2013年02月15日

ハリウッド・ドリーム 田村英里子

ハリウッド・ドリーム 田村英里子 文藝春秋

 作者はお金のために働いているのではなく、お金のために生きているのではなく、自分の夢をかなえるために生きている。
 いちずに自分について語るのは女性的です。作者がアイドルだった頃、わたしはすでに大人で、仕事に追われる毎日だったので、作者のことはテレビでかすかに見た覚えがあるぐらいです。だから、作者についてはよく知りません。
 父親について書いてある部分があります。仕事ばかりしている海外赴任経験が続くおそらく優秀な社員さんでしょう。そのぶん、家庭、ことにこどもとの関わりは希薄になるのでしょう。母親について書いてある部分があります。こどもにとって母親は心のよりどころです。
 こどもの頃、外国暮らしだったことが、アメリカ指向となった理由でしょう。もうひとつは、家にいたくなかったのでしょう。真剣さに満ちた、魂のこもった文章作品です。
 アメリカでの知らない男性との(後日、犯歴のある人物とわかる)ルームシェアには驚かされます。同国で女優になるという夢への執着心は、若さがなせるエネルギーです。夢をかなえることが「義務」になっています。
 芸能人であることから派手な女性と思っていましたが、正反対です。アメリカでの苦労話が綴られています。それは、何の仕事でも同じです。その一面として家庭をかえりみていたら仕事で大成できないことがあります。
 作者は、作者の父親同様、仕事にうちこむ性格の人なのです。そのことに作者は気づいていません。
 この本を読むと映画を見るときの観察力が養われる。登場人物たちはそれぞれ長い下積みを経てスクリーンに姿を現している。観客を怒らせたり、泣かせたりする前に、役者自身が同じ思いを味わってきたことがわかります。


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