日本ではすべての子どもが寺院で勉強する」、「デウス:ラテン語で神(ラテン語:インド・ヨーロッパ語のひとつ)」、「日本人は神に幸福、健康、長寿、富、勝利を祈り、仏に罪の許しと来世の救いを祈る」、「ヨーロッパでは、17世紀に入ってからフォークを使用するようになった。それまでは、手づかみで食べていた。日本人は16世紀にすでに箸を使用していた」、ことに日本人の料理や食事作法に関して言えば、400年前も今もあまり変わりがありません。「ヨーロッパでは、食事の後片付けは使用人がするが、日本では、貴人でも自分が食べたものは、自分で片付ける」、「ヨーロッパでは、部屋の掃除は雇われ人がやるが、日本では、貴人でも自分で掃除をする」

 調べた単語などとして、「佩びる剣:おびるけん。剣を腰に付けること」、「炉火:ろか。暗闇を照らす灯り」、「臀をまくる:しりをまくる」、「当時の日本の時計は水時計:水がしたたり落ちる時間の経過で時刻とする。砂時計の砂を水にしたようなもの」、「跪く:ひざまずく」、「噯:おくび。げっぷ」、「日葡事辞書:日本語をポルトガル語で解説した辞書。にっぽじしょ」

 キリスト教の宣教師ですから、仏教の坊主を攻撃する内容がみられます。されど、当時の坊主は利権を好み、性欲に乱れ、酒に溺れている。いくさのときの戦士というような記事になっています。織田信長が仏教を嫌った理由がここでわかります。

 病気・医者・薬の部分を読んでいるのですが、病気になると「死」が近い。あきらめてしまうしかないようです。  

Posted by 熊太郎 at 06:56Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2019年03月14日

世にも奇妙な物語 SMAPの特別編DVD

世にも奇妙な物語 SMAPの特別編DVD 2001年 平成13年1月

 グループは解散してしまいました。もうずいぶん前の映像です。みなさん、まだ若い。
 作品の内容は難解なものが多くて観ていて理解不能な世界に陥りました。
「エキストラ」 香取慎吾
 あらかじめシナリオが用意してあって、シナリオどおりのセリフを各自が発して、日常生活を送り、人生を終えるのです。台本以外のセリフをしゃべってはいけない。
 こういうアイデアはあります。サラリーマン生活に対する自由人の不満と受け取ります。
 バックミュージックが強すぎて観にくかった。

「13番目の客」 草彅剛
 おそらく、主人公は事故死していて、あの世へ行く途中で、床屋に立ち寄っているのだと解釈するのです。なかなか、床屋から出られないのは、この世に未練があるからでしょう。

「BLACK ROOM」 木村拓哉 樹木希林
 樹木さんも亡くなってしまいました。
 劇中でアメリカ合衆国留学中の木村拓哉さんが帰国して、両親に会うのですが、家の様子が変なのです。南極とか、真っ暗で広い空間とかが出てきます。
 コントなのかと観ていたら、奇想天外、趣旨不明な出来事が発生します。だけど、面白かった。

「僕は旅をする」 稲垣吾郎
 これもまた、死者の幽霊話です。うーむ。説明を聞いて見ただけのような。

「オトナ受験」 中居正広
 未来世界では、「大人免許証」があるようです。電車の乗り方のマナーから「大人の免許証」資格取得講習が始まります。
 オチの「男免許証」は、今の時代だと、問題視されるかもしれません。