2013年05月18日

永遠に捨てない服が着たい 今関信子 汐文社 2013課題図書

永遠に捨てない服が着たい 今関信子 汐文社 2013課題図書

 気にしすぎかもしれませんが、”永遠に捨てない服が”ではなく、”永遠に捨てない服を”と表記することが正しいと思うのです。それがこの本の第一印象です。「服を」と目的語で示すことが平常と感ずるのです。
 舞台は京都市内の小学校です。実際にあったことを作品化してあるのでノンフィクションです。同地では、1997年二酸化炭素Co2の削減を目標とした「京都議定書」の国際的合意が結ばれたところ、古い建造物や仏像が大事に保存されていることが、モノを大切にしようというこの本にあるお話の下地となっています。
 ページをめくりながら考えたことについて、順番に列記します。
 地球の気温が上昇している。織田信長が天下をとろうとしていた約400年前との比較から始まっています。当時の真夏の最高気温が28℃であったとあります。確かに50年ぐらい前、わたしがこどもの頃、雪国以外でも冬は雪がよく降り積もりました。最近はその回数が減りました。台風は秋にきていましたが、今は夏にきます。確実に気候の周期や減少は変化しています。
 物語の前半は小学校の授業で環境学習を担当することになったカメラマン岡部達平さんの授業進行について書かれています。児童といっしょに「ゴミ」のことを考えます。ゴミを出さないためにモノをなるべく買わないとか、地球温暖化を抑える(おさえる)ために二酸化炭素Co2を出さないために車ではなく、なるべく自転車に乗るとかの例示が出ます。簡単なようでなかなかできることではありません。利益や効率を優先する企業・組織社会がそれらのことを実行するためには葛藤(かっとう。お互いに譲らない対立)があります。罰則が盛り込まれた法令の制定が必要でしょう。
 「ポリエステル」という衣服の素材が登場します。再生可能な性質がメリットです。一般に広く流通しています。安価です。「再生紙」が紹介されています。再生紙がこの世に登場したのはそれほど昔のことではありません。再生紙は当初高価でした。
 リサイクルにはお金が必要です。ひとはみなお金が好きです。自然環境の保護と回復のために企業や個人が募金するとか税として支払うことが資金作りのヒントとして紹介されています。
 調査に当たっては車を使わずリヤカーを使う。もともとあった日本の暮らしに逆行する。あるいは回帰するという発想です。カメラマンである岡部先生は、フィルムを大量消費する撮影現場の例を出しながらフィルム1枚で1枚の写真を撮影する廃品利用のピンホールカメラを発案し傑作作品をつくりだします。撮影対象物は太陽、そして雲です。撮影された太陽は暑く、鋭く、光り輝いています。美しく気高い(けだかい)。
 30名の児童たちは、こどもなりに地球環境保護について考えます。いちばんの責任者は社会活動をしているおとなたちです。制限された世界のなかでこどもたちは考えます。体操服のリサイクルにたどりつきます。「体操服! いってらっしゃい おかえりなさい」プロジェクトの開始です。京都議定書がつくられた街の人々がみんなの気持ちをつなぐキャッチフレーズです。
 物語の後半で、「ぐるぐるまわりの庭」、植物・昆虫・鳥、食物連鎖が行われる循環型庭が紹介されます。場所は京都市内嵯峨野(さがの)です。
 太陽光発電の初期設備設置にはお金がかかります。家主さんは、化石燃料は安価で手軽だが、最後には困ることになると暗示しておられます。車は軽自動車、愛犬は捨て犬というフレーズにはほほ笑みました。地球から石油をぬいたら地球はからっぽになると言った人の言葉が紹介されています。
 岡部先生による地球環境を悪化させないために我々人間はどうしたらよいのかを考える授業です。手法のひとつとして、リサイクル(再資源化、再利用)が紹介されています。ほかには、リユース(そのままの形で再利用)、リデュース(廃棄物の削減)があります。
 環境保護の啓発をテーマとして書かれた本です。ものごとの二面性について考えました。ものごとに対しては、肯定と否定の考えが存在します。自分がどちらのグループに属するか、決断がいります。時勢の動きによって、どちらかが強くなったり弱くなったりします。大量生産・大量消費が肯定されていた時代がありました。人は、時勢の動きに応じて変化していく柔軟性をもつことが必要です。


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