2012年11月29日

路(みち) 森村誠一

路(みち) 森村誠一 角川文庫

何年前だろう。この本の冒頭に出てくる暴走族による一般市民(確か現実には新聞記者だった。)の駅前での撲殺事件があった。それがヒントだと思うし、この本をつくった暴走族に恨みを晴らすという作者と出版社の強い復讐心を感じつつ、わたしもその意志を支持します。
物語は、お金や財産のために相続人を殺害する。殺人事件の連鎖反応です。
お金がたくさんあるからといってしあわせとは限らないし、家の大きさとしあわせの大きさは比例しない。前半から中盤にかけては、推理小説というよりも研究書とか論文のようでした。住民基本台帳や土地・家屋の登記簿に関する手引書のようでした。後半は本格的な推理に発展していきます。
人間は追い詰められて一線を超えてしまうと理論では理解できないことをしでかしてしまうのです。アリバイについて考えました。事件に巻き込まれたときに潔白を証明するためのもアリバイを日頃からつくっておくことを考えねばという気になったのです。
真実は目に見えないところにある。本当のことは耳に聞こえないところにある。人間が虫けらのように次々と殺されていく物語でした。


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