2014年04月23日

すいか1・2 木皿泉 河出文庫

すいか1・2 木皿泉 河出文庫

 先日この作家さんの「昨日のカレー、明日のパン(ゆうべのカレー、あしたのパン)」を読んで、続けて同作者の作品を読む気になりました。
 本を開くと脚本でした。ドラマ化されたようですが知りません。
 1983年夏の設定、場所は東京世田谷区三軒茶屋、古い木造住宅ハピネス三茶、登場人物は、早川基子14才、亀山結・絆ふたご7才から始まりますが、数ページ後、いっきに20年後へと飛びます。
多用される言葉が「煮詰まる」。賄いつき(朝食・夕食付き)下宿で共同生活をする女性たちのやりとりが続きます。のんびりしたやりとりです。男女の恋愛話もからみます。
 時代は古いけれど、登場人物たちと読み手の自分は同世代です。「すいか」の意味は不明ですが、気にしません。1巻を読み終えました。日常にある喜怒哀楽を女子会みたいな下宿屋を舞台にしておもしろおかしく繰り広げていきます。

(つづく)
 かなり期間がかかりましたが2冊を読み終えました。ハピネス三茶という食事付きアパートを舞台にして、住人の出会いと別れをとおして、悲喜こもごもの生活の味わいが描かれていました。良作です。
 いろいろあるけれど、互いの交流を大切にして楽しく生活をしていこう。善人たちの物語です。時代背景をみると、この当時「高齢者介護」は一部のもので重くはなかった。日本という国がまだ若かった。落ち着いて安定した気持ちで読むことができました。ときには、女のしあわせって何だろうとも考えました。この物語は女性向けの内容です。
 3億円を横領した金融機関職員の馬場ちゃんがときおり顔を出して楽しませてくれました。また、大学生の勝手な飛び降り自殺未遂で結局大学を辞めることにした夏子教授などを見ていると、憂い(うれい)なしの生活はこの世にはないと思うのです。
 その後、日本国のジェネレーションは老化に向かい、会社にしても家族にしても老齢化して、なにがしかの負担を背負いながら生きていく、あるいはマネジメントしていく状態になったと理解しました。
 作者さんの、といっても、ペンネームはひとつで、なかみはご夫婦なのですが、文庫版あとがきの内容がよかった。「書くだけでは食べていけず」のあとに続く文脈がよかった。

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