2013年03月06日

持たない暮らし 下重暁子

持たない暮らし 下重暁子(しもじゅうあきこ) 中経文庫

 10年前に書かれた本です。冒頭にあるエジプトの不便ではあるけれど心が豊かになれる暮らしには感銘しました。日本については、過去に実際にあったあたりまえの暮らしに戻ることを期待したい。
 物に愛着をもって、必要な物だけを買って、代々長く使おうということを訴えておられます。
 残念なことがいくつかあります。読者の対象となる層が不明確です。作者はおそらく高額所得者でしょう。作者のように、30万円のコートを衝動買いすることができる人はとても少ない。加えて、女性的だと感じたのですが、「自分」の話が延々と続くのです。自分を語ることは楽しい。本人にとっては、胸がスカッとするのですが、他者はうつむいてしまいます。
 バーゲンやポイント獲得、景品に気を引かれてはいけません。作者はそう勧めています。確かにそのとおりです。余分な出費が発生します。ただ、売る側から考えると、そのことは隠しておいてほしいことです。
 女性の方なので、ファッションに関する記述は参考になりました。そのほか、なんでもかんでも「仕事」を優先しないという考えにも賛成です。昔も今も、ムリ・ムダ・ムラなく効率的に仕事をするということがありますが、ふりかえってみると、仕事でも私生活でも必要なムダがあると感じるのです。

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