2013年01月17日

ひとり名画座12 武士の一分

ひとり名画座12 武士の一分(いちぶん) DVD

 原作となる藤沢周平文学作品には、日本人らしい繊細な気持ちの機微(きび、表に出ない気持ちの動き)が織り込まれております。どんな人だったのだろう。映画の映像は自然の風景・音・営みが美しい。東北弁「がんす」があり、撮影した城は彦根城。最初は岐阜県郡上八幡城かと思いました。
 意にそぐわない城の仕事は、はやめに辞めて、収入は減るけれど、少年たちに剣を教えたいと妻に話す木村さんの話を聞きながら、きのう読んでいた本のことを思い出しました。木村さんは「人はひとりひとり違う。それぞれに合った剣を教えたい」、きのうの著者は「今自分にある能力・環境で、可能な範囲で夢に向かっていく」でした。
 組織上層部で権力(人事権)を握った冷酷非情な人物への復讐劇です。労働災害ともいえる事故で両目の視力を失った木村さんが、人事を盾に、妻を性の慰み者にした卑劣な幹部と果し合い(決闘)をします。
 何を言われても夫の意のままにするしかない妻の壇れいさんは可憐(かれん、守りたくなる)です。徳平さんを演じる笹野さんがいて、緊張感をほぐしてくれます。剣術の先生緒形さんは、ともに死ぬつもりで闘わないと勝機はないと助言してくれます。人間、どん底に落ちたときにその人の真価が表れます。
 木村さんはいろいろと後悔をします。観客もその気持ちがわかるから、ラストシーンでは泣けます。
 生活していれば、事故や病気はつきものです。支えあう気持ちがなければ夫婦は長続きしません。

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