2013年01月28日

世界から猫が消えたなら 川村元気

世界から猫が消えたなら 川村元気 マガジンハウス

 本屋大賞候補作を読み始めます。1冊目はこの本です。文章量は少ないので、半日もあれば読めるでしょう。されど、いつものように、感想文は、読んでいる途中から書き始めます。
 余命1週間と、癌の宣告を受けた若者が読者にあてた手紙です。とはいっても暗い内容ではありません。愚痴っぽいかなと感じますが、「詩」です。パロディ(既成作品の滑稽化)が下地にあり、「夢をかなえるゾウ」、「最高の人生の見つけ方」、「ニューシネマ・パラダイス」、「天国の本屋」、「デスノート」、「ポストマン」などが思い浮かびます。(ほかにもたくさん出てきます。)
 訴えたいことは、優しい母親から始まって、仲の悪い父親、別れた恋人、そして、母親が愛したキャベツという名の猫をとおして、自分のことと同じように相手のことも考える「ふれあい」、今はやりの言葉で言えば「絆(きずな)」です。
 脳腫瘍でステージ4(癌末期)の宣告を受けた「僕」は郵便配達を職とする30歳未婚男子です。愛猫はオスで4歳です。
 いろいろなものが消えていく物語です。筆致(ひっち)の弱い線がだんだん太くなってきて力強い図形が描かれていく経過がわかります。手紙=遺書でもあります。感銘を受けた部分を書いて、残り半分のページを読みます。
 母さんの言葉として、「人は何も失わずになんでも得ようとする」
 プレゼントは、物そのものに意味があるのではなく、気持ちをいただく。
 何かを得るためには何かを失う(これは、わたしの考えと共通します。)

(つづく)

 癌で余命を宣告される人は1日何人くらいいるのだろう。
 人生最後に観る映画というテーマが出てきます。わたしは「ローマの休日」です。この本の場合はチャップリン作品です。でも、作品を観ることはできません。
 「僕」は父親と4年間会っていません。似たもの同志は対立します。血縁が近いほど深刻になります。

 読み終わりました。最後とそのひとつ前の章はいらなかった。母さんのメッセージで涙して終わりたかった。
 やらなくてもいいことをやって嘆き、やらねばならぬことをやらなくて後悔していた自分に気づく。
 最後に、愛猫キャベツはイコール、亡母親が生きていたときの魂、つまり生まれ変わりと信じたい。


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