2013年05月29日

歌え!多摩川高校合唱部 本田有明 2013課題図書

歌え!多摩川高校合唱部 本田有明(ほんだありあけ) 河出書房新社 2013課題図書

 消化不良のまま読み終えました。間をあけて、もういちど読むかもしれません。
 読み始めに勘違いがありました。本の最後のページに同作者「最後の卒業生 夕張に生きる中学三年生たち」という紹介記事を見て、この多摩川高校の生徒と関連があるのだろうという思い込みをもって読み始めてしまいました。北海道夕張のこどもが神奈川県多摩川の高校に来てなんとかかんとかという流れになっていく。違っていました。別々の物語です。疲れているようです。
 わかりにくさのひとつに、ひとりの人物を本名とニックネームで書いていることがあります。ニックネームだと、だれのことかわかりません。マッキーパパ、ヤッカ、ハニー、DJボーイ。専門用語の略称もピンときません。パーリー(たとえばソプラノグループのパートリーダーのこと)。合唱に興味をもっている人向けの物語です。女子なら声の高低でソプラノ、アルト。男子がテナー、ベース。高校生はこの4種類を基本として四声合唱団を形成する説明となっています。多摩川高校合唱部は全員で45人。女子34人、男子11人、合計45人です。男子は少ない。少ない男子のなかのひとり、乙川光太1年生のしゃべりで物語は進行してゆきます。目標はNHK主催の合唱コンクールで地区大会を勝ち抜いて全国大会に出場し、そして優勝することです。
 作者は、書中で「音楽は時を超えて人から人へと受け継がれていく」というメッセージを発信します。 高校生たちの悩みを含めて青春時代のドタバタ騒ぎを書きつつ、彼らの先輩世代、おとなとの心の交流をともなう関わりをからめます。「連続性」、年長者から年少者への教えが「営み(いとなみ)」としてあたたかいまなざしをおくっています。
 合唱を競うわけですから、合唱曲は娯楽の歌ではありません。技術力を試されることを目的として選曲あるいは、作曲されています。技術だけではだめで、体中を使って気持ちを表現する力もいります。その点で、合唱部は運動部に近い文化部です。
 日記を読んでいるようでもありました。最初のほうのページを読んでいるときは、高校生ではなく、中学生の生活設定ではなかろうかという印象がありました。ページが進むごとに高校生の仕草と思えるようになりました。中学生が高校生に「成長」しているということでしょう。努力する。できなかったことができるようになる。克服する。達成感を得る。しあわせになる。ふりかえって、味わう。淡々と過ぎていく1日・1日にしあわせな暮らしを見い出す作品です。
 歌詞の記述が多い。効果をあげているとも思えず、とまどいがありました。
 ひとはなぜ歌うのだろう。喜怒哀楽を歌で表現して、だれかに自分の存在を認めてもらいたいから。人間だから。生きているから。わたしはここにいますと信号を発信している。


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