2012年09月20日

海峡 映画 

海峡 映画 ケーブルTV録画

 海峡とは何かと何かを隔てていることを意味していると受け取り、それらが何かを考えることから映画鑑賞を始めました。ひとつは、夫婦です。主人公の国鉄技師を演じる高倉健さんと彼の妻の大谷直子さんの間に存在する吉永小百合さんという男女の愛情もつれの隔たり(後半で息子が母大谷さんに離婚を容認する発言をします。)、そして、もうひとつの隔たりは親子です。息子と父親である健さんとのあいだにある親子の心の隔たりです。
 仕事最優先で生活時間のすべてを青函トンネルの掘削に精力を注ぐ高倉健さんの強い意志を支えているのは、青函連絡船転覆事故で1000人を超える死者・行方不明者を出した洞爺丸遭難事故を悔いる気持ちにあります。不幸を繰り返さないために、お客さまを安全に北海道と本州間を行き来していただきたいという技術者の熱い気持ちは、父危篤の知らせを聞いても揺るぎません。
 自分の家族をあとまわしにしてでも自分や組織の目標と責任を達成するという生き方が当時は美化されていました。日本人は制限のなかで生きる民族でした。
 映像の風景は四季があるにもかかわらず、放映時間帯のほとんどが冬です。画面に出てくるのは、荒れ狂う波や岸壁、そして暗いトンネルの中です。それでも、工事に従事された先輩諸氏の苦労に感謝いたします。
 途中、トンネルの上部や横方向から大量の海水が噴出してくるシーンがあります。ものすごく強い力で相手を押しつぶすことができないのなら「共存」を考えなければなりません。流水を受けいれつつ排水をしていくのです。あるいは排水を是(ぜ、どうしても必要なものとして妥協する。)として流水を受け入れることになります。なにかしら人の生き方とか組織のありかたにまで発展する暗示があります。

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