2012年11月24日

ジョーカー・ゲーム 柳広司

ジョーカー・ゲーム 柳広司(やなぎこうじ) 角川文庫

 第二次世界大戦前ぐらいの時代設定で、当時の日本軍スパイについて、元敏腕スパイだった「魔王」と呼ばれる結城中佐をトップに置き、傘下にあるスパイ役日本人のあれこれを推理をからめた短編に仕上げた5作品です。
 とても昔のことの記述なので感情移入しにくいのですが、内容は濃い仕上がりです。
「ジョーカー・ゲーム」推理小説とかショート・ショートを読んでいるようです。昭和13年からスタートです。
他の作品を含めて外国人がからめてあります。本作品のターゲットはアメリカ人技師ジョン・ゴートンで彼にスパイ容疑がかけられます。スパイがスパイをあばく。忍者の世界です。
「幽霊」面白いのですが、いかんせん時代が古い。現実感がありません。今回のターゲットは英国人グラハム65才です。
「ロビンソン」地味な裏社会で「魔王」結城中佐の存在が大きい。本編は秀作です。味わいが深まる。結城という人物をスパイの行為と思考で浮かび上がらせる手法がとられています。
「魔都」魔都とは中国上海を指します。何でもアリの無法地帯です。
「XX(ダブルエックス)」男と女と殺人です。男女の恋愛・三角関係、愛と欲は人間から消えない。


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