2013年01月06日

ひとり名画座8 十三人の刺客

ひとり名画座8 十三人の刺客(しかく、暗殺者) DVD

 うしろに控えている50分間の死闘が凄まじい。残虐すぎて、こどもさんには見せられません。おとなとしては、5年に1回ぐらいのペースで観ると胸がすかっとします。
 「主君に仕えて出世する」のが武士の信条と主張する市村さん。「天下万民のために働く」のが武士と定めるのが役所さん。対立するふたりの頂点にいるのが、逆らう者は殺してしまえ!の稲垣さんです。形式にこだわるのは組織上層部で、保つのは面目(めんもく)です。人は人にあらず、将棋の駒です。極端な設定ですが、世間一般にはよくある図式です。部下は殿を守ろうとするのですが、殿は部下を守りません。なぜ、悪党のほうが人数が多くなるのだろう。殿を暗殺するグループは13人(うちひとりは山の妖精)、殿を守るほうは約200人です。お金で雇われた人たちの結束は強い。少人数で多人数を撃破するための戦略・作戦が功を奏します。けんかで勝つためには、躊躇(ちゅうちょ)しない。卑怯な手も用いる。火薬の効果は絶大。山の妖精男子が言います。さむらいは偉そうにしている。さむらいだけが人間か。
 前半で時間をかけて、狂気をもつ殿さまへの憎しみを蓄積させて、後半にうらみを爆発させて晴らす手法です。悪役である殿の稲垣さんの演技はすばらしく良く、凶悪・卑劣な人格を静かに的確に演じきっています。こういうタイプの人は現実にもいます。必要悪なのかどうかはわかりませんが、映画と違って現実では、最後は人が離れていきます。

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