2012年11月17日

21世紀に読む日本の古典 平家物語

21世紀に読む日本の古典 平家物語 山下明生著 宇野亜喜良絵 ポプラ社

 安芸の宮島に行ったことがきっかけになって、平家物語を読みたくなりました。またいつものようにこどもさん向けの本にしました。安芸の宮島だけではなく、京都、鎌倉、香川県、愛媛県、山口県下関、福岡県門司など行ったことがある地名がたくさん出てきて楽しめました。されど、中身は戦記であり、祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きありで始まる名文句にはむごい人殺しの記録が続いていきます。
じっくり考えてみました。わたしは、この物語は、事実を忠実に正確に記した記録ではなく、歴史に沿いつつも虚構でつくられた物語だと判断しました。実際には、極度の緊迫感が連続してあったのではなく、意表をつくぐらい予測できない出来事が起こっていたと推測します。
 どうしていつも人間界は、まっぷたつに割れたいのだろう、源氏と平家、資本主義と社会主義、男と女、争いは耐えません。多数決優先の議会制民主主義についても考えました。もし、選挙というものがなければ、世の中は武力に勝るものが支配していくのでしょう。そして、戦争ばかりが続きます。選挙制度は平和を維持していくための重要な手段です。
 京都は戦の主戦場で、河原にはたくさんの首がさらされた。最後の解説で、六波羅蜜寺のことが出てきました。それを読んでわたしは、そういえば以前そこを訪れたことを思い出しました。平清盛像があったことを覚えているのですが、その姿はもう忘れました。覚えているのは、口から音符のようなものを吐き出しているお坊さんの像です。音符ではなく、小さな仏像だった記憶です。


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