2012年07月21日

パスタでたどるイタリア史 池上俊一


パスタでたどるイタリア史 池上俊一 岩波ジュニア新書

 220ページのうちの138ページまできました。ふりかえりを兼ねて感想を記してみます。イタリアといえば、最近見た映画では、古代ローマ王国に日本の入浴設備や施設を取り入れた「テルマエロマエ(ローマの公衆浴場という意味)」と結婚式場シーンを覚えている「ホタルノヒカリ」があります。
 この先、イタリア旅行へ行けるとは思えず遠い国です。南北で対立があったという部分を読みました。そういえばほかの国や地域でも南北での分離があります。パスタが国をひとつにまとめた要因のひとつになったのだろうか。
 中国からそうめんが伝来したお話は興味深かった。そうめんは純日本産だと思っていました。3ページ以降、1883 年(明治16年)にパスタの製造開始、工場は長崎県、つくったのは、新潟県の父子です。ひとつのものの ために遠方からでも人は集まる。
 7ページ付近、1970年代はミートとナポリタンが紹介されています。わたしの記憶だとインディアン(カレーソース)というスパゲティもありました。書中では、カルボナーラが出ています。当時、まだ、「パスタ」という言葉は知りませんでした。
 27ページ付近、ゲルマン民族の侵入記事あり。この後も、イタリア本土は各国のとりあいになる。島国日本人には体験のないことです。侵略した国の言語が公用語になり、同様に料理もその国のありように変わる。さらにお金持ち支配者層は肉中心の食事、支配される農奴(のうど)たちは穀物食と区分けがされてパスタは姿を消します。
 当初のパスタは今様のものではなかった。材料の小麦は同じですが、ゆで時間が長かった。30分以上1時間半ぐらい煮る物だったようです。ちょっとびっくり。生パスタとは別に乾燥パスタが生まれます。そして、戦乱は続きます。「教皇(きょうこう)」と「皇帝」の違いがわかりません。「教皇」は、教会の最高位、「皇帝」は、国王とあります。国家ではなく、都市が自治権を行使する単位として発展していきます。
 50ページ、「ギルド」(商人の同業者組合)で思い出したのは、「ピエタ」大島真寿美著です。1741年から始まる孤児エミーリアの物語でした。ヴェニスが舞台でした。本書では、16世紀なかばから17世紀にかけてパスタのギルドができたとあります。途中、とうもろこしの記事が出てきます。昔は忌み嫌われていた。だけど、飢饉で食べるものがなくなって、やむにやまれず栽培して食べるようになったとあります。意外でした。主食クラスの食物です。そして、唐辛子、トマトなどが登場します。両者ともに新世界アメリカ大陸から入ってきたものです。昔は砂糖がなくて、ハチミツを利用していたという記事にも驚きました。15世紀なかばから17世紀まで、人びとは野菜ばかりを食べていた。ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、フルーツ。人口急増により肉が食べられなくなり、パスタが再び登場します。
 102ページ付近、イタリア文学における夢の食べ物がパスタです。楽園とは、パスタを思う存分食べることができる場所です。
 「詰め物パスタ」というのは食べたことがありませんが、宮廷料理だそうです。イタリアの国情は不安定で、人口が急激に減ったり増えたりします。原因は凶作であり疫病の蔓延です。パスタは形を変えながらも人々の食生活に浸透していきます。書中では庶民の貧困が強調されます。
読み終えました。小麦粉はすべてにわたって重要な作物でした。
 ひとつの料理と国の歴史を並べた解説書は珍しい。他に類をみません。自分にパスタのこととイタリアの歴史知識の下地がないのでわからないのですが、わかる人にとっては関心が高い本でしょう。
 最後まで読んで思った自分の感想です。ひとつは、「残るものは残る。そして受け継がれていく。」歴史がどのように動転しようと本物は生き残る。もうひとつは「人間はおろかだ。」欲望を追い求めて殺しあうのが人間です。殺されたら殺し返すのです。そして、人間は自分が利益を得ることしか考えません。


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