2019年03月13日

(再読)忘れられた日本人 宮本常一 岩波文庫

(再読)忘れられた日本人 宮本常一 岩波文庫

 必要があって再読です。
 日本人の昔の生活ぶりを記した民俗学の本です。
 宮本常一:1981年昭和56年73歳没。民俗学者
 昔の日本は、多数決を最終決定手段とする民主主義ではなく、全員一致を目標とする話し合い方式であったという部分が目を引きます。「村でとりきめをおこなう場合は、みんなの納得のいくまで何日でも話し合う」とあります。全員一致しなければ、変化はしないということです。
 取材場所は主に島を中心としながら各地を巡ります。長崎県対馬、愛知県佐久島、長野県諏訪地方、瀬戸内海の島々、愛知県の山奥、鹿児島県沖永良部島、四国の山奥、大阪府河内長野市、ことに島では、文化や生活の多様化が本土より遅れる傾向があったと察します。

 当時の農村、漁村で暮らす人間の生活が生き生きと記録されています。貧しい暮らし、食生活、小学校にも通えない、結婚したら60年間黙々と添い遂げる。そんな明治時代があります。そして、おおらかな性風俗があります。昔の人たちは人として生きていた。
 
 印象深い言葉などとして、「他人の非をあばくことは容易だが、あばいたあとのことを考えなければならないという主旨の言葉」、「人間三代の間にはかならず悪いことをしている」、「エロ話がいけないのではなく、エロ話をゆがめている何ものかがいけないのだ」、「おもしろいこともかなしいこともえっとありました」、「日本の村々をあるいてみると、若い頃に意外なほど奔放な旅を経験したことがある人が多い」、「無名に等しい人たちの紙碑(しひ。世に生まれた人たちの業績を描いた文章)」、「人類の進歩とはなんであろうか。退歩しつつあるものを進歩と誤解し、生きとし生けるものを絶滅に向かわしめつつあるものもあるのではないか」

 長老たちの話の内容は、きれいごとばかりではありませんが、読んでいると、人間はそんなものだと、気持ちが落ち着いてきます。どんな生活をしていても、人間は最後には死んでしまう。そんな、庶民の暮らしぶりです。山口県周防大島の小さな農村でのことが書いてあります。小学1年生のこどもが帰宅しないのです。テレビを買ってくれないからと親とけんかになったからです。村の人は山寺でこどもを見つけるのです。昨年スーパーボランティアのおじいさんが2歳児を発見したところであり場所の共通点に驚くのです。
 年寄りの言葉は文字のない文化で聞き語りなので、脚色や創作も入り混じるのでしょうが、おもしろい。

 著者は、子どもの頃の祖父との交流が、その後の人格形成に良い効果をあげています。

 調べた単語として、「楮:こうぞ。和紙の原料」、「救荒植物:きゅうこうしょくぶつ。飢饉のときに食料になる食べ物。彼岸花、煮て、毒を抜いて、餅にする」

 生き生きと書いてある歴史上の出来事として、「西南戦争(1877年明治10年)」、「シーメンス事件(1914年大正3年ドイツ人から日本人へのわいろ。戦争用商品)、「日露戦争1904年-1905年明治37年-38年(この10年前に日清戦争)」、「鳥羽・伏見の戦い(1868年慶応4年)」、「中馬(ちゅうま。馬で目的地まで通しで送る。伝馬が、荷物を積みかえる)

2012年8月1日の読書感想
忘れられた日本人 宮本常一 岩波文庫
 淡々と読み続けて、さきほどガソリンスタンドで読み終えました。(2019年の今はセルフのスタンドばかりになりました)
 民俗学者で、小学校の先生だったそうです。昭和56年に亡くなっていますが、本のほうは48刷まで発行され続けています。もう60年ぐらい前の日本各地の生活について、古老から聞いた話が綴られています。
 地域の決め事は全員が賛成するまで延々と何日もかけて話し合われるとか、こどもをもらったりもらわれたりとか、おおらかな男女の関係とか。興味深いものです。現代人が知らない日本人のかつての姿があります。
 進歩の影で、退化していくものがある。退化によって、人間という生物は滅んでいく。現代人に対する警告でしょう。  

Posted by 熊太郎 at 05:59Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2019年03月12日

東野・岡村の旅猿 夏の北海道満喫の旅DV

東野・岡村の旅猿 夏の北海道満喫の旅DVD 2016年 平成28年8月

 ゲストは持田香織さんです。
「ワクワク編」
 旭川動物園の様子を画像で観ていて行きたくなりました。カバが泳いでいるのを下から見上げる構図がいい。
 旅先でのおいしい食べ物紹介番組になっています。
 持田香織さんはおもしろい。「ケンとメリーの木」を見に行くことが目的なのに、運転手として通り過ぎて、あと戻りすることもしない。
 「美瑛」は、みえいと読むと思っていました。びえいでした。

「ルンルン編」
 国民的テレビドラマ「北の国から」の富良野巡りです。
 映像を観ながらなつかしかった。
 その後の、高級リゾートホテルでのジェットバスとか食事とか、番組として、この頃の旅先での行いが、だんだん旅猿らしくなくなってきて、内容がおもしろくなくなってきている傾向がみられます。  

2019年03月11日

しくじり先生 俺みたいになるな!! DVD9巻下

しくじり先生 俺みたいになるな!! DVD9巻下

「Mr.マリック」 2016年
 いいお話でした。
 人間誰もがもっている超能力がある。
 それは、「初心」ですという結論が良かった。
 「初心」は、「純粋」です。
 基本は、「純粋」です。

