2013年08月04日

山椒魚 井伏鱒二

山椒魚(さんしょううお) 井伏鱒二(いぶせますじ) 新潮文庫

 最近読んだ小説で紹介されていました。さんしょううおが大きくなりすぎて、川底にある穴から出ることができなくなったというお話で、重苦しいと書いてありました。興味が湧いたので読んでみました。この文庫には12の短編が掲載されていますが、「山椒魚」だけを読みました。
 さんしょううおには手足があります。関東地方の山奥で暮らしていた小学生の頃、山深い場所を流れていたゆるい渓流で見かけることがありました。
 さて、感想です。
 人間をさんしょううおやカエルに見立てた擬人化というアイデアが効果的です。登場するさんしょううおは、2年間岩屋から出られない状況が続いています。ひきこもり期間2年間で、社会に出ることができなくなった若者男性の姿をイメージさせます。同じく、途中からさんしょううおの策略で、岩屋から出ることができなくなったかえるがいます。さんしょううおとカエルの狭い空間における意地の張り合いは苦しい。
 作者は95才で亡くなっています。ご長命であったことと、この作品の狭苦しい世界をなんとか関連づけしたい。とどのつまり、人は、人生という岩屋から出ることはできない。天国に召されるまでは、死にたくても死ねない95才であったと察するのです。


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