2012年11月30日

ウーマンアローン 廣川まさき

ウーマンアローン 廣川まさき 集英社

 著者30才ぐらいの頃にカナダ・アラスカを流れるユーコン川1500kmを女性ひとり、カヌーで下った記録となっています。
 全編に流れるのは、ユーコン川を中心にした自然の風景と動物、人々との出会い、アラスカ物語(新田次郎著)の主役安田恭輔(きょうすけ)氏への尊敬とあこがれ、そして、男女差別に対する対抗心です。
 読み始めてしばらくは、自己中心的な人だと思う。ページをめくるたびにわたし、わたし、わたしの記述が続く。熊もギターもわたしのためにある。なぜに孤独な旅に出たのか。日本にいたくない理由があると思う。たとえば、死ぬつもりだったとか。
 107ページの人間とグリズリー(巨大な熊)との戦いは、両者の共食い状態であり考えさせられた。侵略は双方を滅ぼす。人間は極限状態に陥ったとき、自分に都合の良い理屈をつくりだして、相手を殺(あや)める。
 著者は、地球上における自分の居場所を探している。なにかしら人間不信なところがあって自然や動物に安らぎを求めている。


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