「小倉優子」
 キャラ設定の落とし穴のお話です。
 芸能人でなくても、人はだれしも外では演じています。
 その度が過ぎると自分自身が悩むことになります。

「7回離婚した一般人」
 結末がすごすぎました。
 観ていて疲れました。  

2019年03月10日

世にも奇妙な物語 21世紀21年目の特別編DVD

世にも奇妙な物語 21世紀21年目の特別編DVD 2011年 平成23年5月


「どっきりチューブ」 坂口賢二
 どっきりカメラです。笑えません。
 だまされた人たちの反撃か。
 なにか中途半端。

「分身」 大森南朋 杏
 さっきの「どっきりチューブ」とイメージがつながります。
 観ていて気持ちのいいものではありません。夫が妻をだまします。
 別人の男になりすまして、妻にメールを送る。
 こういう結末か。うーむ。発想としてはありえますが、受け入れにくい。

「通算」 松平健
 男性刑事の定年退職日までの通算何回パターンです。
 これもどっきりに見えます。今でいうところの「モニタリング」です。
 ありえない無理やりの逮捕劇です。

「缶けり」 永作博美
 こどものいじめに対する仕返しか。

「Pets ペッツ」 谷村美月 国仲涼子
 ペットである犬たちの世界です。絵本を見ているようでした。
 犬の名前が「さくら」で、飼い主の名前が「ももこ」ですから、去年亡くなった「さくらももこさん」からとったのでしょう。  

2019年03月09日

萩原朔太郎詩集

萩原朔太郎詩集 新潮文庫

 詩人。1886年-1942年(明治19年-昭和17年)55歳没
 本人のコメントを解釈すると、「詩とは、積極的に感情を表に出すこと」「主観の訴え」「成長はないけれど、変化はある。進歩はない」

「月に吠える」
 表現するのは「孤独」です。人はひとりでは、いつも永久に恐ろしい孤独であるとあります。人は単位で生まれて、単位で死んでいくともあります。自分自身の影を地上に釘づけにしたいとあり、そのような表現はなかなかできません。
 初版が大正6年ですから、1917年ですからもう102年も前です。調べた言葉として、「エポック:新時代」、「重さ五匁:もんめ。3.75g×5=19g」、「桃李:とうり。ももとすもも。優れた門下生」
 詩「竹」はすがすがしい。まっすぐのびているのが、竹です。さびしい地面の底から竹がのびているのです。
 5月の朝の新緑と薫風が生活を貴族にするとあります。暖かい日にする布団干しの幸福感を思い出します。
 読んでいると気持ちが落ち着きます。

「青猫」
 「月の吠える」ほどは好みではありません。心に響いてきません。
 理屈っぽくて堅苦しいのは、広がりがなくなります。
 軍隊、戦争の影があります。

「純情小曲集」
 フランスに行きたいけれどもフランスは遠いからいけないというような記述で、読んでいて心が落ち着く言葉表現です。
 「帰郷」は、昭和4年という記事があり、時代を感じさせます。

「散文詩」
 田舎暮らしの分析は当時のこととして的確です。未来の今読むと変化しています。世の習いの通りには人は生活しなくなりました。婚姻、出産、葬式の形態は変わりましたし、昔の慣例どおりにしない人も増えました。
 
 全体をとおしてですが、詩には緊張感があります。自分を追い込むような雰囲気もあります。
 「解説」を読むと、本人の境遇は、詩の内容とは違って、生家が裕福で、気持ちのおもむくままに遊惰放逸(ゆうだほういつ。仕事をしないでぶらぶら、勝手気ままに遊びほうけていた)とあります。それでも思春期の頃の本人は孤独な思いにどっぷりつかっていたのでしょう。
 「月に吠える」は大正6年の作品です。明治に育ち、大正で独創性を確立し、昭和で大成した人とあります。その解説が書かれたのも昭和25年のことであり、もう70年ぐらい前のことです。人生は長くて遠い。  

Posted by 熊太郎 at 06:08Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2019年03月08日

旅猿 沖縄・石垣島でスキューバダイビングの旅DVD

東野・岡村の旅猿 沖縄・石垣島でスキューバダイビングの旅 DVD 2016年 平成28年6月


「ワクワク編」
 梅雨時の沖縄で、2枚組DVDの最初「ワクワク編」は、ほとんどが曇天と雨天の中です。どうして、こんな雨が降る時期に石垣島に行くことにしたのかとがっかりしますが、最後のあたり、船に乗ってスキューバダイビングに行くあたりから青空が顔を出します。エメラルドグリーンの海、海底10m地点は気持ちよさそう。見上げれば海面に光が輝き、海中では「コブシメ」という大きなイカが何頭も泳いでいます。熱帯魚と人なつっこそうな大きなウミガメがいます。
 風呂のくだりは飽きてきたので、早回ししました。また、男同士のキスもパスしました。石垣島観光大使の岡村さんを迎えて地元の人たちが、「お帰りなさい」と声をかけたのに、泣けてくるものがありました。三人のこれまでの苦労話が生きてきます。
 調べたこととして、「スパムおにぎり:アメリカのハム」

「ルンルン編」
 貧乏、悲惨がおもしろおかしい旅猿らしさがなくなって、豪華、優雅、快適なここ最近の旅です。
 パラオに行かなくてもマンタを国内で見ることができることを知りました。マンタ二匹が旅猿メンバーの回りを飛行するように泳ぎます。
 宿泊した家屋は、畳で、畳はいいなあという気分になりました。沖縄の心豊かな生活が伝わってくる柔らかい雰囲気のロケとなっています。
 黒島には、「人間らしさ」がありました。第二の故郷をもちましょうと石垣島観光大使の岡村隆史さんが視聴者に強調します。