2018年03月11日

棲月(せいげつ)今野敏

棲月(せいげつ:ねぐらにすむ。やすらかに暮らす) 隠蔽捜査7 今野敏(こんの・びん) 新潮社

 一行縦流しの文章が続きます。
 ページの見た目は、雨が降っているようです。
 前半は、主人公である大田区大森署長竜崎伸也の個性設定のために大量のページが割り当てられています。頑固、言い出したらきかない。しかし、犯罪に対して的確に反応している。判断しての言動がある。

 良かった表現、「どんな国も警察機構は腐敗している(日本は違うという裏返し)」

「サイバー犯罪:インターネット、コンピューター・システムがらみ」、「十全:万全」

管轄にこだわることへの疑問符があります。管轄にこだわることは当然です。出だしとして、?でした。

 内部犯行ではないだろうか。(鉄道内部、銀行内部)

 仕事をしてもしなくても、毎月決まった日に決まった額の給料をもらえる公務員(この小説の場合は警察職員)には、強い公益サービス意識がいる。

(つづく)

 人事異動の話に興味は湧かない。

 夜回り先生を思い出した。

 仕事を休ませることに心血を注ぐ主人公です。珍しい。それ以外にも、ワーキングマシーンとしては珍しい言動があります。庶民的です。組合的でもある。不思議です。ふつう、こういう人は上司になれない。
 管理職や幹部は理想を目指すという言葉には、小説だからという思いと、現実、そうだといいがという期待が混じります。

 若者たちとサイバーとどうつながっていくのか。

 「管理官」って何だろう。調べました。係長か。

 「半グレ」って何だろう。これも調べました。暴力団に入らない集団。

 「組対係:読めません。調べました。組織犯罪対策部。暴力団。読みは、くみたい」

 ルナティック:狂気的。月の人。月を調べる学者

 いいなあと感じた「進行してよろしいか」。話というものは繰り返しが多く、なかなか前へ進みません。「憶測に基づいた発言はできない。」もいい。

 「蓋然性:がいぜんせい。確からしさの度合い。確率」

 主人公の竜崎という人は、理想の上司なのか。その後を読むとどうも左遷されて警察署長になっている。

 警察は、人を疑う特殊な世界

 「リアリスト:現実主義者」

 呼出し音〇回で出る。のフレーズが作者のクセです。

 自宅に返らず、署で仮眠する職員の姿がいい。

 俺の城

 令状主義

 世間に認められたいという願望

 なりすまし。ハッカ―(コンピューターに侵入する人)

 「いじめられている少年は鑑が濃い:かんがこい。感情が不安定でいいのだろうか。不明。」

 殺された被害者の心理がミステリー。考える。考える。考える。50万円

 金儲けをしない。

 名前を騙る:かたる。読めませんでした。

 主人公の竜崎伸也所長の言動はロボットのようだ。

 「職場に過剰な思いは必要ない。」古い平社員にとっては、該当しない考え方です。

 たてつく主人公の様子は、昔引退に追い込まれた暴れん坊の横綱のようです。ときに、気持ちがいい。

 「いじめは徹底的に心を痛めつける。」

 将棋の持ち時間切れのような緊迫感の表現です。

 「判押し」

 うーむ。こういう書き方もあるのか。そして、ファンがいる。  

Posted by 熊太郎 at 12:21Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2018年03月09日

ロボット・イン・ザ・ガーデン デボラ・インストール

ロボット・イン・ザ・ガーデン デボラ・インストール作(女性・イギリス在住) 松原葉子訳 小学館文庫

 イギリスからアメリカへと展開する英語小説を日本語訳してあります。おもしろいらいしい。

 「庭にロボットがいる。」 というタイトル通り始まりました。突然庭にポンコツのロボットがいるのです。ロボットが家事手伝い人の役割を果たす未来生活です。
 ご主人がベン、奥さんがエイミー(裁判所が仕事場の弁護士)、ふたりには、こどもがいないので、そのロボットがこれから子供代わりになるのかもしれません。まだ39ページまで読んだところです。

「髪をシニヨンにまとめる:髪を丸くまとめる。丸がいっぱい。お団子型」

(つづく)

 100ペーあたりまで読みましたが、いまのところ、まだ、おもしろくありません。
 ベンとエイミー夫婦には離婚話があります。
 エイミーがロボットのタングを嫌うのですがその理由が定かではありません。アンドロイド(人造人間)と比較して、レベルが劣るという部分ぐらいしか理由としてありません。

