2018年03月27日

久米宏です。ニュースステーションはザ・ベストテンだった。

久米宏です。ニュースステーションはザ・ベストテンだった。 世界文化社

 仕事人間です。先日、横山やすしさんの本を読んで、この本に飛んできました。横山やすしさんが、久米宏さんのしゃべりに負けて、テレビスクランブルを降りたという部分です。

 本は、337ページと分厚い。ただ、面白みには欠けます。説明です。日誌を読んでいるようです。いつ、どこで、だれが、なにを、どうしたです。そして、全体が、「過去」です。終わったことです。それでも、ところどころ気を惹く一文があります。

 もう73歳です。一世を風靡した人です。

 早稲田大学の同級生、当時の在学生は、有名人だらけです。田中真紀子、吉永小百合、タモリほか。

 前半は、文章にまとまりがなく、読みにくい。ニワトリのついばみのように、あっちをつついたり、こっちをつついたりです。なぜおもしろくないのかといえば、大量の説明だからです。それから、時間調整に厳格なアナウンサー気質が文章に表れています。それが、つまらない。話題転換が早い短い文章が大量に続くので、読みにくさがあります。

 結婚当初は貧しかったは、意外でした。 2年半、病気で(結核、胃腸炎) 何もすることがない不遇な時代を体験されています。

 生活感のないクール、冷たさのイメージは、意図的につくられたものだった。(この点が、横山やすしさんと共通します。本当は乱暴者ではなかった。演じていた。)
 自分の言いたいことを言うのではなくて、自分の意見とは無関係に、他局の報道とは区別化するために、言いたくないことでも、これまで、だれも言ったことがないことを言う。(これは、精神的にかなりきつい。) 標準的なアナウンサータイプから、個性を出していくタイプに変わっていく。

 表には出てこない、頭脳集団のスタッフが周囲にいます。

 途中にある何枚かの白黒写真、みなさん、若い。

 よかった表現として、「事実を操作しない意思を貫く。」 ザ・ベストテンの順位です。有名人でも、10位の圏外におく。
 裏話を聞くのは楽しい。
 西川きよしは、論理派、横山やすしは、感情派
 横山やすしさんが怒る前に、久米宏が怒る。
 まだ、一家にテレビが1台の時代(家族がそろってテレビを囲んでいた時代)
 だれもが、自由にものを言える時代
 横山やすしさんの目は悲しそうだった。
 6割の人に嫌われ、4割の人に好かれる人になる。すべての人に好かれている人はだれからも好かれていない。
 自分独自のスタイルをもつ。
 戦略的な意図
 メディアの役割は権力のチェック
 公正・中立なニュース番組はありえない。
 日本が再び戦争をしないように。
 黒柳徹子さんの言葉として、「いやな仕事はしない」 ことが、仕事を長続きさせる秘訣
 乗り掛かった舟は、とりあえず、一生懸命こいでみる。

 凡人ではない人です。

 娯楽への挑戦があります。
 
 人間の成長物語を読んでいるような気分になってきました。

(つづく)

 読み終えました。やはり、仕事人間の記録でした。仕事に生きる人です。もともとは、人見知りをする性格という自己評価は意外でした。「久米宏」 をキャラクターとして演じていた。読んでいて気づいたのですが、これまでは、個人が演じるということは理解していましたが、しかし、加えて、組織が演じるということがあるのだなあということに初めて気づき、新発見でした。番組をカムフラージュ(見つからないように包み込む) するようにして、ニュース番組のイメージを演じる。
 視聴者は本物ではないものを見て、感情を動かされる。単語として、そして目的として、「テレビ的なニュース」、「中学生でもわかるニュース」

 「継続は力なり(努力は報われる。ネバー・ギブアップ))」 ということわざを思い出させてくれました。
 
 報道番組のあたりの記述は迫力がありました。ときに熱っぽい行動と感情です。

 なつかしい出来事もあります。

 昔、久米は英語ができないからうんぬん(良くない)という評価があったことを思い出しました。今になってわかったのですが、ニュースの専門家ではなくて、娯楽路線のニュース報道をめざした人、あるいは、番組だった。

 スポーツに関する記述では、先日のオリンピックでの女子カーリング最後のシーンを思い出しました。テレビが、しっかり生きている人間を写す素晴らしさ。

 周囲の仲間が亡くなっていくのも、自身の引き際につながっています。人生の終焉もそういうものでしょう。

調べた単語として、「ノンポリ:政治運動に関心がない。」、「タブー:禁止の決まり事」、「エスプリ:機転の利いた辛辣、皮肉めいた言葉、雰囲気」、「立脚点:立ち位置、よりどころ」、「快哉:かいさい。ああ、愉快だ。胸がすく。」、「マッチポンプ:自分でつけた火を自分で消す。偽善的な自作自演」

演じる→誤解される→(自己顕示欲が強い)→生い立ちにあるのか(小学3年生の時新聞記者になりたかった。)→命がけで働く→国家の平和の希求。平和な社会こそ何より優先です。  

Posted by 熊太郎 at 19:06Comments(0)TrackBack(0)読書感想文