2012年07月28日

チョコレートと青い空 堀米薫

チョコレートと青い空 堀米薫 そうえん社

 いまどきのお話ではありません。53才のわたしがこどもの頃、昭和40年代後半の内容です。その点でこれは、おじいさんが孫に語っているのです。この本に出てくるエリックさん23才は、アフリカガーナ国の黒人で、日本に農業技術を学びに来ています。「青い空」は、宇宙まで抜けるようなガーナの青空を表わしています。
 本はショッキングなカラー絵から始まります。小学生ぐらいの男の子がチョコレートの原料となるカカオの実を割っています。それが仕事です。少年はチョコレートを食べたことはありません。学校にも通っていません。家庭の生計を建てるために働いているのです。その姿はエリックの幼い頃です。
 エリック・コフィ・マンフェイを1か月間受け入れてくれた加藤ファミリーの家で、エリックが自分のファミリーの写真をみんなに見せてくれます。おとうさん、おかあさん、そして7人兄弟がいます。そのあとも89ページ付近で、ガーナのこどもたちの写真を見ることになります。たくさんのこどもたちがいますが、教育を受ける環境には恵まれていません。エリックは両親に迷惑をかけたことを申し訳ないと反省しています。
 加藤家には思春期のむずかしい時期を迎えた長男一樹中学2年生がいます。それから物語の進行役を務めてくれる周二小学校5年生、そして妹の幼稚園児ゆりがいます。設定はなかなかおもしろい。専業農家で牛をたくさん飼っている。おとうさんは国際協力機構に頼まれてエリックを受け入れました。一樹の進路で父と一樹の対立があるようでありません。親はできれば農業を継いで欲しい。だけど、本人の意思にさからってまでとは考えていません。
 言葉のおもしろさが紹介されています。最終的に日本人もガーナ人も同じ人間であることの確認ができます。おぞうにをフーフーと冷(さ)ます。フーフーはガーナ語で芋(いも)の食べ物の名称です。「ギリギリセーフ」はガーナ語も同じ意味だそうです。ガーナ語で「イズ」が「水」、飲むは「ノム」、「バサバサ」は「髪の毛がバサバサ」の意味です。そっくりですね。
 エリックは雪を見たい。雪だるまをつくってみたい。こどもたちはエリックに「ゆびきり」を教えます。約束です。これらは後半への伏線(ふくせん、感動を高めるための素材)になってゆきます。
 エリックが教えてくれます。『ガーナ人の一番大切なものは「家族」です。』


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