2012年08月16日

東京タワー リリー・フランキー

東京タワー リリー・フランキー 扶桑社

 副題は「オカンとボクと、時々、オトン」リリー・フランキー著です。読み始めの2ページで、圧倒的な魅力に惹(ひ)きつけられます。複雑な親族関係、酒乱の男たち、頻繁な転居、貧困、花札、性風俗、暴力。読みながら涙がにじんできます。かつ笑えます。
 事実の列挙→著者の考え→事実の列挙という繰り返しの記述方式がまるで音楽を聴いているようです。自叙伝を超えて、日本人という民族の研究書にまで発展しています。
 著者の母親に対する愛情は格別なもので、サトウハチロー氏のおかあさんに捧げる詩を思い出します。著者は病死した母親の遺体と布団で一夜を過ごします。
 著者の生き方は今の私からみれば虚無的で、いささかいいかげんで、私にとっては対角線上にある個性の人です。しかし本来私は著者と同じポジションにいたかった人間だとは思います。距離感を感じつつ羨望(せんぼう)のまなざしで、 作者を本来の人としてあるべき姿ととらえるのです。


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