2013年03月05日

ふつうなわたしのゆるゆる作家生活 益田ミリ

ふつうなわたしのゆるゆる作家生活 益田ミリ 文藝春秋

 この本を読み始めて「47都道府県女ひとりで行ってみよう」という作品の作家さんだったことを思い出しました。その本を読んで旅行プランを立てて、実際に現地へ行ったりしました。
 実はこの作者さんはたいへんすばらしい才能をもっている人物ではないかと読みながらはたと気づくのです。
 書いてある中身は非常に狭い世界の出来事です。女性的といえば女性的です。たとえば、男子が女子と口げんかになったとして、女子が最後に言い放つ言葉は「それがワタシです!」という決めゼリフです。だれに何を言われようとワタシという人格を変えることはできないのです。本の内容は私小説のようでもあり、「ワタシ」が中心です。
 どういうわけか、主人公の作者以外の人物たちの顔が動物の顔になっています。違和感はありません。後半にある東京へ出て行く娘を送り出す思い出ばなしには涙がにじみます。こどもの気持ちもわかりますし、親御さんの気持ちも自分が親の立場になったのでよく伝わってきます。その場面で、動物だったお母さんの顔が人間の顔に瞬間的に変わるのです。

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