2013年06月12日

はるかなるアフガニスタン 2013課題図書

はるかなるアフガニスタン アンドリュ-・クレメンツ 田中奈津子訳 講談社 2013課題図書

 いい作品でした。最後のページを読みながら、胸にジーンと湧いてくるものがありました。書名にある「はるかなる」は、アメリカ合衆国とアフガニスタンとの実測距離だけではなく、心の隔たりをさしています。第三者の立場であるアジア人として、仲介役をつとめるべき立場で、自分はなにをしたらいいのだろかという課題が浮かびあがってきます。両者を援助しつつ、「自由」の獲得とか、「平和」の維持をしていかねばなりません。「誠実に生きる」という言葉がぴったりの物語です。
 登場人物は、アメリカ合衆国が、イリノイ州に住むアビー・カーソン小学校6年生女子です。アフガニスタンが男子サディード・バヤト、ふたりはおない歳(とし)です。サディードには2歳年下の妹、アミーラがいます。
 アビーの成績は振るわず、進級の条件として、アフガンのこどもとの「文通」が提示されます。アビーとサディード姉妹との手紙による交流は哀しい経過をたどりますが、最終的には、アビーは心の成長をとげます。
 思い出すままに、心に浮かんだことを書いてみます。
 アフガニスタンにある村での生活を決定しているのは、高齢者である長老たちです。考えは保守的(急激な変化を望まない)で、伝統やしきたりを重視します。どうも若い男女がつきあうのはいけないようです。(自然の法則に反しています。)だから、アメリカ人女子アビーの文通相手は表向き、小学校4年生ぐらいのサディードの妹アミーラなのですが、手紙を書くのは英語が得意な6年生兄サディードのほうなのです。またアフガニスタンでは、女子は学校に行かなくていいという性別による差別が残っています。
 イリノイ州に住むアビーは、運動神経が抜群です。でも読み書き勉強は最悪という設定です。しかし、なかなか賢い女子です。なにかを「つくる」才能が芽生えています。家は中流の資産もちで、広い敷地で暮らしています。(田舎で、土地が安いのでしょう)。親きょうだいとの関係は薄い。アビーの記述の部分ではときおり文章の字体がゴシック体に変化します。アビーの心のなかには、もうひとりのアビーがいます。ゴシック体で表現されるもうひとりのアビーの気持ちがあります。
 「文通」をとおして、アビーはいくつかのことに感心をもち、それらを調べることによって、自然と、勉強をしています。
 アフガンのサディードは、古い文化を維持しようとする大人に対して不満をもっています。自分が手紙を書いているのに、妹が書いていることにしているという「不正」、自分が書いて返事が来たのに妹が学校でほめられるという「不公平」が、怒りとなってあらわれています。
 アフガニスタンという書名から、読む前は悲惨な戦闘、銃撃戦、爆弾騒ぎを想像しましたが、物語にはその部分は少しの記述があるだけです。貧しく、自然と共生しながらの田舎暮らしが広がっています。現地で使われている「ダリー語」による単語表記「こんにちは」とか「平和」、「山」の表記は新鮮でした。こども世界の交流をとおして、世界の国々は仲良くしようというメッセージが伝わってきました。
 119ページから続く、アフガニスタン人サディード・バヤトのアメリカ人アビーにあてた手紙の内容に感動しました。この本は、名作です。石、土、交流、会話、アフガンでは、女子は学校へ行けない子もいるのです。誤解がありました。タリバン一色の世界ではないのです。極端な集団がぽつんと存在するのです。周囲にいる人間はふつうの人間集団です。
 文通を続けるふたりにはやがて愛情が芽生えてきます。ふたりは、知的であるし、外向的、運動得意、自然が好き、緑色が好き、アラビア文字を大切にできる人です。気持ちが通じ合える人を「好き」になるのです。
 アメリカ人はアフガニスタン人に「無関心」ということが、学校での手紙の掲示に関して表現されています。逆にアフガニスタン人はけしからんという意見がアフガニスタンの国旗攻撃という形で登場しています。おそらくアフガニスタンのことだけに限らず、アメリカ人は、自分の身近なこと以外にはすべて無関心なのでしょう。
 「自由」というテーマが見えます。通信の「自由」を管理されることは苦痛です。国家が管理するようになったら最悪です。
 最後はやはり、「誠実であること」を学びました。

 がんばって、もう少し書き足してみます。気に入った文章表現です。
 午後2時半にいい考えだと思ったが、夜7時に後悔した。
 文通。異なる文化をもつ外国の生徒と文通する。
 候補として、インドネシア、アフガニスタン、中国
 でこぼこに表面加工された立体地球儀
 この村のどこからでも山が見えます。
 遠くない将来、ノートパソコンをもつようになる。
 今日の負けをもっと重要な時の勝ちにつなげる。
 「ひとりぼっちの不時着」森の中でひとりぼっちで生き延びなければならなくなった少年の冒険物語


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この記事へのコメント
おもしろかった
Posted by たけやま at 2013年07月28日 15:39
ありがとう
Posted by 熊太郎熊太郎 at 2013年07月28日 19:20
どうもありがとう♪
Posted by RINA at 2013年08月29日 11:13
どういたしまして。
宿題できて、よかったネ
Posted by 熊太郎熊太郎 at 2013年08月29日 21:27
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