 タングの心臓の隣にあるシリンダー部分が故障している。
 タングとご主人ベンは、それを修理するためにイギリスからアメリカに飛びます。レンタカーを借りて、そこからロードムービー形式になります。

 「ロボットの胸のフラップ:ふたのようになっている部分。パタパタと開閉するもの。」、「セーム皮:カモシカ、ヤギの皮」、「スエード製:ヤギほかの皮の内側をサンドペーパーで起毛させる。」、「エキセントリック:様子や行動が普通じゃない。」、「ダッジ・チャージャー:アメリカの車。マッスルカー。ごついでかい車」

 ロボットは、こどものような扱いだし、障害児とか病児にも見える。

 ロボットがセックスフレンド、しかも男性人間と男性ロボットのような誤解というような記述があり、理解しがたい。

(つづく)

 うーむ。173ページまできましたが、この本の良さがまだわかりません。

 古い型のロボットがいて、別れた妻が遠くにいる。
 新しい女性との出会いがあるけれど、発展性は不明。
 ロボットの素性調査が鍵を握っているようです。
 元夫である男ベンが、子ども嫌いなのか、子ども好きなのか、はっきりしない。

 カトウ・オーバジン(茄子なす)という日本人技術者の登場はびっくりです。
 
 ディーゼル・オイルが、なにか、秘密を明かしてくれそうだ。

(つづく)

 読み終えました。ふーむ。こういうつくりの小説もあるのか。
 途中、舞台が東京になったのは驚きました。(ただし、未来のTOKYOです。)また、パラオ諸島も、ロボットの修理目的とはわかるのですが、それが、なぜ暑い土地のパラオを舞台に設定したのかがわかりませんでした。思いつき、なりゆきだけにみえます。東京でのカトウとの出会いも同様です。

 内容的には、感動を呼ぶものではありませんでした。
 最後半部のこどもをめぐる三角関係の展開は理解できません。なんだかわからない展開です。
 和解と協調の手段が、「ゴルフ」というのも、理解できません。

 ロボットのセリフがもっと多いほうがいい。
 
 ロボットを人と思えるか思えないかが読み手の感想の違いになります。わたしは、思えません。ロボットはあくまで、機械です。わたしは、夢のないおとなです。

 途中、ロボットとアンドロイドの比較が、「人種差別」を表しているようにみえました。

 ただ、こういう形式でもいいんだというのは、世界が広がり、良かった。
 ロボットのかわいらしさが売りなのです。  

Posted by 熊太郎 at 18:54Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2018年03月07日

おもかげ 浅田次郎

おもかげ 浅田次郎 毎日新聞出版

 死にそうになっているのは、竹脇正一さんです。定年退職送別会の帰り、花束を手にして、地下鉄の中で倒れ、救急搬送されて、今は、病院の集中治療室で意識を失っています。

 もう、つくり話だなと、そんな下地の気持ちで読むものだから、流し読みになります。

 「会社員としての余命」、いい言葉です。

 「薬を嚥む:くすりをのむ。読めませんでした。」

 まだ、第一章47ページを読み終えたところです。

(つづく)

 フランス語で、「雪:ネージュ」。マダム・ネージュは何者なのか。(死神ではないとある。)

 「地下鉄」にこだわりをもつ作家さんです。

 第二章の内容は身近ではなかった。

 
(つづく)

 テレパシー(精神通信手段・方式)

 書中の65歳よりも、59歳、60歳が危ない。(突然死)
 長寿と言われても、大部分に属しない単体としての人間は、それほど進化していない。

 (親がいないから)親孝行も親の介護もしなくていい。
 
  榊原勝男は生まれ変わるのか(輪廻)

(つづく)

 今、目の前にいるのが、「家族」です。遠方にいる人は、昔の「家族」です。
 遠い、昔のことに、なぜ、こんなにこだわるのかが解せません。(げせません。)

 主人公の自分は立派だという思い上がりです。相手は、気にしていません。
 
 「審美:美しさを見極める。」
 
 「サードレール:鉄道関係者、鉄道に興味がある人にしかわからない。地下鉄には通常3本のレールがある。3本目のレールに電気が流れている。架線の役割を果たしている。」

 何度も出てくる言葉として、「区役所」

 湿っぽくてイヤです。
 設定はわかります。意味はわかりますが、加えて、味わいも伝わってきますが、あまりにも悲しすぎる。そして、とってつけたような終わり方です。
 地下鉄で生まれて地下鉄で死ぬ。  

Posted by 熊太郎 at 19:16Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2018年03月05日

