2013年10月09日

アルゼンチンババア 映画 DVD

アルゼンチンババア 映画 DVD

 アルゼンチンでの出来事だと思って見始めたら舞台は日本でした。おそらく栃木県那須地方が撮影地で、そこの原野に一風変わったレンガ造りの高層住宅があり、そこに住む日本人女性がアルゼンチンタンゴが大好きで、地元の少年少女たちが彼女のことをアルゼンチンババアと呼んでいました。
 役所広司さんが演じる夫の妻であり、堀北真希さんが演じる娘の母親である手塚理美さんが病死します。役所さんは失意のあまり町の郊外を放浪し、落とし穴に転落後、アルゼンチンババアである鈴木京香さん宅に居候するという形で失踪します。
 妻の死を認めたくない役所さん、親の義務を果たしてくれない父親を責める堀北さんがいます。
 アルゼンチンババアと呼ばれる鈴木さんは、ババアと呼ばれるほど歳をとっておらず、50才ぐらいです。家は猫屋敷で乱雑、タンゴ、スペイン語がらみで、変人扱い。役所さんは墓石を彫る職人で、妻の死後は、仏教でいうところの「曼陀羅(まんだら)」に凝っています。
 亡くなった手塚さんは、イルカが好きでした。家族3人で、海に浮かぶ船から野生イルカの群生ジャンプを見たことが父と娘の思い出です。舞台は、熊本県天草地方から長崎県南部に広がる有明海から東シナ海でしょう。
 映画の内容自体に心が動くことはありませんでしたが、映像に表れる風景に郷愁を覚えました。だれしもいつかは死んでしまうわけで、死ぬまでに何をしておけばいいのかと、後悔しない人生を送ろうと、身近な人と、できるだけ長く一緒にいることが幸福と、そんなことを教えてもらいました。
 ふたつの女性の命が落ちて、ひとつの男の子の命が生まれる。命は繰り返しながら浮かんだり消えたりする。
 原作があるようなのでそのうち読んでみます。

(平成25年11月15日 その後、原作を読みました。感想文です。)
アルゼンチンババア よしもとばなな 幻冬舎文庫
 原作本です。ひと月ほど前にDVDで映画版を観ました。その後、この本の書評をネットで読みました。20分ほどで読める短い物語に深く涙したとありました。20分で読める小説が2時間ぐらいの映画になる理由を知りたかった。涙するわけを知りたかった。
 自分なりに受けとめた作者からのメッセージは、「自分の生き方を見つけて、素直にそのとおりに生きる」でした。周囲の人の目を気にする必要はないのです。
 アルゼンチンババアはやはり高齢者女性ではなく、50才の女性でした。
 50代になって、妻が病死して、妻のお葬式のあと1週間ぐらいがたって、夫が後追い自殺をした。数年前、身近で実際にありました。「愛」は深い。かつ、「愛」は迷走する。
 印象に残った部分です。
 振り向かずに走ると壊れてしまう。
 母親が死んだとき、一生消えない大きな贈り物をもらった。
 職業の形に閉じ込められていた。
 「なくなってしまったもの」がない。
 時間が止まり続けている。
 遺跡=古い夢を閉じ込めて今も生きている。
 だんだん背景に溶けていくような死に方をする。


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