2013年12月08日

清須会議 映画館と小説

清須会議 映画館と小説

 映写室における観客は8割の入りでした。最後まで静かでした。(眠っている人が多かったのか。)笑いどころは随所に用意されていましたが、笑い声はほとんど聞こえてきませんでした。理屈っぽい映画でした。名古屋弁も清須という場所も身近なので笑えないということもあります。柴田勝家や池田恒興の子孫が現世にいるわけで、ご先祖さまのキャラクターがあまりよくないといい気持ちがしません。
 セリフは短くてGoodでした。丹羽長秀は、勝海舟のようでかっこいい。冒頭付近からの映像は、「のぼうの城」を思い出し、きれいでした。織田信孝のお墓は知多半島で幾度か見たことがあります。小説にある本能寺の変での織田信長のシーンは、映画ではだいぶカットされているように思えました。思い切ったのでしょう。評定(ひょうじょう。会議)のときのメンバーが、小説のほうが多かったような気がしたのですが、映画は4人でした。自分が勘違いしているのでしょう。また、小説には「旗取り」のシーンはなかったと思います。遅れてくる武将話のオチが旗取りに使用されていました。
 ときおり、登場人物が観客を見ながら話をします。目の前で生きているようでどきっとしました。
 血統と人間の器(うつわ)にこだわる内容です。トップになるためには兄弟でも戦います。秀吉の個性が浮き出ていました。彼の魅力が十分伝わってきました。

(小説を読んだときの感想を足しておきます。2012年9月11日分)
清須会議 三谷幸喜 幻冬舎
 織田信長が本能寺の変で倒れたあとの跡目争いです。豊臣秀吉対柴田勝家の図式で物語は続きます。読み始めは、こんなにくだけて書いていいのだろうかと不安と心配にかられますが、そのうち慣れてしまいます。
 英傑たちが誕生した地で暮らしているので、登場してくる地名や人物は身近に感じます。織田三七信孝(信長の三男)のお墓はときどき行く寺院内にあるので何度かお参りしました。これまでどのような人物かは知りませんでしたが、この本を読んで少しだけわかったような気になりました。
 駆け引きの世界です。秀吉はかけひき上手です。天下を統一して戦(いくさ)を終わらせたいという彼の夢には賛同します。大将が倒されて本来ならピンチなのですが、彼はピンチをチャンスと考える男でした。
 各人のモノローグ(ひとりごと)は、喜劇ですから面白い。この作品は来年映画として公開されるそうです。たぶん観にいくことでしょう。役者はだれでだれを演じるのか。楽しみです。
 親族関係・友人関係のある者どうしで争う内紛は見苦しいものですが、過去から現在まで、延々と続けられている人間の営みでもあります。血縁にこだわる日本人社会があります。
 会議に関して言えば、以前読んだ「忘れられた日本人」宮本常一著があります。昔の日本人男性たちは毎日毎日寄り合いをしていた。同じテーマで何日も何日も話し合いをする。全員一致の総意に達するまで話し合って物事を決めていたそうです。西洋的な発想である「多数決」と比較すると、アジア的、日本人的でわたしは好きです。
 この物語の場合でも、柴田勝家グループは不満をもっていますが、形式上は全員一致の結果を見出しています。

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