2012年10月18日

忘れないよ! ヴェトナム 田口ランディ

忘れないよ! ヴェトナム 田口ランディ 幻灯舎文庫

 今から15年以上前の旅行になります。本人は36歳ぐらいのとき、ただし、ヴェトナムでは26歳とさばを読んでいたようです。
 ヴェトナム人は生活するために日本語や日本語の生活習慣、日本人について勉強する。対して日本人は、ただなんとなく、みんなが行くから高校や大学に通う。両者の違いが明確にされた部分からお話が始まりました。
 やっぱり海外を旅行するにしても放浪するにしても英語ぐらいはできないと意思疎通に事欠くことになるということがわかりました。
 メコンデルタのツアー話は、読み手も楽しみです。冒頭の意味合いも含めて、外国というよりも昔の日本を見ているようです。糞尿を川に垂れ流しの記事はヴェトナムに限ったことではなく、50年ぐらい前の日本の田舎では似たような様子でした。穴を掘って用を足して、肥え桶に入れて畑に撒(ま)いて、作物を作って食べていたのです。日本は急速に都市化して便利になりました。
 書中にいつかは、ヴェトナム人のバワーに日本が負けるときがくると記事があります。同感です。国籍や言語を超えた国際交流話がいい。104ページのテレパシーは絶妙です。
 旅先では一期一会だから気楽に深い話ができる。利害関係がない。そこは異空間です。作者の言動は勝手な人だと感じるときもある。どうしてそんな無茶な旅行をするのかとあきれてもくる。しかし惹(ひ)かれる。
 女性の旅というのは理屈がないからいい。感情で動くからいい。男性と女性の違いでしょう。日がたつごとに作者という人間が人間的に成長していきます。
 131ページの貧しい暮らしぶりには泣けてくる。東南アジアの国だからというわけではなく、日本にだって貧困な地域があります。
 文章や感情表現がストレートで痛快です。
人生は、自分にとって快適な場所をさがし、そこに住み続けることだと思います。


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