2012年07月08日

ゲゲゲの女房 武良布枝


ゲゲゲの女房 武良布枝(むらぬのえ) 実業之日本社

 ゲゲゲの鬼太郎を書いた水木しげるさんの奥さんなので、ゲゲゲの女房です。
 ご主人の漫画家水木しげるさんは、最初から成功者だと思っていましたが、この本を読むと、ずいぶん違っていました。おふたりは、極貧生活を経験されています。
 冒頭のページにあるふるさと島根県を言い表した「小さいながらも高い文化をもつ地域」という言葉が気に入りました。そういった地域が日本のあちこちにあるけれど脚光は浴びていません。
 初期の頃のまんが作品は、しろうとである奥さんとの合作である点はほほえましい。水木氏は、左腕がない障害をもつ人とは知りませんでした。それを承知で結婚した奥さんは、ご主人をやさしく支えてくれます。相手がどんな人かもわからずに早々と見合い結婚をして、ご主人が、そこそこの収入がある人だと思っていたらだまされていて、それでもふたりで夢を追いかけて、最後に夢がかなう。にもかかわらず、24時間仕事続きの毎日になってしまい、それはそれでまた悩みになっていく。
 これは、生きる勇気が湧いてくる手記です。まんがへの夢を捨てない水木氏の執念と、そんな夫を捨てない奥さんに学ぶべきものがあります。

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