2012年12月31日

ひとり名画座1 幸福の黄色いハンカチ

ひとり名画座1 幸福の黄色いハンカチ DVD

 年末年始の長い休みを迎えました。この機会を生かして、自分が保有するDVDを観ることにしました。すべて再鑑賞か何度も鑑賞した作品です。

 (うれし)涙なくしては観ることができません。「黄色いハンカチ」は、「許す愛」の象徴です。映画で紹介される事象のすべてが、「再起できる社会」に集中する線を描きます。
 庶民の生活に密着した映画です。最初はおとなしくてすぐ泣きそうな小川朱美(あけみ)さんも芯は強い。片親父子家庭、幼い頃に母死亡。父親とはけんかばっかり。島勇作も両親には恵まれない。島光枝は離婚、流産経験あり。似たような体験をもつ人たちが同じ国土で暮らしています。
 下ネタが面白い。言葉は乱暴でも愛情がこもっています。事柄がテンポ良く変化してゆきます。上手に描いてあります。
 伏線として、ハガキ、こいのぼり、カニがあり、ちいさな失恋をきっかけにして、雄大な北海道の自然、乗用車でドライブという移動の自由があります。厳しい北海道の自然と気候は、厳しい人生を表わしています。当時の暮らしが脳裏によみがえって、物悲しくなることもあるのですが、それも過ぎたことです。なつかしい。映像の中の風景と似た世界で暮らしていたことがあります。
 島勇作は秘密をかかえて生きています。秘密が明らかになっていく過程の運びがうまい。電話がないからハガキ、電話がないから黄色いハンカチが成立する社会でした。パソコンもなかった。あれから36年が経過して、あの頃から何が変わって、何がかわらなかったのか。答はまだ出ません。

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