2012年09月03日

神様がくれた指 佐藤多佳子

神様がくれた指 佐藤多佳子 新潮文庫

なめらかに流れる文章です。美しい記述です。そして巧妙な展開です。
作者の資質でしょう。努力の結晶でもあります。感心します。言葉づかいがいい。
理屈でモノを考えてはいけない。感覚で運ぶという手法です。
いったいどうやったらこういう機知に富んだすばらしいセリフが頭に浮かんでくるのだろう。
スリの話です。読み手の問題ですが、わたしは賭博(とばく)とか占いとかに疎い。作者はトランプ占いを詳細に説明してくれるけれど、目の前にカードの一覧が浮かんでこない。現実離れした舞台設定でもある。身近な世界ではないので読んでいても感情移入がむつかしい。
294ページにあるマルチェラの言葉は的を得ている。占い師は相手の悩みを受け取って捨ててあげる。
300ページを過ぎて核心が迫ってきた。竹内少年の正体が判明しつつある。
文章にも凄み(すごみ)が出てきた。ここまで読み継いできた苦労が報われる。追跡シーンは圧巻です。「走れメロス」が基盤にあります。「神様がくれた指」このタイトルをどう解釈すればいいのだろう。占い師マルチェラが糸を引っ張っていた物語でした。


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