2012年09月11日

コンセント 田口ランディ

コンセント 田口ランディ 幻灯舎文庫

久しぶりに落ち着いた大人の女性の文章を読み始めた気分です。快適ですと感じたのはつかの間で、家庭内暴力の語りがあらわれました。気が重くなります。読み続けられるだろうか。
深刻な状況ですが、説明内容が面白いので微笑(ほほえ)んでしまいます。ポケットの中にコンセント(ソケット)があるから死臭がするのです。理路整然と文章が流れていくことがこの作品の良さです。諏訪哲史著「アサッテの人」を思い出しました。脳の奥深くにある部位をながめているような感覚です。作者は瞑想をしながら心にあらわれたものを文章に転換しています。
人間が頭脳で心や体をコントロールしていくことは難しい。本にある世界は深いけれど狭い。いや細い、いやいや上からながめると点に過ぎない。ユキは他人の心理が読めて欲情しやすい。そういうものなのだろうか。とても小さな世界に作者はこだわっていきます。

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