2012年07月29日

カモのきょうだいクリとゴマ なかがわちひろ

カモのきょうだいクリとゴマ なかがわちひろ アリス館

 最後近くまで読んで思ったのです。野生の動物を救うために拾って育てる。たとえば、やらなければやらないですんでいくことがある。法令に定められた義務ではない。もちろん罰則もない。そのかわり報酬もない。人間はなぜ生き物を救おうとするのか。愛情があるからです。でも、人間の心は複雑です。人間は対象物を愛することができるし、憎むこともできる。命を救いながら命を奪って食べることもできる。そういうことは、128ページにある「たまごをひろってあたためてしまったことを後悔した」からひらめいたことです。
 6月の大雨のあと、ふたりのこどもさんが消えてなくなりそうになっているカルガモの卵を家へ持ち帰ります。最終的に8個あった卵からは、クリとゴマと名付けられたオス2羽が育ちます。命の確率は8分の2で、約分して4分の1、百分率に変えて25%です。あかちゃんが4人生まれてもひとりしか生き残ることはできません。卵の殻のなかからひよひよというなきごえが聞こえる。それにむかってこどもたちが「もしもーし」と呼びかけるところのあたたかみがよかった。親鳥の代わりに人間が装置で卵をあたためる。卵に番号を書く。ときおりひっくりかえしながらあたため続ける。そのほか、いろいろな工夫をしています。それは成鳥近くになっても同じで、感心しました。生まれてきた鳥たちは人間を親だと錯覚して人間の歩くあとからついてくる。かわいらしい。カモの観察日記を超えて、人間を育てるような子育て日記にまでなっています。


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