2012年07月25日

心の森 小手鞠るい

心の森 小手鞠るい(こでまりるい) 金の星社

 小学校6年生の6月初めに日本からアメリカに転校した角坂響(かどさかひびき)の孤独な夏休みから始まります。青い瞳をもつ小学校2年生ぐらいの少女ディジーとの出会いと別れの物語です。
 全体で141ページあります。わたしは、53ページから角坂響を女子に置き換えて読み続けました。相方のディジーは男児に置き換えました。53ページで響は、森にある木を楓(かえで)、樫(かし)、つが、松、くるみ、ポプラがあると瞬時に示します。樹木の名をすらすらと言える小学校6年生の平凡な男子はいません。これは女子の感性です。
 読み始めに「ふたりでひとつの物語をつくる」というようなメッセージがあります。後半部分の読み方が荒かったのか、後半でその記述内容に触れることができませんでした。また、読み返すかもしれません。
 角坂響は日本へ帰りたい。ふたりのおばあさんのことを思い出す。会いたい。おかあさんのことを思い出す。永遠に会えない。彼の家は父子家庭です。母親は彼が幼稚園のときに病気で亡くなりました。
 アメリカには来たけれど、父親は仕事優先の生活です。英語をしゃべることができないからなかなかともだちもできません。アメリカの夏休みは5月~7月で、学校はお休み中です。
 父子家庭についていうならば、彼は、95ページでさびしさを克服します。学校へ行き始めたら彼と同じような境遇の子どもがうじゃうじゃいたからです。おばあさんとふたり暮らしの子ども、おかあさんとふたり暮らしのこども、おかあさんが「三人いる」こども、離婚再婚ややこしい。不幸を不幸と感じるか感じないかは気の持ちようです。95ページには大事なことが書いてあります。学校へ行こう! 成人して思うに、昔のテレビドラマに出てくるような健全な家庭は現実には少ない。自分だけが不幸ではないし貧乏ではありません。どこも一緒です。
 読みはじめからしばらく、淡々と読みやすい短文が続きます。心地良いステキな本です。野球仲間のピッチャーのトム、ファーストのジャック、サードのボブ、アメリカでの異人種との未知の世界での体験が綴られます。だれかひとりでも話し相手がいれば、学校にも会社にも通えます。
 小6響と小2ディジーとの関係は恋と呼ぶにはまだ浅く、友情とか憧れのレベルです。
 119ページ以降は残念ながら尻すぼみになってゆきます。夏・秋・冬、みっつの季節を過ごした少年響の思い出ばなしです。これを語ってくれている響はすでに成人しています。おとなの恋人同士の物語として小説・映画「クローズド・ノート(閉じられたノート)」があります。すべてのものに亡くなった人の魂(たましい)は宿っている。神道的(しんとう)でした。八百万(やおよろず)の神に囲まれて人は育(はぐく)まれています。


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