2012年12月07日

鳥人計画 東野圭吾

鳥人計画 東野圭吾 角川文庫

 スキーのジャンパーを鳥人としています。舞台は札幌です。
 殺されるのは楡井(にれい)君22歳天才ジャンパーです。彼の死因は毒殺ではなく、ドーピングのやりすぎではなかろうかというところからわたしの推理は始まりました。彼の死に色めきたつのは、警察関係者だけであり、彼の周囲にいる者たちにとってはライバルが消えただけで、彼の死は過去のことになる。
 98ページ、どうしてこんなに早く犯人が判明してしまったのか(何かある)犯人とされる峰岸コーチの殺意の動機がわからない。毒は薬でもあるが毒は毒でもある。楡井君の性格はあさのあつこ著「バッテリー」の主人公天才ピッチャー原田巧君のようでもある。わずか3日間程度のことがとても長い期間に感じる。犯人は本当は犯人ではないのだろうか。しかし、犯人の行為は確かに楡井君を死に追い詰めている。タイトルの鳥人計画とは、手術でサイボーグをつくるということなのか。
 363ページ付近、「存在の否定」 だれかが自分のことを死ねばいいと思っていることに気づいた楡井君のショックは大きかっただろう。こうの史代著「夕凪の町 桜の国」では、平野皆実さんが、原爆投下にからんで、死ねばいいと思われたというショックをひきずっていきます。欲の固まりである杉江泰介監督は卑劣です。松本清張作品とは違う凄み(すごみ)があります。


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