2012年09月12日
思い出トランプ 向田邦子
思い出トランプ 向田邦子 新潮文庫
小編13編からなる作品です。
最初のうちは、ひとりの男はひとりの女ばかりを愛せない、ひとりの女はひとりの男ばかりを愛し続けることはできない。そんなお話が続きます。
いくつかの感想を記します。
「かわうそ」こんな妻っているのかなあ。男性からみて戦いを挑んでも勝ち目のない妻とやるせない思いを続けなければならない夫である主人公自分との比較です。やっぱりこんな夫っているのだろうなあ。
「はめ殺し窓」人間の性(さが)における本質をとらえた作品です。
「大根の月」私の好きな作品です。英子さんが可哀想です。
「りんごの皮」これもいい。
「酸っぱい家族」はなつかしい。15年ほど前に私は素人なりにこの作品を脚本化してみたことがあります。自分でつけたタイトルは「テネシーワルツ」でした。飼い猫が近所のオウムをくわえてくるところから始まります。主人公の年配夫はその死骸を捨てる場所が見つからなくて困り果てるという流れです。捨てたいけれど捨てられないものがある。私にとっては、この小編が一番の好みです。
この記事へのトラックバックURL
http://kumataro.mediacat-blog.jp/t83143
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません