2012年12月20日

破線のマリス 野沢尚

破線のマリス 野沢尚 講談社文庫

 この本を読み終えたあとからテレビ画像を見るときの意識が変わります。画像には真実がありません。画像はいかようにも加工することができるのです。
 マリスとは「悪意」です。視聴者の心理を誘導する意図です。政治にしても選挙にしても犯罪にしても視聴者はその報道画像が加工されているかもしれないという疑いをもって判断できるように賢くなることが必要です。
 テレビ局での画像処理を職業とする遠藤瑤子(離婚、息子は前夫が引き取る)によって、無実の男性に犯罪の疑いがかかり、その男性の家庭と人生が崩壊していきます。異常な迫力がある記述です。
 作者は人間が考察する限界を超えた世界までいって、狂気を文章に転換しています。


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