2013年01月27日

光る海 映画

光る海 映画 ケーブルTV録画

 1963年、昭和38年の邦画です。タイムトラベルするように過去をふりかえるつもりでしたが、描かれていたのは、上流階級の人たちの生活で、当時の庶民の立場に立ってみると、違和感がある別世界で、もしわたしが当時この映画を観ていたら、途中で映画館を出てしまったでしょう。この映画を観て、観客が、お金持ち社会の生活にあこがれたとは思えません。離婚、癌死、再婚、遺産相続、貨幣価値、自意識過剰、三角関係、嫁・姑の争い、作家志望、ひとつひとつの事柄は現実的です。昭和38年で、両親をパパ・ママと呼ぶ。家の中にソファーがある洋室で暮らす。大卒高学歴者ばかり。一般人の暮らしではありません。
 大学卒の男女、ことに女性の権利獲得が強い主張になっています。性的興味を含めて、全体的に女子が男子を圧倒する形です。着物姿ではしたない姿の放映がその象徴です。
 登場人物のみなさんは、よくしゃべります。誰もかれもが積極的で、男女間の会話はなめらかです。一見論理的な話し方ですが、観客に気持ちが伝わるところまでには至りません。
 日活青春映画の傾向があるようです。以前観た「嵐を呼ぶ男」同様に、前半は明るくて、後半は暗い。お互いの心理分析に終始します。理屈っぽい。行動に必ず意思の根拠が必要なつくりです。日活映画が衰退化した要因はテレビジョンの登場だけが理由ではないという気持ちになりました。観客は何を期待して映画館まで足を運ぶのか。「夢の世界」を観て感動するためです。
 吉永さんは、吉永さんに見えませんが美しい。十朱(とわけ)さんは、石野真子さんに見えます。ミヤコ蝶々さんの演技は光っていました。


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