2013年01月06日

サイバラ式 西原理恵子

サイバラ式 西原理恵子 角川文庫

 平成7年9月の文庫化ですので、もう17年ぐらい前の本になります。中身は、同作者著のこの世で一番大事な「カネ」の話と共通します。作者は食えないから、エロ本の漫画を描き、「おくりびと」の映画監督はやはり食えないからポルノ映画の監督をされていたと読み、誰でも最初は下積み時代があると納得しました。
 この本は良書です。ことに作者の幼い頃をマンガにした挿入がいくつかあり、ゆっくり読むと心がしみじみとします。自分自身の遠い過去が呼び起こされるのです。そういう時期もあったと胸に沁(し)みます。
 それぞれの過去は、一時的な滞在地に存在していたことがわかります。50年間生きてきて明るい家庭というものをわたしはふた家族ぐらいしか見たことがありません。それもたまたまその時代だけが明るかったということにしか過ぎません。そもそも家庭というものは暗いものなのでしょう。この本は、社会福祉の本だと感じました。


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