2012年07月26日

ココロ屋 梨屋アリエ

ココロ屋 梨屋アリエ 文研出版

 自分の心をお店「ココロ屋」においてある心と交換するという構成です。なかなかいい本でした。
 思ったがままに書き続けてみます。
 ぼく=ひろきです。泣き虫ゆうやとおこりんぼのみか先生が目の敵(かたき、敵視すること)です。いじめっこの側からの状況説明と怒れる理由の意見です。自分では何も悪いことはしていないのに先生には厳しくしつこく叱られます。さて、「ココロ」にこだわるこの本はこれからどう内容をころがしてゆくのか。興味が湧いてきました。ひろきのひがみ根性はゆうやを叩く(たたく)という行為に表れます。
 「ココロを入れ替えなさい」とだれかの声が聞こえる。ひろきは、いじっぱりでかっこうつけだから仲直りができないとあります。人間の心ってめんどくさい。イライラするのは、きちんとしたごはんを食べていないからかもしれない。人をたたくのは、家で親にたたかれているからかもしれない。そんなことを考えました。
 「ココロ屋」のご主人はウツロイ博士(はかせ)です。心の有様(ありよう)の研究をしているらしい。
 だれからも好かれる人になど、なれるわけがありません。無理です。人が100人いたら、50人の人に好かれて、あとのこり50人の人に嫌われるぐらいでちょうどいい。
 ひろきは「やさしいココロ」を買います。お金を払うか、労務(体を動かす仕事)を代償(ココロの代金)として支払うべきだと強く思いました。物語のなかでは、ひろきのココロと交換するというやりとりが出てきて納得しました。なんでもタダ(無料)でもらうものではありません。
 「やさしいココロ」はつらい。やさしさをつらぬくと、ココロの病気である「うつ病」になるか、逆に頭の線が切れて凶暴な暴力人間になってしまいます。
 56ページ付近で、これからなんだかんだがあって、ラストでは、ひろきの自分の心がひろきに戻ることが予想できます。
 「すなおなココロ」の部分を読んでいたら「二重人格」という単語がひらめきました。だいたいの人間は「二重人格」です。家の中と外では人が変わります。家の外では俳優さんのように演技をするのです。気を使うのです。だから、家庭はくつろげる場所であってほしい。みんな外ではがんばっているのです。家はだらしなくリラックスする場所です。
 読み続けていると、作者からのメッセージが伝わってきます。「いやなことはいやと言える人間になろう!」。がまんにも限界があります。この本は自分の気持ちをほかの人に表現するときのノウハウを教える教育本となっています。「技(わざ)」の伝授(でんじゅ)です。いい本です。嘘も方便(うそもほうべん、うそをついていいときもある)、嘘を一生に一回もつかない人間はほとんどいません。
 自分を守るために自分のもっている能力以上にがんばらない。次から次とココロの種類を変えながらひろきはいろいろな体験を積んでいきます。心の育成です。
 どのココロもぴったりとせず決めゼリフは「きょくたんすぎます」で、最後はやっぱりウツロイ博士からひろき自身の心を返してもらいます。
 バランス(平衡感覚へいこうかんかく)が大事です。白か黒かどちらかひとつではなく、白と黒が混ざった灰色が結論となることが多いのが人間社会です。押したり引いたり時には「放置」という選択枝もある。
 ココロの動きは複雑です。勝ったり負けたりが日々の繰り返しですが、昔の歌にあるとおり3歩進んで2歩下がるとか、2勝1敗でよしとするとか、つまり全勝無敗なんてできない話なのです。
 72ページと83ページには、人間関係を円滑(えんかつ、なめらか)にする大事なことが書いてあります。行き詰まったら立ち止まる。自分がやらなければほかの人がやってくれます。助けてくれます。がんばらなくていいのです。また、叱ってくれる人には感謝するのです。世の中、知らん顔をする人ばかりです。本当に心ある人は耳に痛いことを言ってくれます。アドバイス(助言)です。今年読んでよかった1冊になりました。


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