2014年04月20日

まよなかのたんじょうかい 2014課題図書

まよなかのたんじょうかい 西本鶏介 すずき出版 2014課題図書

 たんじょうびがうれしいのは、こどものうちだけです。だんだんうれしくなくなり、関心はうすれ、やがて自分がなん才かも瞬間的に答えられない時期がきます。「たしか、なん才ぐらいだったと思う」というときが、30代後半の頃にありました。
 厚い表紙をめくると、3人家族が、団地形式建物のベランダで、ふとん干しをしようとしている絵が出てきます。パパの姿はありません。おばあさん、おかあさん、そして、小学校1年生ぐらいの女の子です。
 絵の色彩は派手で、ダイナミック、勢いがあります。
 パパは、さきちゃんがあかちゃんのときに病気で亡くなったそうです。(でも本当は違うかもしれない)成長するとわかります。(わたしは本音で生きる心が素直じゃない大人です)
 おかあさんがタクシーの運転手を職業としているということは珍しい。だけど、男でも女でも同じ給料をもらえるいい仕事です。
 運転手には強い自立心が必要です。自分の車の中で起こるトラブルには基本的には自分ひとりで立ち向かわなければなりません。助けてくれる人はいません。
 さきちゃんの6才の誕生日です。誕生会をするために仕事を終えて早く帰宅すると約束してくれたママはまだ帰ってきません。さきちゃんのそばにおばあさんの姿があります。おばあさんの姿がなければ、さきちゃんのさびしさはさらに増します。
 約束は守られないことがあります。そもそも約束とは、そういうものです。約束をしたときと、約束をはたすときに、事情が変化することはままあります。だから、約束を守ってくれる人は大切です。約束を守ることで、守った人の信用度は高まります。
 さきちゃんのママは、タクシー運転中に道ばたに倒れていた男の人を見つけるのですが、そして、その人は、病気だそうですが、たいていは、酔っ払って酔いつぶれて眠っている人のほうが多い。酔っている人は病人ではありません。自己管理ができない人です。(話が物語からはずれてしまいました)
 具合が悪いのなら電話で救急車を呼びましょう。119番です。でも、本の中では、ママは自分が運転するタクシーで病院へ行こうとしました。だから、誕生会に間に合わなくなりました。不慣れな土地で病院が見つかりません。ようやく病院が見つかりましたが、夜中であり、お医者さんは十分な対応ができません。診察・治療をするためには、医療器具の準備や看護師さんなどの手配が必要です。お金もかかります。悪気があって断るわけではありません。119番しましょう。
 ママひとりで、なんでもかんでもがんばる必要はありません。その点で、この絵本は、ママへのメッセージにもなっています。知らない男性よりもさきちゃんのことを優先してほしい。自分が偉業をなして名声をうるよりも娘の気持ちを考えてほしい。ママはタクシーの運転手であって、救急車の運転手ではない。
 子どもは、ひとりにされる寂しさに耐えることから大人になる第一歩を踏み出していきます。
 よこしまな読み方になってしまいました。物語づくりの着想に古さを感じました。昔の労働者は、家族を泣かせてでも会社のために働きました。でも、病気やけがをしたときに会社は社員を守ってくれませんでした。景気が悪くなったときには、社員は会社を無理やりやめさせられました。だからたいていの人は、会社を信用しなくなりました。会社は約束を守ってくれないし、守ろうとしても守れないときもあるのです。だから、いつもいっしょにいる家族を大事にしなければならないのです。


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