2013年06月07日

お菓子な学校 文研出版 2013課題図書

お菓子な学校 ラッシェル・オスファテール 訳ダニエル・遠藤みのり 文研出版 2013課題図書

 フランス語の物語を日本語に訳してあります。フランスの香り、雰囲気が伝わってくる作品です。以前フランス映画「地上5センチの恋心」を観たことがあります。フランス人って、こだわりが強い。じくじくと暗い。されど、最後は、みんな仲良しということでハッピーになろうよ!と結ぶ。これがフランス人ですという定番があると感じています。

【地上5センチの恋心 映画 ケーブルTV録画】
 宙に浮かぶほど、うきうきする恋というたとえです。ベルギーを舞台にしたフランス恋愛映画です。恋をするのは夫を10年前に亡くしたオデットで、恋をされるのは恋愛小説家バルザンです。愛するがゆえに身を引くテーマと思いきやそうではありません。みんなで愛し合おうというなんでもありの結末です。不道徳というわけではなく、それが「愛」なのです。
 深刻な人間模様なのに映画の雰囲気は穏やかで明るい。オデットの体が宙に浮いたり傾いたりします。ディズニー映画のような要素も含まれています。一部ミュージカルとなっており、みなさん楽しく歌ったり踊ったりされます。ラストの歌と踊りはよかった。ブラジルのサンバがベースでしょう。

 さて、かんじんの本の感想です。
 お菓子作り物語の主役は、ジャコことジャックです。彼の小学校2年生から6年生までの記録です。母親はいますが、仕事で留守がちです。父親はいません。お菓子づくりの楽しさが、母子家庭のこどものさびしさを消し去ってくれます。アドバイザーは、遠方に住むおじいさんです。
 お菓子づくりがテーマですが、内容は、勉強をしよう!という呼びかけです。ジャックはお菓子づくりをしながら、算数を学びます。計量、時間、形状に興味をもちます。作り方の本を読むから国語も得意になります。読み書き計算ができるようになろう!勉強しよう!というメッセージがこめられている本です。
 自分で考えて創作する喜びがあります。気に入った文節は、「テレビを見ている時間があったら、何かをつくる作業をしたほうが自分のためになる」でした。
 おとなしくて気弱なジャコは、だんだん自信がついてきて、心のやさしい、祖父や母親を大切にする少年に育っていきます。食べる人たちの笑顔を見たいからお菓子を配布します。応援してくれるともだちも増えてきます。ヨーグルト、ロールケーキ、ブラウニー(どんなものかわたしはわかりません)、メレンゲ、タルト、サブレ、スポンジケーキ、マカロン、さくらんぼのクラフティ、圧巻です。彼が愛情をこめてつくるのです。おいしくて、しあわせな気持ちでいっぱいになります。
 後半にある素行の悪い中学生に関するお話はどうかなと首をかしげました。中学生たちは、仕返しをしにくるでしょう。この世はうまくいくことばかりではありません。
 男である読者のひとりとしてジャコに声をかけたい。「そんなにいい子にならなくていい」。小学生のときにいい子を演じた少年は、成長するにつれて、無理がたたり、くじけます。心は普段着で、それなりに強い人間になって、粘(ねば)っこく生きてほしい。
 以下、胸にぐっときた文章です。
 学ぶという新しい世界を案内してあげることは教師の役目です。
 新人さんは見て習うから「見習い」と呼ぶ。
 集中力とていねいさが必要
 お菓子を休ませる。


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