2012年08月02日

さまよう刃 映画 ケーブルTV録画


さまよう刃 映画 ケーブルTV録画

 小説を読んだことがあります。映画は小説のダイジェスト版(概要版)と感じました。配役のイメージと小説の登場人物のイメージは異なります。小説は濃密です。あとで、小説の感想も付け足しておきます。
 父子家庭の高校生娘が高校生男子3人に辱(はずかし)められて覚せい剤を打たれて死にました。怒った父親は犯人たちを正々堂々と殺し始めます。視聴者は父親を応援するでしょう。必殺仕事人とか必殺仕置き人だと拍手喝采で終わるのですが、この物語はそうはいきません。あろうことか、警察は父親を射殺して犯人を助けます。納得がゆきません。されど、最後に父親は自ら死を選択したことが判明します。妻が病死して、娘も死んで、家族がいなくなって、ひとりぼっちになりました。さすれば、最愛の妻と娘がいる天国に旅立つことを父親は決心したのです。されど、復讐は果たすという決意は固かった。復讐はするけれど犯人を殺しはしない。厳しい選択です。計算しつくされた構築物を見る思いでした。
 被害者の私生活はめちゃくちゃにされて、加害者の生活は守られるということもあります。この世は理不尽(りふじん、すじがとおらない)です。名作の1本でした。


さまよう刃 東野圭吾 角川文庫

 非常に暗い物語です。長編ですが、早く読み終えたくて、夜を徹して明け方まで休み休み読んで、2日間で読み終えました。
 犯罪被害者家族の叫び声が響いています。16歳のひとり娘を強姦され、覚せい剤を打たれたのちに、ごみのように遺体を川に捨てられた父親の復讐劇です。彼は妻も病死で亡くしています。加害者である少年3人は未成年で、逮捕されても短期間の刑で済む立場にいます。
 主人公父親は長峰重樹さん、40歳ぐらいでしょうか。娘さんの名前が絵摩さん、高校1年生です。少年たちは18歳ぐらいらしく、菅野快児(スガノカイジ)はケダモノです。伴崎(トモザキ)アツヤも同類です。中井誠も人間のくずです。彼らにも親がいます。産むだけ産んで、こどもの言いなりになって、最後はこどもを捨てたり、卑劣なかばいだてをしたりしています。長峰さんはだから、怒りと憎しみでいっぱいになったのです。
 何人もの刑事たちが登場しますが、彼らは物語の進行係を務めるだけです。いまどきらしく、携帯電話が犯罪の鍵を握っていきます。ただ、被害者側にしても加害者側にしても、あまりにも極端なお話ではあります。この素材で、もうひとつ別の作品をつくれないだろうかと考えていたら、偶然並行して読んでいた「三匹のおっさん」有川浩(ひろ)著に女子高生娘を強姦されそうになった父親有村則夫さんが登場するのです。こちらは、明るい物語展開となっています。60過ぎのおっさんたちが強姦魔を捕まえてみれば、現職警察官だったのです。ただ、その展開ではなくてもっと別の展開になる物語ができると思うのです。
 この物語の場合は、長峰さんは犯人の少年たちを殺害したあとに自殺する気配があります。読み続けていると長峰さんに声をかけたくなりました。お疲れでしょう。もうやめましょう。自首しましょう。天国の娘さんも、もうこれ以上の復讐は望んでいません。
 長峰さんの行動に協力する通りすがりともいえるペンション経営者の娘さん丹沢和佳子さんがいます。彼女は正面から長峰さんに説得を試みます。それは、作者自身の姿だと感じました。終わりはハッピーエンドになってほしい。そう思いながら読み続けました。だけど、読み終えてみて、むなしくなりました。


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