2013年04月09日

犬はいつも足元にいて 大森兄弟

犬はいつも足元にいて 大森兄弟 河出書房新社

 犬はいつも足元にいて(人間の性(さが)である肉のある場所へ連れて行ってくれる)ということだろうか。よくわかりません。むずかしい本を読んでしまいました。
 ともだちの名前はサダ、原口、西村でしたが、主人公男子の名前はなかった気がします。中学生男子の一人称の語りが最初から最後まで続きます。書き始めの文章はなかなかいい。魅力的です。
 主人公が小学校4年生のとき、だめ父親が犬をもってくる。犬の名前はペス。父親は母親と離婚して、ペスを残して家を出て行ってしまった。ありがちな離婚母子家庭の設定です。みじめで暗いお話です。主人公は学校で孤独です。彼の友人のサダ君も孤独です。彼の母親もどうやら精神状態に問題があります。
 ペスは公園に埋まっている肉の臭いをかぐのが大好きです。犬の肉でもないし猫の肉でもない。人間の肉でもありません。そもそもそれは、肉ではないのです。人間の怨念とか、汚い心の部分、切っても切れない、捨てたくても捨てられない性(さが)なのです。

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