2013年05月25日

わが母の記 映画 DVD

わが母の記 映画 DVD

 主人公のモデルが小説家井上靖氏であることから同氏の「しろばんば」を読んだときの読書感想文を読みかえしました。主人公の少年は母親ではない女性に育てられています。住まいは土蔵(どぞう。土壁でできた物を保存しておくための薄暗くひんやりした蔵くら)でした。映画の中でも紹介されます。小説では、子どもの視点からみたおとなの世界が描かれていました。母親は生きていますが、少年のそばにはいません。たしか、愛知県でした。少年が住んでいたのは静岡県伊豆でした。
 母親は自分を愛していない。少年はやがておとなになり、いい歳(とし)になり、認知症になった実母と暮らしています。おとなになった少年の娘、宮崎あおいさんが引っ張る映画です。映像が美しい。撮影が凝っています。光と陰の陰陽が、老母の気持ちを表現していると受けとりました。樹木希林さんの演技はおだやかです。女性が観るための映画です。時代設定は1959年です。純和風です。自然があり、木造家屋があります。
 昭和30年代当時の庶民の生活とはかけ離れた暮らしぶりです。ゴルフ、高級ホテル、ビリヤード、洋装、椅子の暮らし、ハワイの大学へ留学、軽井沢の別荘、豪華客船。かつて、土蔵で暮らしていた少年は小説家として成功して大金持ちになりました。お金があっても介護のトラブルは尽きない。自分を愛してくれなかった母親をおそらく世間体から突き放すことができない。過去をよく知らない孫娘は祖母の世話に一所懸命です。人間はだれでも不完全だと思いました。
 「和解」。それがこの映画のテーマです。和解が少年の涙を誘うのです。


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