2012年09月01日

五番町夕霧楼 水上勉


五番町夕霧楼 水上勉 新潮文庫

生きていくうえで必要なもの、それは愛情。死なないために必要なもの、それも愛情。この本を読み終えて得た結論です。
愛情のなかのひとつ、「この男性あるいは女性がいなければ、自分がこの世に存在する価値はない」を刻んだのがこの作品です。
冒頭から中盤にかけてなかなか主人公女性の像が見えてきません。登場人物たちがおとなしいのですが、物語が推移するにつれ推理小説の要素が濃厚になり、やがて弱く感じる未知なるものは「強さ」へと変貌を遂げていきます。
この本の素材は事実を用いたものではないかと中盤以降感じました。
私は知りませんでした。金閣寺が僧の放火で炎上したことを。そして小説としては三島由紀夫「金閣寺」水上勉「金閣寺炎上」があることを。
郭(くるわ、女郎屋)の女将(おかみ)であるかつ枝が物語を引っ張っていきます。
後半は思いがけない大事件につながっていきます。
ひと言でいうと「短い盛夏」でした。


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