2014年04月24日

カンゾー先生 映画 VHSテープ

カンゾー先生 映画 VHSテープ

 独特の雰囲気をもった映画でした。時は、1945年、第二次世界大戦終戦前です。映像は、広島に原子爆弾が投下される少し前から始まります。舞台は瀬戸内海を臨む土地です。ウィルス性肝炎が流行していることにまだ気づかずにいる日本での出来事を開業医としてカンゾー先生と呼ばれる赤城医師とその周辺の人々をからませながら展開していく物語です。
 目立つのは同医師の医院で働く麻生久美子さんです。淫売(いんばい)と呼ばれながらも暗さはありません。幼い弟・妹を養う生活のため、あるいは、出征する未経験の幼なじみの母親に懇願されてなど、ブラックユーモア(道徳に触れる笑い)があります。不純なようで、本音(ほんね)含みの庶民の底力があり、鑑賞者は彼女を責めることはできません。
 後半は虚構の度が過ぎていて、誤った情報伝達の表現となっており、信頼しがたいものがありました。また、理屈っぽさにも身を引くものがありました。上映後25年ぐらいが経過した今見ると古い型の内容です。
 過去の日本には、あからさまで、プライベートがない社会生活がありました。そんな時代背景をおきながら、戦争を引き起こした国家権力に対する批判があります。カンゾー医師の意志は、最終的に、「開業医としての使命感をもって働く」ことに落ち着きます。

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