「話のおもしろい人」の法則 野呂エイシロウ

「話のおもしろい人」の法則 野呂エイシロウ アスコム

 プロローグからスタートです。そこを読んで、自慢話だろうかという印象をもちました。著者は放送作家です。

 相手に合わせてカメレオンになる。(軽率な気がします。)

 相手を心地よくさせて、お金儲けをする。(詐欺と言う。)
 それが、金儲けのベースです。

 カメレオンになることはできません。おもしろい人と思われなくてもかまいません。
この本はベストセラーだから、そのコツを学ぶために読んでいます。

 秘けつは、実行するにはなかなかむずかしい。

 問答無用で断らない。(場合によっては断ります。けんかになってもかまいません。)

 読んでいて、ごますりの仕方の本にも思えます。

 アルコールの席にはもう出たくない年齢になりました。
 ふつうでいい。
 
 「正解はひとつじゃない。」は、Goodです。

 がりがりくんのプレゼントは、あとのごみ処理が気になります。

 著者のするサプライズは真似できません。無理です。

 事前調査は面倒くさい。なんらかの利益を得ることを目的とした事前調査です。自然ではない。
 章後のふりかえりは、くどい。

 テレビ番組の画一化(それ以外は認めない。)

 マニュアル(手引き)本です。実用書という位置づけです。

 神経質すぎてノイローゼ(精神症状、バランス崩壊)になりそう。
 
 「優しさを追求する。」、「知らぬふり」はGoodです。

 手のうち(心)をこんなにさらしていいのか。

 仕事用の顔をつくる。(ふだんは、素のままでいたい。)

 人の失敗はおもしろいもの。

 自然でありたい。  

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2018年03月04日

藤井聡太天才はいかに生まれたか 松本博文

藤井聡太天才はいかに生まれたか 松本博文 NHK出版新書

 「天才」について記してある本でした。
 地名が身近なところばかりで、気持ちがなんとなく引く部分があります。
 今日見た広報では、3月24日、名古屋城に彼が登場するようです。

 どんな環境にあっても、「天才」は埋もれない。
 必ず頭角を現す。

 将棋のことはわからないので、内容の2割から3割ぐらいしか理解できません。

 強くなるために必要なもの。努力、才能、根性、負けん気、闘争心とあります。同感です。

 終盤の切れ味がすばらしいところが特徴だそうです。
 天才を天才と理解できる著者の能力がうらやましい。

 人生の前半で力を使い果たすスポーツ選手と異なって、これからずっとこの道一筋で天才であり続ける彼です。年齢が早すぎるから天才、年齢を重ねれば、年相応ということもあります。
 
 将棋の進行記述は、勢いがあって良かった。

 14歳といえば、自我(自分の認識)に目覚めて、人嫌いになる反抗期を迎える時期ですが、スーツにネクタイの彼はもうおとなそのものです。天才であるがゆえの青少年期です。加藤一二三さんのようにユニークな存在になるような気配もなく、ごくふつうのおとなしい姿です。  

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2018年03月03日

老いと勝負と信仰と 加藤一二三

老いと勝負と信仰と 加藤一二三 ワニブックス「PLUS新書」

 藤井聡太4段14歳との対戦・敗戦から脚光を浴びるようになり、いまでは、ゆるキャラのような存在です。

 読み始めました。
 高齢なので、年齢の話と、将棋指しなので勝負の話と、キリスト教徒なので、信仰のお話です。珍しい構成です。
 インタビューを文章に起こしてあるのでしょう。

 まだ読んでいる途中ですが、内容をよく理解できません。キリスト教がベースとなって、将棋という勝負がある。西洋(キリスト教)と東洋(将棋)がイメージとしてうまくつながらなくて、アンマッチのような気がするのですが、本人にとってはそうではない。

(つづく)

 全体を読み終えました。
 宗教の本で、わからないことがたくさんありましたが、後半は、読み応えがあり、有益な部分もありました。後書きの部分を読んで、この本は、以前、2011年に出版されたもので、最近のひふみんブームで増刷されたものであることがわかりました。6年のときを超えての再版です。

 将棋のことはわからない。キリスト教のこともわからないで、読み続けました。

 99ページ、エルサレム、ヨルダン川あたりから、視界が開けてきます。広い世界です。

 人は、負けて、学ぶ。恥ずかしいのは、負けたことをほおっておくこと。そして、たまたま今は負けていると考える。

 クラシック音楽がたくさん出てきます。ヨーロッパの風景が見えてきます。

 危うきものに近づかない。

 上は下に歩みより、互いに高みを目ざしていく。それが、理想。

 後半は迫力がありました。  

Posted by 熊太郎 at 20:59Comments(0)TrackBack(0)読書感想文