2012年11月28日

BECK(ベック) 映画

BECK(ベック) 映画 ケーブルTV録画

 休日に朝食をとりながら前半の1時間を観て、用事を済ませた夕方に残りの1時間半ぐらいを観ました。前半は興味が湧きませんでしたが、後半は良かった。
 ベックとは犬の名前であり、5人のメンバーで構成されたギターバンドの名称です。アメリカニューヨークに籍を置く黒人ギャングがらみの命名でもあります。
 ギター演奏、英語、ラブがからみあいながら、協力、対立を経て夢がかなう音楽映画です。学生さん向けでしょう。ボーカルの声が消えていますが、それはそれでいい。見る者が空想する世界です。
 だれかと出会って世界が(いいほうに)変わる。ときおり流れる空の映像が美しい。
 組織は内から壊れる。けなげな女子高生の応援がいい。メンバーのなかの高校生ふたりがいい。ありままで着飾らない。服装も心もありのままです。なにかしら奇妙な感覚をいだきながら観ていました。装飾された上層社会があるかと思うと畳部屋の素朴で古い日本家屋の中での会話がある。音楽性に秀でた3人のメンバーのなかに制服さながらの高校生がいる。英語べらべらの女子の隣に純朴な女子高生がいる。一番は、知り合いにギタリストがいるのですが、彼がこの映画に興味を示さないことでした。

主演男性が書いた「KAGEROU」の読書感想文がありますので追記しておきます。
なかなかいい作品です。

KAGEROU 齋藤智裕 ポプラ社
 ページ数236ページ、しかし原稿用紙換算だとずいぶん少ない。2時間コースか。午前8時44分、読み始めました。臓器移植が素材です。読み始めは、ドナー募集活動をしている団体から抗議がくるのではないかと心配しましたが最後は上手にまとめてあります。書き出しのシーンはわたし好みです。廃屋となったデパート屋上の遊園地が舞台です。昭和時代の残り香がします。墓標のたとえがいい。大東泰雄(おおひがしやすお)40歳が主人公です。バブル景気で採用されおそらくリーマンショックでリストラされた自殺志願者です。彼は忍耐の限界値が低い。「下流の宴(うたげ)」林真理子著で登場する19歳福原翔の未来の姿と受け取りました。相方となる京谷貴志(きょうやたかし)若者は、デス・ノートに登場する悪魔を想像させてくれます。京谷の登場シーンを読んで、スパイダーマンを想像する。次のページで「スパイダーマン」の文字が出てきました。中高生の頃、深夜放送で聞いていた星新一氏のショート・ショートを思い出す展開です。物語の設定はGoodです。
 KAGEROUとは昆虫の蜻蛉(かげろう)を指すものであり、自然現象の陽炎(かげろう)ではないと解するのですが、作者は両者を意図しているのかもしません。
 人体の部分が中古車の査定方式で金銭に換算されていく。ケータイ、パソコン、現代的な記述です。幼稚さは否(いな)めない。理屈をセリフで引っ張る手法に魅力はない。パソコンが市場に出回りだした頃の巨大なデスクトップパソコンを分解、部品を交換する作業のような記述が続きます。脳みそがハードディスクとかメモリであり、心臓はCPUなのでしょう。
 「100万回生きたねこ」佐野洋子著がぽつりと書いてある。その絵本作品がこのKAGEROUを意味していることに読者は気づけるか。
 無駄な文章が目立ちます。省略したほうがいい。「説明文」は不要です。小説に理屈はもちこまないほうがいい。小説は「感情」です。
 洋画「ゴースト」の要素がとりこまれている。もうひとつ洋画になったアメリカ小説「私の中のあなた」も拾いこまれている。それでもかまわない。
 別れは別れとして厳しく描いたほうがいい。午前10時14分に読み終えました。途中に休憩をはさんで読書時間は、1時間30分コースでした。最後の部分、読み手は仕掛けを理解しますが、あいまいな記述があり気になりました。この部分は、「秘密」東野圭吾著の冒頭付近がヒントになっているのでしょう。いろいろありますが、わたしは、この調子で小説を書き続けていける方だと判断しました。


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